1. HOME
  2. 中国 【新エネルギー】

中国
【新エネルギー】

【論説】中国PV産業は外に権利を争い内に権力の下放を進めよ (03/06/03)
2013/6/10
中国【新エネルギー】

 6月6日、EUの中国PV製品に対する47.6%の懲罰的関税案が発効し、もともと深刻な苦境に陥っていた中国PVメーカーは、生きるか死ぬかの試練に直面することになる。中国企業にとって不利な方向へと事態を発展させないため、貿易大国の間に「ルーズ・ルーズ」を生じさせないため、中国政府は周旋に努め、商務部公平貿易局は交渉チームを派遣して各国と最終交渉を進めた。また、李克強首相は訪欧中に中国政府の立場を十分に伝えた。

 EUが昨年末中国PV輸出製品に「ダブルアンチ(反ダンピング・反補助金)」調査を発動したのは、多くの加盟国が債務危機の圧力にさらされていたからである。しかし、中国PV企業の大規模な輸出によって中国企業だけが得をするわけではない。実際には欧州市場の需要を満たし、中国と欧州のPV企業の補完を拡大した。例えば、ドイツのソーラー製品メーカーは中国のPVメーカーに大量の機械設備や生産材料を輸出することによって利益を得ている。こうした実際の利益を勘案したドイツ企業1,000社は政府に上申して、EUの中国企業に対する貿易制裁に反対した。

 李克強首相は欧州訪問中、EUの「ダブルアンチ」調査について「こうした保護貿易主義的なやり方は国際社会に誤ったシグナルを発した。中国側の関連産業の発展にとって不利であるのみならず、欧州の企業と消費者の利益も損なった。グローバル化の背景の下では通らないことであり、人を損なうだけでなく自身の利益にもならない」と述べたが、正にその通りである。中国政府がEUと前向きに交渉を進め、平和的な方向に向けて事態を発展させるよう努めることは全く必要なことであり、WTOの精神にも合致している。中国企業がこのように国際市場において権利を争う行動は国内企業の支持を得るに十分であるだけでなく、世界に対しても責任を負う政府のイメージを打ち立てている。当然ながら権利を争うことは決して空虚なスローガンではない。実際の状況に基づいて行う利益ゲームである。望ましい方向へ事態を発展させるため、中国政府はEUに価格の公約を行ったが、残念なことにEU側には対等の誠意が乏しかった。

 中国はEUが貿易紛争をもたらすことに反対しつつ、PV産業の発展をめぐる中国の失策についても反省しなければならない。中国政府は経済運営においてこれまで一貫して主導的役割を発揮し、産業の発展は政府の推進に著しく依存してきたが、その結果、非常に多くの産業が生産能力過剰の苦境に陥った。PVも政府が強力に推進する産業の一つになった。中国国内市場には応分の消化能力が未だなく、多くの製品は国際市場に販路を求めたため、極めて容易に貿易紛争が惹起することになった。昨年以降、PV産業が国内外からの難題に直面しながら、地方政府は依然として習慣のようにPV企業に対して助成を行い、極端な場合には地方政府が大風呂敷を広げてPV企業の債務を財政資金によって解決することさえあった。しかし、PV企業が転換を進めることで苦境から脱するよう推進することはしなかった。中国PV産業の発展過程において、政府は教訓を汲み取った。外に対して権利を争い、政府の外交力を生かして交渉に勝つと同時に、国内市場においては積極的に権力の下放を進めなければならないということである。当然ながらこの権利と権力は同じものではない。国外に対して権利を争うことは、国家主権を擁護することであり、不公平な貿易制裁の乱用が中国企業の利益に影響することを座視するわけには行かない。EUの制裁が発効しても中国は依然としてEUとのゲームを積極的に展開して、中国企業のために然るべき権利を争う必要がある。一方、国内に対しては権力を下放しなければならない。下放すべきは、過度に経済運営に関与し政府の行為を企業の市場選択に取って代わらせる権力である。PV産業の危機に直面する中、政府は企業に対する「父性愛主義」を放棄し、行政の簡素化と権力の下放を進めると同時に、政府機能を転換して、企業が市場の荒波の中で成長するようにしなければならない。政府が企業を産着の中で抱くようなことを続ければ、PV産業だけでなく、他の産業にも同様の危機が生じることになる。

 (長江商報 6月3日)