中国の天然ガス価格改革が実質的な一歩を踏み出した。国家発展改革委員会は6月28日、非民生用天然ガスのシティゲート価格を7月10日より改定すると発表した。なお、民生用天然ガス価格は改定しない。天然ガス平均シティゲート価格は1m3当たり1.69元から1.95元に引き上げられる。 「今回の価格調整の幅は決して大きいものとは言えず、民生用天然ガスは対象にされていない。しかし、その意義は重大であり、市場化の指針に適合する新たな価格メカニズムの確立に向けて重要な一歩を踏み出したということだ」と中国石油大学中国エネルギー戦略研究院の王震常務副院長は言う。また、国家発展改革委員会の関係幹部は、中国の天然ガス価格調整の基本的な考え方として、市場化の指針に従って、市場の需給と資源の不足度を反映するとともに代替可能なエネルギーの価格とも連動する動態的な調整の仕組みを確立し、代替可能エネルギーとの比較関係の合理化を徐々に進めて、最終的に天然ガス価格の完全市場化を実現するために基礎を固めることを指摘する。この移行段階は3年間に及ぶと予想される。 今回の非民生用天然ガス価格の調整では、天然ガスを在庫ガスと増量ガスに区分している。在庫ガスのシティゲート価格の値上げ幅は最高でも1m3当たり0.4元以下、うち化学肥料用ガスの最高値上げ幅は0.25元。増量ガスのシティゲート価格は代替可能エネルギー(重油・LPG)価格の85%とされている。在庫ガスとは2012年に実際に使用された天然ガスの数量を指し、増量ガスは新たに増加した天然ガスの数量を指す。2013年の価格調整のもとになる在庫ガスは1,120億m3、増量ガスは110億m3と予想されている。割合は在庫ガスが91%、増量ガスが9%になる。 国家発展改革委員会の関係責任者によると、在庫ガスと増量ガスを分けてそれぞれ価格を決定した理由は、天然ガス価格の新たなメカニズムを速やかに確立するとともに、市場シグナルを発する上で有利だからである。また、下流のユーザーが天然ガス資源を有効に利用する上でも有利だからである。同時に在庫ガス価格を段階的に調整することで既存のユーザーに対する影響を小さくすることも出来る。一方、増量ガスによって在庫ガス価格の調整を促すことで、方案実施の難度と抵抗力を引き下げ、平穏裡に実施することが可能になる。 今回、シティゲート価格が適用されるのは、国産陸上天然ガス、輸入パイプラインガス、非在来型天然ガスの発展を奨励するために2011年に開放されたシェールガス・炭層ガス・SNGの出荷価格及びLNGのガス源価格である。 中国の天然ガス需要が上昇する中、天然ガス価格の改革はますます差し迫ったものになっている。統計によると、2012年に中国の天然ガスの対外依存度は27%に達した。輸入天然ガス価格が国内の天然ガス小売価格を上回る「逆さや」問題は今や中国の天然ガス産業の発展を制約する主要要因になっている。 今回の価格調整以前、中国の天然ガス出荷価格は、中央アジアからの輸入天然ガスの税込みCIF価格よりも1m3当たり1.5元低かった。また、10年余り続いている中露天然ガス交渉は主に価格の隔たりが原因で未だに打開されていない。「そのことは輸入天然ガスの拡大にとって不利であるだけでなく、民営資本も含む投資家が天然ガス資源の探査開発に前向きになるようインセンティブを与えることも出来ない」と国家発展改革委員会の関係責任者は指摘する。 中国石油大学石油ガス産業発展研究センターの董秀成主任によると、天然ガスの大量生産と大量消費がなければ、経済構造の調整、エネルギー構造の最適化や科学的発展などはお話にならないにも関わらず、天然ガス価格改革の遅れが天然ガスの開発と輸入に影響を及ぼしている。また、低すぎる天然ガス価格は短期的には天然ガスの応用推進に有利であるものの、長期的には天然ガスの闇雲な開発と受給ギャップの拡大をもたらすことになる。 今回の価格調整において、中国は天然ガス価格管理を出荷段階での調整からシティゲート段階の調整に改めるとともに、シティゲート価格に政府指導価格を適用して最高上限価格管理を行い、需給双方が国の規定する価格範囲内において具体的な価格を協議の上で確定するようにした。この点について、王震氏は、中国の複数のガス源とパイプラインネットワークによって形成されている当面の情勢変化に適応するためであると指摘する。種々のガス源と距離が異なるパイプラインの間で競争を実現することは、市場メカニズムの作用を発揮させ、産業チェーンにおける各方面の利益バランスを取る上でより一層有利に働く。 国家発展改革委員会の関係責任者によると、今回民生用天然ガス価格は調整しなかったので、住民の生活に影響が出ることはなく、全体的な価格水準に直接的な影響が及ぶこともない。下流の産業にとって、今回の価格調整後も天然ガスは代替可能エネルギーと比較して依然競争上の優位を占めている。 また、化学肥料産業の天然ガスによる尿素生産のコストは、価格調整後も石炭系尿素生産コストと基本的に同じ水準が維持される。また、タクシー業界についても、価格調整後の自動車用天然ガス価格はガソリン価格の60%前後であり、天然ガスは依然として顕著な価格優位を維持する。 将来の民生用天然ガス価格の調整について、国家発展改革委員会の関係責任者は、価格改革が市民生活に及ぼす影響に対して十分に配慮すると表明する。今後民生用ガス価格を調整する場合、累進価格方式を採用することで庶民の基本的な生活を保証するとともに、基本需要を超過する部分については市場価格に従って合理的に需要を誘導することが方向性になるだろう。 (新華網 6月28日)
中国の天然ガス価格改革が実質的な一歩を踏み出した。国家発展改革委員会は6月28日、非民生用天然ガスのシティゲート価格を7月10日より改定すると発表した。なお、民生用天然ガス価格は改定しない。天然ガス平均シティゲート価格は1m3当たり1.69元から1.95元に引き上げられる。
「今回の価格調整の幅は決して大きいものとは言えず、民生用天然ガスは対象にされていない。しかし、その意義は重大であり、市場化の指針に適合する新たな価格メカニズムの確立に向けて重要な一歩を踏み出したということだ」と中国石油大学中国エネルギー戦略研究院の王震常務副院長は言う。また、国家発展改革委員会の関係幹部は、中国の天然ガス価格調整の基本的な考え方として、市場化の指針に従って、市場の需給と資源の不足度を反映するとともに代替可能なエネルギーの価格とも連動する動態的な調整の仕組みを確立し、代替可能エネルギーとの比較関係の合理化を徐々に進めて、最終的に天然ガス価格の完全市場化を実現するために基礎を固めることを指摘する。この移行段階は3年間に及ぶと予想される。
今回の非民生用天然ガス価格の調整では、天然ガスを在庫ガスと増量ガスに区分している。在庫ガスのシティゲート価格の値上げ幅は最高でも1m3当たり0.4元以下、うち化学肥料用ガスの最高値上げ幅は0.25元。増量ガスのシティゲート価格は代替可能エネルギー(重油・LPG)価格の85%とされている。在庫ガスとは2012年に実際に使用された天然ガスの数量を指し、増量ガスは新たに増加した天然ガスの数量を指す。2013年の価格調整のもとになる在庫ガスは1,120億m3、増量ガスは110億m3と予想されている。割合は在庫ガスが91%、増量ガスが9%になる。
国家発展改革委員会の関係責任者によると、在庫ガスと増量ガスを分けてそれぞれ価格を決定した理由は、天然ガス価格の新たなメカニズムを速やかに確立するとともに、市場シグナルを発する上で有利だからである。また、下流のユーザーが天然ガス資源を有効に利用する上でも有利だからである。同時に在庫ガス価格を段階的に調整することで既存のユーザーに対する影響を小さくすることも出来る。一方、増量ガスによって在庫ガス価格の調整を促すことで、方案実施の難度と抵抗力を引き下げ、平穏裡に実施することが可能になる。
今回、シティゲート価格が適用されるのは、国産陸上天然ガス、輸入パイプラインガス、非在来型天然ガスの発展を奨励するために2011年に開放されたシェールガス・炭層ガス・SNGの出荷価格及びLNGのガス源価格である。
中国の天然ガス需要が上昇する中、天然ガス価格の改革はますます差し迫ったものになっている。統計によると、2012年に中国の天然ガスの対外依存度は27%に達した。輸入天然ガス価格が国内の天然ガス小売価格を上回る「逆さや」問題は今や中国の天然ガス産業の発展を制約する主要要因になっている。
今回の価格調整以前、中国の天然ガス出荷価格は、中央アジアからの輸入天然ガスの税込みCIF価格よりも1m3当たり1.5元低かった。また、10年余り続いている中露天然ガス交渉は主に価格の隔たりが原因で未だに打開されていない。「そのことは輸入天然ガスの拡大にとって不利であるだけでなく、民営資本も含む投資家が天然ガス資源の探査開発に前向きになるようインセンティブを与えることも出来ない」と国家発展改革委員会の関係責任者は指摘する。
中国石油大学石油ガス産業発展研究センターの董秀成主任によると、天然ガスの大量生産と大量消費がなければ、経済構造の調整、エネルギー構造の最適化や科学的発展などはお話にならないにも関わらず、天然ガス価格改革の遅れが天然ガスの開発と輸入に影響を及ぼしている。また、低すぎる天然ガス価格は短期的には天然ガスの応用推進に有利であるものの、長期的には天然ガスの闇雲な開発と受給ギャップの拡大をもたらすことになる。
今回の価格調整において、中国は天然ガス価格管理を出荷段階での調整からシティゲート段階の調整に改めるとともに、シティゲート価格に政府指導価格を適用して最高上限価格管理を行い、需給双方が国の規定する価格範囲内において具体的な価格を協議の上で確定するようにした。この点について、王震氏は、中国の複数のガス源とパイプラインネットワークによって形成されている当面の情勢変化に適応するためであると指摘する。種々のガス源と距離が異なるパイプラインの間で競争を実現することは、市場メカニズムの作用を発揮させ、産業チェーンにおける各方面の利益バランスを取る上でより一層有利に働く。
国家発展改革委員会の関係責任者によると、今回民生用天然ガス価格は調整しなかったので、住民の生活に影響が出ることはなく、全体的な価格水準に直接的な影響が及ぶこともない。下流の産業にとって、今回の価格調整後も天然ガスは代替可能エネルギーと比較して依然競争上の優位を占めている。
また、化学肥料産業の天然ガスによる尿素生産のコストは、価格調整後も石炭系尿素生産コストと基本的に同じ水準が維持される。また、タクシー業界についても、価格調整後の自動車用天然ガス価格はガソリン価格の60%前後であり、天然ガスは依然として顕著な価格優位を維持する。
将来の民生用天然ガス価格の調整について、国家発展改革委員会の関係責任者は、価格改革が市民生活に及ぼす影響に対して十分に配慮すると表明する。今後民生用ガス価格を調整する場合、累進価格方式を採用することで庶民の基本的な生活を保証するとともに、基本需要を超過する部分については市場価格に従って合理的に需要を誘導することが方向性になるだろう。
(新華網 6月28日)