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【新エネルギー】

円安によって中国PV企業の日本市場開拓が困難に (13/05/24)
2013/5/29
中国【新エネルギー】

 「円安は短期的には中国の太陽光発電産業に及ぼす影響は比較的小さいが、長期的に見ると、中国太陽光発電企業の日本市場開拓にとって不利だ」。正略諮詢顧問公司の厳俊文氏は5月23日、こう指摘した。

 厳俊文氏の見方によると、日本では福島原発の放射能漏れ事故以降、多くの原子力発電所が停止され、エネルギー不足を補うことが出来る太陽光発電産業が大きな注目を集めるようになった。こうした背景の下に日本の太陽光発電設備容量は急速に拡大し、ドイツ、イタリア、米国を追い抜いて、2013年には中国に次ぐ世界第2の市場になった。また、日本は国外のPV企業を引き入れて供給を加速させている。

 日本の太陽光発電電力の系統連系価格は世界で最も高いが、太陽エネルギーに対する支援は、ドイツや中国のインセンティブのおよそ3倍になる。

 世界のPV関連株価上昇の流れを作った晶澳太陽能公司の2013年第1四半期財務報告によると、同公司の第1四半期の業績が好転したが、それには日本市場が貢献した。欧米のダブルアンチ措置(反ダンピング・反補助金)を背景に、中国PV企業にとって日本市場の重要性はますます突出するようになった。

 もっとも、民生証券の新エネルギー産業首席アナリストである王海生氏は、今年第2・第3四半期の営業収入は全体的に第1四半期には及ばないと見ている。季節的な影響以外に急激な円安もその大きな要因になり、日本で販売するPVモジュールの粗利益率に低下が生じているからである。

 厳俊文氏は、日本のPV市場には特殊性があり、市場参入には2つのルートがあると指摘する。第1に製品認証。長いサイクルを要する認証は参入のハードルが極めて高く、認証にパスした中国企業は極少数に過ぎない。第2に日本のPV企業と合弁で工場を建設することである。こうした2つの方式によって日本市場に参入している企業は少なく、中国のPV製品輸出の中で対日輸出が占める割合は小さい。

 関係機関の推計によると、人民元の対円為替レートの20%上昇により、概ね中国の実質実効為替レートが約1.5%上昇し、中国の実際の輸出を約2.5ポイント押し下げることになる。従って、円安は短期的には中国の太陽光発電産業に対する影響は比較的小さいが、長期的に見ると中国太陽光発電企業の日本市場開拓にとって不利に働く。

 5月9日に日本円は節目となる1ドル100円の大台を突破し、2009年4月以来47ヵ月ぶりの安値になった。円安傾向は今年内も変わりがないとの分析もある。

(証券市場週刊 5月24日)