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【新エネルギー】

中国のPVに新たな反撃のカード 業界に原料自主化を呼びかけ (12/11/30)
2012/12/6
中国【新エネルギー】

 中国と米国、欧州、韓国の間で太陽光発電をめぐる貿易紛争がますます熾烈になっている。中国商務部は米韓欧から輸入するポリシリコンに反ダンピング・反補助金調査を始動したが、さらに11月26日には遡及課税調査に着手すると発表した。

 「遡及課税は洪水のような輸入を防ぐとともに、反撃のカードにもなる。中国は太陽光発電分野の保護貿易主義に警告しなければならない」と、商務部研究院の白明研究員は憤然と述べた。

 今年に入り、中国の太陽光発電製品は海外から狙い撃ちに遭い、輸出に大幅に依存している中国の太陽光発電産業は大きく動揺した。

 「貿易戦争は共倒れになるが、反撃しなければ必ず一人負けになる」と白明氏は強調する。妥協をするだけでは問題の解決にはならない。米欧韓の無規範で不公平な貿易行為に対して反撃する必要がある。
 ポリシリコンは太陽光発電産業の川上産業であるが、この数年、価格や市場シェアで輸入品に押される一方である。中国商務部は米韓及びEUから輸入するポリシリコンに対し「反ダンピング・反補助金」調査を開始した。しかし、調査の効果は未だ現れず、米韓欧のポリシリコンが中国へ大量に輸出されている。中国の業界が「反ダンピング・反補助金」調査の提起を行った後も、今年2〜7月における米韓からのポリシリコン輸入量はその前の6ヵ月より40%もの激増を示し、9月期のEUからの輸入量は8月の2.6倍になった。

 今回中国が「反ダンピング・反補助金」関税を90日間遡って課税することになれば、中国のポリシリコン産業にとっては大きなメリットになるが、下流の太陽光発電企業にとっては原料コストの上昇につながる。実際、太陽光発電産業チェーンのいずれの部分においても貿易障壁を設定することに賛成しないと表明した太陽光発電企業もある。

 この点について、江蘇中珪業の呂錦標副総経理(副社長)は「原料の自主化と川上と川下の団結こそが産業にとって望ましく、輸入を防ぐことによって中国太陽光発電産業の川上と川下のウィン・ウィンの実現につながる」と強調する。

 呂錦標副総経理によると、技術封鎖を打開したことで、中国はすでに2011年に世界最大のポリシリコン大国になった。原料の自主供給は価格を安定させ、供給の逼迫と価格高騰の歴史に終止符を打った。現在中国市場の国産ポリシリコン価格は約20ドル/kg、一方、輸入ポリシリコンの中には40ドル/kgもの高値で長期契約されているものもある。また、故意に価格を引き下げ、17ドル/kgで小売するケースもある。

 「実際には価格が20ドル以下に下がると採算が取れない」と呂錦標副総経理は分析する。もし太陽光発電メーカーが若干高い国産ポリシリコンを購入せず、国内産業がキャッシュフローの断絶によって軒並み倒れることになれば、中国のPV生産は完全に輸入に頼るしかなくなる。そうなれば、外国のポリシリコンも対中貿易戦略を変えるに違いない。

 当然ながら、川上と川下が利益面で協調してともに反撃し、中国のPV産業を苦境から脱却させるためには「対症療法」が必要である。

 「根本的な病原は生産能力過剰だ」とアモイ大学中国エネルギー経済研究センターの林伯強主任は言う。政府は今後新エネルギー研究開発への投資に力を入れ、末端に補助金を給付し、国内の設備需要の喚起に努めなければならない。林伯強主任によると、太陽光発電は火力発電に比べコストが高く、品質が低いため、新エネルギー発電の初期段階においては、その成長と拡大を財政支援に依存することが不可欠になる。
 その他にも、白明研究員は、新たな市場を開拓し、途上国への移転を加速することも中国の太陽光発電の生産能力を消化する方法の一つであると考えている。

 実際、太陽光発電産業を救済する動きはすでに始まっており、業界と政府は太陽光発電産業の発展のために新しい政策を次々と打ち出している。

 最新情報によると、蘇州阿特斯陽光電力科技株式有限公司はカナダにおいて新たな市場を切り開いた。それは「モジュールの単純生産」から「システムインテグレーション」と太陽光発電所建設への転換である。また、国家電網公司も太陽光発電事業の系統連系に100億元を投じる計画である。これは中国国内の太陽光発電市場が開かれる兆しと見られている。

 (中国新聞網 11月30日)