ロシア、カザフスタン、トルクメニスタンによるカスピ海沿岸天然ガスパイプライン建設協定が調印され、その結果、ロシアはカスピ海と中央アジアの石油・天然ガス資源の「バルブ」を掌握した。 カスピ海と中央アジアは豊富な石油・天然ガス資源を埋蔵しているが、この地区の国の多くは内陸国であるため、石油・天然ガスの輸出は極めて不便であり、パイプラインによる輸送が廉価で効率的な輸送となる。したがって、パイプラインを制するものが石油・天然ガス資源を制することになる。 国際油価の高騰に伴って、カスピ海と中央アジアのパイプラインをめぐるロシアと米国の争奪戦は熾烈を極めているが、現在主要パイプラインはいずれもロシアを経由しており、そのためロシアは米国に対し優位に立っている。 しかし、米国主導のバクー−ジェイハンパイプラインの竣工により、ロシアの独占は打破された。さらに、米国が強力に推進するカスピ海横断パイプラインが完成してバクー−ジェイハンパイプラインに接続すれば、中央アジアの石油・天然ガス資源はロシアを経由せずに欧州に輸送出来るようになる。 とはいえ、カスピ海横断パイプラインの交渉が継続中であるのに対し、今回、ロシア、カザフスタン、トルクメニスタンのカスピ海沿岸天然ガスパイプライン建設が先に落着し、そのため、ロシアが機先を制することになった。その背景には、(1)ロシアには「オイル・ダラー」が蓄積されており、パイプライン建設資金が十分にあった、(2)中央アジアはロシアの伝統的勢力範囲であり、ロシア側はこの地域と様々なつながりがある、(3)トルクメニスタンとカザフスタンは米国が中央アジアで「カラー革命」を発動することに不満を抱いている、といった点が挙げられる。 但し、ロシアは「バルブ」を一時掌握したものの、中央アジア諸国は石油・天然ガスという「卵」をすべてロシアの「籠」に入れるつもりはない。今後もこの地区における石油・天然ガス争奪戦はますます熾烈になると予想される。 (陸益峰 新華網 12月21日)
ロシア、カザフスタン、トルクメニスタンによるカスピ海沿岸天然ガスパイプライン建設協定が調印され、その結果、ロシアはカスピ海と中央アジアの石油・天然ガス資源の「バルブ」を掌握した。
カスピ海と中央アジアは豊富な石油・天然ガス資源を埋蔵しているが、この地区の国の多くは内陸国であるため、石油・天然ガスの輸出は極めて不便であり、パイプラインによる輸送が廉価で効率的な輸送となる。したがって、パイプラインを制するものが石油・天然ガス資源を制することになる。
国際油価の高騰に伴って、カスピ海と中央アジアのパイプラインをめぐるロシアと米国の争奪戦は熾烈を極めているが、現在主要パイプラインはいずれもロシアを経由しており、そのためロシアは米国に対し優位に立っている。
しかし、米国主導のバクー−ジェイハンパイプラインの竣工により、ロシアの独占は打破された。さらに、米国が強力に推進するカスピ海横断パイプラインが完成してバクー−ジェイハンパイプラインに接続すれば、中央アジアの石油・天然ガス資源はロシアを経由せずに欧州に輸送出来るようになる。
とはいえ、カスピ海横断パイプラインの交渉が継続中であるのに対し、今回、ロシア、カザフスタン、トルクメニスタンのカスピ海沿岸天然ガスパイプライン建設が先に落着し、そのため、ロシアが機先を制することになった。その背景には、(1)ロシアには「オイル・ダラー」が蓄積されており、パイプライン建設資金が十分にあった、(2)中央アジアはロシアの伝統的勢力範囲であり、ロシア側はこの地域と様々なつながりがある、(3)トルクメニスタンとカザフスタンは米国が中央アジアで「カラー革命」を発動することに不満を抱いている、といった点が挙げられる。
但し、ロシアは「バルブ」を一時掌握したものの、中央アジア諸国は石油・天然ガスという「卵」をすべてロシアの「籠」に入れるつもりはない。今後もこの地区における石油・天然ガス争奪戦はますます熾烈になると予想される。
(陸益峰 新華網 12月21日)