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【省エネ・環境】

北京のPM2.5が基準に達するのは2030年 (03/06/08)
2013/6/17
中国【省エネ・環境】

 北京市社会科学院は《北京公共サービス発展報告(2012〜2013)》を発表した。同報告書によると、北京市のPM2.5年平均濃度は70mg/m3で、WHOの提言する目標35mg/ m3とは極めて大きな距離があり、2030年になってようやく基準に達すると予想される。

 北京市は《2012〜2020年大気汚染管理措置》を公布し、3段階の戦略目標を策定したが、その実現にはおよそ20年を要する。2015年までの第1段階ではPM2.5濃度を60mg/m3に減らして、2010年比で15%下げる。2020年までの第2段階ではPM2.5濃度を50mg/m3以下に抑制し、2010年比で30%減らすことになる。これは現在の密雲ダム上空の大気に相当する。そして第3段階では長期目標として、WTOが設定した発展途上国の大気質基準である年平均濃度35mg/m3に達するようにする。PM2.5管理の任務が極めて困難であることから、2030年になってようやく基準に達すると予想される。

 北京市は3段階の戦略目標を実現する上で、次のような課題に直面することになる。

 第1に北京市のPM2.5の成因と拡散についてさらなる研究を要する。PM2.5の形成メカニズムは複雑であり、特に工業排出源や飲食業その他の産業の汚染状況は極めて複雑である。また、化学反応後の形成過程も未だあまり解明されていない。まず、PM2.5の分布特徴を観測し、次にその形成過程を研究しなければならない。海外の成熟した方法を活用し、中国の大気汚染固有の問題で打開を図る必要がある。

 第2に、PM2.5が基準に達するかどうかは、地域共同予防制御を実現できるかどうかによって決まる。PM2.5管理は長期的なプロセスであり、大気汚染は流動性と地域性が極めて高い。北京市の努力だけでは、たとえ第1、第2段階の目標を実現できたとしても、河北省、内蒙古自治区、山西省、天津市等との共同予防制御と共同管理なくして、長期目標を実現することは難しい。

 第3に、産業構造調整が実際の効果を挙げるかどうかが問題である。産業構造調整は長期的、持続的なプロセスであり、不確実要因が極めて大きい。北京市はすでにサービス業を主とする産業構造を形成しており、2011年末時点で北京市のサービス業の比重は75.7%に達し、産業構造調整の余地はすでに限られたものになっている。サービス業自身のPM2.5の排出は技術進歩の程度によって左右されるが、将来の技術進歩のスピードは予測し難い。

 (中国網 6月8日)