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【新エネルギー】

GEがくずわら残渣ガス化技術で広州エネルギー研究所と協力 (12/11/15)
2012/11/25
中国【新エネルギー】

 GEは中国科学院広州エネルギー研究所と合意文書に調印し、広州エネルギー研究所によるくずわら残渣ガス化技術の開発と商業化をサポートすることになった。GEの取締役であり、「エコマジネーション」戦略責任者であるMark Vachon氏はプレス発表において「中国のバイオマスの規模は実際極めて大きい」と述べた。一方、広州エネルギー研究所の呉創之所長は、僻遠の村に2,000〜3,000ムーの土地があれば、くずわらを収集してガス化を進め電力問題を解決出来ると述べた。

 GE発電設備・水処理技術部の李楓部長によると、くわずらには、燃焼による大気汚染をもたらし、集中利用が難しいという2つの難題がある。くずわらは分散し、季節に左右され、収集と貯蔵のコストが高いといった問題があるため、中国での利用率は依然として低い。中国で1年間に発生するくずわらは6〜7億トンに上るが、その40〜50%が直接燃焼されている。直接燃焼は土壌中の有益な微生物を殺すだけでなく、大気を汚染し、PM2.5を増やす。

 中国科学院広州エネルギー研究所のくずわら残渣ガス化技術は、くずわらをバイオマスガスに転化し、ガス内燃機を駆動して発電する仕組みである。呉創之所長によると、この技術は、ガス化過程において発生するガスをディーゼル機内で燃焼させ、ガス化後も再び燃焼させる点が長所の一つである。窒素酸化物の排出抑制に優れ、汚染が少ない。GEと広州エネルギー研究所の試算によると、この技術を採用し、くずわら残渣を原料としてバイオマスエネルギー発電事業を進めると、総合エネルギー効率を現在の平均水準よりも約10ポイント高くすることが出来る。

 呉創之所長は、一般に1.2〜1.5キロのくずわらによって1kWhの発電が可能と指摘する。くずわら発電の発展には政府からの補助が今もなお必要である。中国のくずわら発電の買取基準は0.75元/kWhであり、火力発電の系統連系価格と比較すると、1kWhにつき0.35元が補助されていることになるが、専門家は「この種の全国一律の補助基準は決して適切ではない」と指摘する。東北3省のような北方地区のくずわら発電は収益が出るが、広東省のような南方地区では赤字になる。北方地区は農地の規模が大きく、くずわらの回収・輸送コストが低く、大規模処理が可能であるのに対し、南方は農地が分散し、輸送コストが高くなり、くずわら発電が経済性に欠けるからである。くずわら発電市場の90%は長江以北が占めるのが現状である。しかし、「広州エネルギー研究所のくずわら残渣ガス化技術は従来の集中方式を止めて、分散利用を可能にすることが最大の特長だ。特に南方の後れた地区に適している。これら地区は交通が不便で電気料金が極めて高い。どこでもディーゼル発電機があり、新たな設備投資の必要がなく、すぐに直接利用することが出来る」と、呉創之所長は言う。

 昨年11月、国家発展改革委員会、農業部、財政部は連名で《第12次5ヵ年規画農作物くずわら総合利用実施方案》を通達した。同方案は、2013年にはくずわらの総合利用率を75%とし、2015年には80%を超えるよう努めるとしている。2010年のくずわら総合利用率は70.6%、利用量は約5億トンであった。2010年におけるくずわらの理論上の資源量は中国全体で約8.4億トン、収集可能資源量は約7億トンになる。

 (東方早報 11月15日)