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【省エネ・環境】

省エネ家電補助金の終了は生産能力過剰が原因か (03/05/30)
2013/6/10
中国【省エネ・環境】

 昨年6月に1年間の期限付で始まった省エネ家電財政補助金政策が間もなく終了する。財政部のホームページによると、財政部、国家発展改革委員会及び工業情報化部は連名で省エネ家電財政補助金政策の期限満了後は終了すると通達した。つまり、2013年6月1日をもって、薄型テレビなど5種類の省エネ製品を購入しても最早中央政府財政からの補助金は受けられないことになる。

 省エネ家電財政補助金の終了は業界にとって予想外の事態ではない。中国家電商業協会営業販売委員会の洪仕斌執行会長によると、省エネ家電補助金は国の省エネ・排出削減政策に呼応するものであり、省エネ家電の普及に大きな効果を上げたが、業界に対しては、市場の良性発展を乱し、生産能力過剰をもたらすなどマイナス影響もあった。「企業が政策依存病を患うと、必ず市場競争の活力を失うことになる。企業はもっと市場に依存して利益を図るべきだ。特殊な政策を恒常化してはならない」と洪仕斌氏は言う。

 2012年6月、内需を拡大し、グリーン消費を牽引し、省エネ・排出削減を促進するため、国務院は財政補助方式によってエアコン、薄型テレビ、冷蔵庫、洗濯機、温水器の高効率省エネ家電5種の普及を推進することを決定し、実施期間は暫定的に1年間とした。

 実施からわずか1年にもかかわらず、省エネ家電消費に対する補助金の牽引効果は、当初の「家電下郷」政策に劣らないものになった。2012年の省エネ恵民プロジェクトは3,270万台の高効率省エネ家電の普及効果を上げ、1,154億元の消費需要を牽引した。今年2月、白物家電の国内販売製品のうち40〜50%が省エネ補助金対象製品であり、黒物家電に到ってはその比率は90%に達した。

 家電量販店の販売担当者によると、省エネ家電補助金はあらゆる消費者を対象にしたため、以前の「家電下郷」政策よりもさらに消費を刺激することが出来た。財政部は、政策実施から1年、普及推進効果は顕著であり、省エネ家電の市場シェアは大幅に上昇し、消費牽引効果も顕著で、政策の所期の目標は基本的に達成したと表明した。

 政策のおかげで業界の売上が伸びたが、補助金政策に全ての人が満足していたわけではない。中国家庭用電器協会は工業情報化部、財政部及び国家発展改革委員会に省エネ恵民補助金政策の終了について建議書を提出した。その理由は、「この政策によって家電企業に依存心が生まれることは、企業が市場に基づいて製品構造の調整を進める上で不利である」とするものであった。

 家電産業に詳しい劉荷清氏によると、補助金政策は家電の販売を促進したが、家電市場に大きな繰越をもたらした。「耐久消費財である家電の消費サイクルは通常5〜8年であるが、家電補助金政策は家電業界固有の消費サイクルを一定程度乱した」。

 また、長期の補助金政策は企業の生産能力拡大を鼓舞した。主要製品の在庫量を見ると、2010〜2011年にかけて洗濯機、冷蔵庫、エアコンの在庫は前年比20%以上増加した。

 洪仕斌氏によると、企業は本来新製品の開発に投資すべきであったが、補助金政策がもたらす新たな市場需要に対応するため、生産能力の拡大に走った。家電業界はもともと成長期から成熟期に進んでいたが、種々の政策は産業の方向性に影響を及ぼした。

 もっとも、業界内には異なる声もある。万家楽の李濤ブランド管理部長は「省エネ家電補助金政策は温水器の消費構造の変化を促した。補助金がずっと続くとともに、さらに強化されることを希望する」と述べた。エアコンやテレビとは異なり、温水器が国の補助金政策の対象になったのは昨年が初めてであり、万和の関係者も、十把一絡げにするのではなく、製品別に対応を変えるよう希望を表明する。

 奥維諮詢研究院の張彦斌院長の見方では、補助金政策の終了が業界の構造に大きな影響を及ぼすことはない。政策終了による圧力は大手も中小も等しく受けることになるが、但し圧力に耐える能力は異なるところがある。

 家電企業の態度は様々であるが、業界が注目するのは、省エネ家電補助金終了後に家電市場にいかなる変化が生じるのかということである。

 業界関係者は、補助金政策終了後3〜6ヵ月は市場の低迷期が続くと指摘する。メーカーが事前に準備を進め、新製品のリリースや普及活動によって消費を刺激して、低迷期を乗り切らなければならない。中怡康の予測によると、2013年下半期に市場は徹底調整期に入るが、第3四半期には底入れし、第4四半期から徐々に安定に戻る。

 なお、張彦斌氏は省エネ補助金終了後も家電製品の値上げはないと見ており、「せいぜい補助金政策実施前の価格水準に戻る程度だろう。値上げは市場シェアの喪失を意味し、どのメーカーもそのような事態が目にしたくないからだ」と述べた。
 
 (漢豊網 5月30日)