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【新エネルギー】

洋上風力発電の過度の「猛進」には様々な問題が潜在 (13/05/06)
2013/5/12
中国【新エネルギー】

 中国沿海部の各省から、洋上風力発電産業の発展ぶりが伝わっている。福建大唐国際風電開発有限公司は六鰲洋上風力発電所計画案を起草し、すでに国家能源局に提出して認可を待っているところである。また、今年3月末には上海東海大橋洋上風力発電所第2期事業も国家能源局から認可される見通しである。

 一方、上海、江蘇、河北、浙江など沿海部の都市も次々と行動を開始し、風力発電計画を完成させている。大連市や福建、広西、海南等の省も計画の策定と完備を進めており、すでに4,300万kWの洋上風力発電開発のポテンシャルが確定されている。現在38件の事業計画があり、プレスタディを展開している事業は1,650万kWに上る。

 風力発電第12次5ヵ年規画によると、2015年に中国の洋上風力発電設備容量は500万kWに、2020年末には3,000万kWに達する。今年初頭に開かれた全国エネルギー工作会議では、2013年の新規風力発電設備容量を1,800万kWにすることが明確に打ち出された。

 福建大唐等の筆頭企業や沿海部の都市は洋上風力発電の開発熱を高めているが、その商業運転は未だに実質的な進展を遂げていない。中創国発産業研究センターの上席研究員である張澄宇氏によると、江蘇省に代表される洋上風力発電産業は雛形を見せ初めているが、技術面では依然としてボトルネックが存在している。また、政策や法規の細目は未整備であり、風力発電機の不安定な品質などの要素も洋上風力発電の発展を制約している。

 中投顧問産業研究センターの新エネルギー産業研究員である蕭涵氏は、地方政府が風力発電産業の全体的な発展を考慮しないまま洋上風力発電事業に「猛進」すれば、風力発電の機会損失電力、系統連系の難題、発電所の収益能力の低下といった問題が露呈することは間違いないと指摘する。洋上風力発電も陸上風力発電の轍を踏むことになろう。

 洋上風力発電産業の展望が広がっていることには疑問の余地はないが、洋上風力発電のコストは陸上風力発電よりも高く、リスク係数も高い。また、コアテクノロジーや中核設備の研究開発能力、製造能力が依然として弱いことや、日常のメンテナンスやサービス体系がいずれも不健全であることなどは、洋上風力発電の当面の課題である。蕭涵氏によると、国レベルの産業計画の公布が遅れており、執行度も低い。地方政府は一般に地元の具体的な状況に応じて産業構造と経済発展の重心を部署するが、そうした措置が国レベルの政策と衝突する可能性は極めて高い。その結果、産業全体の生産能力過剰や構造のアンバランスなどが助長される。そうした状況はすでに太陽光発電や陸上風力発電の分野で頻発していたものである。

 (中電新聞網 5月6日)