電力事業はクリーン・コールの最大需要家であり、石炭から電力への転化過程において、石炭燃焼により発生する煙霧、二酸化硫黄や窒素酸化物を基本的に除去することが出来る。 今年初頭、中国の中東部地区はスモッグに覆われ、PM2.5濃度の上昇が日々続いた。多くの都市でPM2.5濃度は500マイクログラム前後に達し、中国の基準による24時間平均濃度上限値の7倍前後になった。PM2.5はますます関心の焦点になっている。 スモッグと聞いて誰もが最初に思い浮かべるのは化石エネルギーの石炭と石油であろう。石炭と石油は中国の一次エネルギー消費の約90%を占め、特に石炭は70%を占める。石炭消費の中で石炭火力発電所が占める消費量は50%以下であり、そのため、石炭火力発電所がスモッグの元凶と見なされるのも故なしとしない。 しかしながら、事実はそれとは異なる。中国は、石炭火力発電所のクリーン・コール利用によって、石炭を主とするエネルギー構造を維持しているのであり、もし中国が欧州と同様に石炭の80〜90%を発電に用いることが出来れば、中国のスモッグもこれほど深刻になることはなかっただろう。中国が今後相当長期にわたって石炭を手放せない状況で、スモッグを緩和するためには、工業(鉄鋼・化学・セメント等)原料用の石炭をクリーン・エネルギーに転換して、より多くの石炭を火力発電所に用いることが唯一の方法になる。 電力事業はクリーン・コールの最大需要家であり、電力事業部門は石炭を電力に転化する過程において、石炭燃焼により発生する煙霧、二酸化硫黄や窒素酸化物を基本的に除去することが出来る。換言すれば、電力事業の石炭使用によってスモッグの形成を除去することが出来るのである。第11次5ヵ年規画期以来、中国は石炭火力発電所の汚染制御において極めて大きな成果を遂げた。新しい電気除塵設備の効率は一般のものより99.5%高く、第11次5ヵ年規画期の火力発電設備容量の年平均増加率が13.8%であったにもかかわらず、煙塵排出量は約350万トンであったのが160万トンに急減した。1kWh当たりの煙塵排出量は1.8グラムから0.5グラムに下がった。電気除塵設備と袋式除塵設備の微小粒子物回収効率は95%以上に達し、湿式脱硫装置の除塵効果も加えると、PM2.5の平均総合除去率は97%以上に達している。 石炭火力発電所の二酸化硫黄管理の面では、2010年の排出量は2005年に比べ374万トン減少した。中国の火力発電1kWh当たりの二酸化硫黄排出量は、2005年の6.4グラムから2010年には2.7グラムに下がり、米国の2009年の3.4グラムという水準よりも良好である。窒素酸化物については、2010年は2005年比で210万トンの増加に止まり、1kWh当たりの窒素酸化物排出量は3.62グラムから0.82グラム減少して3.62グラムにまで下がった。石炭火力発電所の配置にも大きな変化が生じた。熱併給発電所を除いて、新規建設の石炭火力発電所はすでに都市から離れており、はるか遠くの炭鉱区に移転されたものもある。古い石炭火力発電所については設備の更新や淘汰、熱供給用小型ボイラーの代替などの措置を取り、PM2.5の削減に直接、間接の作用を発揮している。 中国の40億トン近くに上る年間石炭消費の中で電力に用いられるのは50%であり、残りの50%は鉄鋼、冶金、化学工業、セメント等の産業や小型ボイラー、小型キルン、家庭の炊事や暖房などに用いられる。石炭火力発電所では厳格な集中排出や高空排出が行われているのに対して、電力以外の50%の石炭燃焼による汚染はもっと深刻であり、汚染の分散度も大きく、低空の汚染制御は難しいため、都市を汚染する大きな原因になっている。 今年初頭のスモッグから得た教訓は、全国のいくつかの業種もしくは一つの業種の汚染物排出量を主要な目標とする環境保護措置は間違っているということである。たとえ石炭火力発電所の汚染物排出削減要件が全国の排出削減総量の要件を満たしたとしても、分散する汚染や低空汚染に対する管理と制御がなければ、汚染問題とスモッグは解決できないままである。 石炭火力発電所は最もクリーンに石炭を利用することが出来る需要家であるが、石炭火力発電のクリーンな利用のみですべて賄えるわけではない。スモッグ問題を解決するためには、あらゆる石炭需要家がクリーンに石炭を利用できるようにしなければならない。もう一つの方法は、分散しており、汚染制御が不可能な需要家がエネルギーを石炭から天然ガスや電力などクリーンなエネルギーに転換し、代替された石炭を石炭火力発電所や厳正な汚染制御が可能な需要家に供給することである。 (能源雑誌 4月17日)
電力事業はクリーン・コールの最大需要家であり、石炭から電力への転化過程において、石炭燃焼により発生する煙霧、二酸化硫黄や窒素酸化物を基本的に除去することが出来る。
今年初頭、中国の中東部地区はスモッグに覆われ、PM2.5濃度の上昇が日々続いた。多くの都市でPM2.5濃度は500マイクログラム前後に達し、中国の基準による24時間平均濃度上限値の7倍前後になった。PM2.5はますます関心の焦点になっている。
スモッグと聞いて誰もが最初に思い浮かべるのは化石エネルギーの石炭と石油であろう。石炭と石油は中国の一次エネルギー消費の約90%を占め、特に石炭は70%を占める。石炭消費の中で石炭火力発電所が占める消費量は50%以下であり、そのため、石炭火力発電所がスモッグの元凶と見なされるのも故なしとしない。
しかしながら、事実はそれとは異なる。中国は、石炭火力発電所のクリーン・コール利用によって、石炭を主とするエネルギー構造を維持しているのであり、もし中国が欧州と同様に石炭の80〜90%を発電に用いることが出来れば、中国のスモッグもこれほど深刻になることはなかっただろう。中国が今後相当長期にわたって石炭を手放せない状況で、スモッグを緩和するためには、工業(鉄鋼・化学・セメント等)原料用の石炭をクリーン・エネルギーに転換して、より多くの石炭を火力発電所に用いることが唯一の方法になる。
電力事業はクリーン・コールの最大需要家であり、電力事業部門は石炭を電力に転化する過程において、石炭燃焼により発生する煙霧、二酸化硫黄や窒素酸化物を基本的に除去することが出来る。換言すれば、電力事業の石炭使用によってスモッグの形成を除去することが出来るのである。第11次5ヵ年規画期以来、中国は石炭火力発電所の汚染制御において極めて大きな成果を遂げた。新しい電気除塵設備の効率は一般のものより99.5%高く、第11次5ヵ年規画期の火力発電設備容量の年平均増加率が13.8%であったにもかかわらず、煙塵排出量は約350万トンであったのが160万トンに急減した。1kWh当たりの煙塵排出量は1.8グラムから0.5グラムに下がった。電気除塵設備と袋式除塵設備の微小粒子物回収効率は95%以上に達し、湿式脱硫装置の除塵効果も加えると、PM2.5の平均総合除去率は97%以上に達している。
石炭火力発電所の二酸化硫黄管理の面では、2010年の排出量は2005年に比べ374万トン減少した。中国の火力発電1kWh当たりの二酸化硫黄排出量は、2005年の6.4グラムから2010年には2.7グラムに下がり、米国の2009年の3.4グラムという水準よりも良好である。窒素酸化物については、2010年は2005年比で210万トンの増加に止まり、1kWh当たりの窒素酸化物排出量は3.62グラムから0.82グラム減少して3.62グラムにまで下がった。石炭火力発電所の配置にも大きな変化が生じた。熱併給発電所を除いて、新規建設の石炭火力発電所はすでに都市から離れており、はるか遠くの炭鉱区に移転されたものもある。古い石炭火力発電所については設備の更新や淘汰、熱供給用小型ボイラーの代替などの措置を取り、PM2.5の削減に直接、間接の作用を発揮している。
中国の40億トン近くに上る年間石炭消費の中で電力に用いられるのは50%であり、残りの50%は鉄鋼、冶金、化学工業、セメント等の産業や小型ボイラー、小型キルン、家庭の炊事や暖房などに用いられる。石炭火力発電所では厳格な集中排出や高空排出が行われているのに対して、電力以外の50%の石炭燃焼による汚染はもっと深刻であり、汚染の分散度も大きく、低空の汚染制御は難しいため、都市を汚染する大きな原因になっている。
今年初頭のスモッグから得た教訓は、全国のいくつかの業種もしくは一つの業種の汚染物排出量を主要な目標とする環境保護措置は間違っているということである。たとえ石炭火力発電所の汚染物排出削減要件が全国の排出削減総量の要件を満たしたとしても、分散する汚染や低空汚染に対する管理と制御がなければ、汚染問題とスモッグは解決できないままである。
石炭火力発電所は最もクリーンに石炭を利用することが出来る需要家であるが、石炭火力発電のクリーンな利用のみですべて賄えるわけではない。スモッグ問題を解決するためには、あらゆる石炭需要家がクリーンに石炭を利用できるようにしなければならない。もう一つの方法は、分散しており、汚染制御が不可能な需要家がエネルギーを石炭から天然ガスや電力などクリーンなエネルギーに転換し、代替された石炭を石炭火力発電所や厳正な汚染制御が可能な需要家に供給することである。
(能源雑誌 4月17日)