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【省エネ・環境】

環境保護税法案に初めて炭素税が盛り込まれる (13/05/24)
2013/5/31
中国【省エネ・環境】

 関係政府部門は《中華人民共和国環境保護税法》審議用素案を鉄鋼、電力、非鉄金属、石炭など「両高(高エネルギー消費・高汚染)」業界の関係団体に送付した。現行の汚染排出費に代わる新たな税目として、環境保護税に二酸化炭素排出税が盛り込まれる。税率は現行の汚染排出費より若干高くなる。

 《国務院2012年立法作業計画》は環境保護税法の策定を重要な作業と位置づけ、財政部、国家税務総局、環境保護部は国務院法制弁公室と協力して指導小組と作業小組を設け、前出の素案を起草し、中国石炭工業協会、中国電力企業聯合会、中国非鉄金属工業協会など多数の業界団体に送付して意見を求めた。

 前出の政府部門の幹部によると、環境政策ツールの運用において、中国は今なお行政手段に依存しており、行政コストは極めて高くなるが、執行効果の安定性に劣り、市場競争を阻害しやすく、社会矛盾を激化させる。現行の天然資源と汚染排出製品の税負担では、環境コストを有効に体現させることが出来ず、汚染物排出費にも執行力の不足や地方政府の掣肘などの弊害が伴う。そのため、今回の素案は現行の汚染排出費よりも多くの面で打開を遂げている。第1に、環境保護税は税負担の面で、企業が汚染管理を行うより汚染排出費の納付を選ぶという状況を徐々に変えることに意を用いている。第2に、環境保護を強化するため、各汚染源の排出因子を現行の汚染排出費の3項目から5項目に増やしている。第3に課税対象をめぐっては、一般工業固体廃棄物を環境保護税に盛り込んでいる。第4に、政府部門間の協力をめぐっては、税務機関が環境保護税徴収の責務を負い、環境保護部門は課税すべき汚染物の種類と数量を認定する責務を負うとしている。

 今回の素案の規定によると、環境保護税の具体的な適用税率は国務院と省クラス人民政府が《環境保護税税目税率表》に基づき確定する。但し、この税目税率表は税率の幅を規定しているだけであり、大気汚染物と水汚染物の税率の上限と下限は3倍以上の開きがあり、二酸化炭素の税率の上限と下限の開きは10倍以上に上る。消息筋の説明によると、排出削減情勢が依然深刻であることを考慮して、今後の税額調整の余地を残すものである。

 取材した専門家は、今回の汚染排出費から環境保護税への転換は権限の拡張を意味しているに過ぎないと指摘し、定額の適用税率を明確にし、国務院が課税対象の汚染物の具体的なリストを規定して、政府の自由裁量権を斥け、政府と企業の駆け引きの余地を減らすべきであると提言した。

 今回の素案は初めて炭素税を環境保護税の中に盛り込み、石炭及び石炭製品、コークス炉ガス、原油、ガソリン、軽油、LPG、天然ガス、その他の化石燃料を課税範囲に入れることになる。但し、主要エネルギー消費企業や二酸化炭素の排出削減及び回収技術を採用する企業は炭素税の減免を受けることが出来る。納税者が炭素回収貯留等の技術を採用して実際の二酸化炭素排出を減らしている場合、炭素排出量から削減量を差し引くことになる。

 (新華網 5月24日)