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【論説】補助金によって中国のPV産業を救済できるのか (13/06/26)
2013/7/5
中国【新エネルギー】

 6月14日、国務院常務会議は10ヵ条の大気汚染防止措置を議決した。その第6条は「環境保護産業と新エネルギー産業の育成に力を入れる」ことを打ち出している。その手段の一つが太陽光発電産業の健全な発展を強化し保障することである。同日の会議は太陽光発電産業の健全な発展を加速する6ヵ条の措置を打ち出し、「太陽光発電電力価格支援政策を完備し、太陽光発電所の区域別系統連系ベンチマーク価格を策定し、再生可能エネルギー基金の規模を拡大し、分散型太陽光発電に対して電力量に応じた補助金が即時発給できるよう確保しなければならない」とした。6月16日には国家能源局も太陽光発電産業の健全な発展をテーマに座談会を開いて、分散型太陽光発電の発展に向けた具体的措置を検討するとともに、分散型太陽光発電実証区の建設について部署を行った。

 近年、太陽光発電産業の生産能力過剰や対外貿易環境の悪化に伴い、内需市場を刺激して切り開くことが焦眉の急となっている。系統連系電力価格補助金は徐々に新エネルギー消費の推進薬になりつつある。世界的に見ると、補助金政策の目的として主に二つのことが挙げられる。一つはイノベーションと創造を奨励、刺激すること。特に産業のライフサイクルの初期段階にあっては、揺籃期にある各種技術、設備や関連部品は在来分野からの抵抗や競争に直面して夭折する可能性が高い。そのため外部からの保護とサポートが必要になる。現在、各国政府も各種の新興的環境保護産業やスマートテクノロジーを強力に支援している。補助金のもう一つの効能は、社会的弱者の保護である。新興産業の台頭は必然的にその他の産業の衰弱につながり、その結果、新たな社会的弱者が形成され、効率と公平の間でバランスを取るために、保護措置が必要になる。

 太陽光発電産業についても、上述の2つの要請から補助金が必要になる。第1に、太陽光発電産業もまた新興産業の一つである。太陽エネルギーや分散型エネルギー供給方式はいれもエネルギー利用における大きな変革であり、我々が持続可能な発展の道を歩むことを可能にする。そのため、補助金などの支援を積極的に進めるべきである。第2の側面については、意外なことに工業化時代の資本−創造−貿易システムに推進される形で、僅々数年内に巨大なPV生産能力を創造することが出来た。このことは世界的な技術革命のサイクルがますます短くなっていることを示している。特に先進国の研究開発面の優位と途上国の製造面の優位がシームレスにマッチし、自由貿易の条件が加わることによって、世界のPV産業は瞬く間に「老化」し、その能力も前倒しで過剰を来たして、在来型産業と同じような過剰現象を現出している。

 新興産業もまた、生産能力過剰の結果、上述した2つ目の側面、すなわち産業保護の面から補助金が求められるようになり、結局、イノベーションの刺激と産業保護がともに太陽光発電に対する補助金政策の理由になっている。国際市場情勢が芳しくないため、国家能源局がすでに執行している「金太陽」プロジェクトとこれから実施する太陽光発電補助金といった関連政策を見ると、後者の要請は前者の要請に取って代わることが補助金の重要な目的になっていることが分かる。

 問題は補助金が本当に中国の太陽光発電産業を救済できるかどうかにある。実際、これまでの政策の下で、中国の太陽光発電産業は補助金によって形成された発展の隘路に陥ってきた。それは、まず各種補助金によって太陽光発電産業の発展を奨励・刺激し、そして太陽光発電所の建設を奨励・刺激し、さらには太陽光発電を奨励・刺激するというものである。しかし、今のところ補助金は生産を生み出し、従来の生産能力を消化することには役立つが、最終的な需要を牽引することは未だに出来ていない。そのため太陽光発電産業の発展は供給から需要に到るまで、補助金に対する深刻な依存を示している。その結果、実際には「イノベーションの促進と社会的弱者の保護」という本来の目的とは背馳している。「イノベーションの促進」の面では、補助金は未だに競争力を有効に高められないままである。「弱者の保護」についても、補助金は未だに真の意味で市場需要を創造することが出来ていない。こうした現状をもたらした根源は、中国の現行の太陽光発電補助金政策の位置づけが依然として間違っていることにある。そのことは次のいくつかの教訓に総括することも出来るだろう。第1に、補助金政策は、新興産業としての太陽光発電産業の特性と限界を超えてはならない。第2に、産業の現段階のボトルネック、すなわち技術革新を超えたところに補助金の重点を置いてはならない。第3に、産業保護は決して補助金の重点や理由にはならない。太陽光発電産業やその生産能力過剰を「社会的弱者」として保護と補助を行うのなら、保護の最終的な効果や有効配置の面から最も直接的で有効なやり方は太陽光発電企業の破産・合併・失業を清算することであり、結局、太陽光発電産業の需給は市場によって自ら決定することが得策になる。

 (東方早報 6月26日)