石炭価格改革はエネルギー分野における重要な改革の一つであり、長期にわたり捻じ曲がった価格システムを合理化し、石炭資源配置に対する市場の基礎的な作用を発揮させるとともに、高品質・高価格の原則と、汚染した者が費用を負担するという原則を体現しつつ、社会の負担能力も考慮して、適切な推進時機を把握しなければならない。

　中国は1990年代以降、市場化に向けた石炭価格改革を推進し、政府決定価格から政府指導価格へと転換した。2013年に入ると、国は種々の発電用石炭の市場化改革政策を打ち出し、重点発電用石炭契約の撤廃と発電用石炭価格の一本化を核に、合理的な発電用石炭の運営と調節の仕組みを徐々に形成した。今では発電用石炭価格は完全に自由化され、価格調節は事前調節を主として、市場化への転換を実現した。また、石炭市場環境の改善と運輸の保証等の面でも著しい進展を遂げた。

　発電用石炭の市場化改革は石炭価格改革の最も重要な一環であり、新しい政策は顕著な成果を上げ、発電用石炭の安定供給を強力に保障し、石炭と電力の長年にわたる先鋭なギャップを緩和した。また、石炭と電力の関係を合理化し、石炭の市場化改革を促進し、経済とエネルギーの構造調整や石炭・電力産業の持続的で健全な発展を実現する上で有利な条件を生み出した。

　石炭は中国の基礎エネルギーであり、一次エネルギーの生産と消費の約70％を占める。発電用石炭は石炭消費の主体であり、消費総量の半分以上を占める。1990年代以降、中国の石炭の受発注の市場化改革が推進され、価格は徐々に自由化された。発注範囲に盛り込まれた発電用石炭には政府指導価格と重点契約管理が適用され、経済発展を確保する上でポジティブな作用を発揮していた。しかしながら、重点契約の発電用石炭と市場化された石炭の間には、資源供給、輸送力の配置や価格水準において著しい差異があったため、価格の二重制は市場メカニズムの作用が発揮することを制約し、不公平な競争を生み、契約締結において紛糾が絶えず、契約の履行率も低すぎるという問題が付きまとっていた。このような状況は石炭の安定供給にとって不利であり、社会主義市場経済発展の要請にますます適応できないようになって、改革が必然の流れになった。また、発電用石炭価格の二重制は石炭と電力のギャップを解決するために採られた一時的な措置であり、石炭企業からの発電用石炭一本化に対する呼び声は長年ますます高まっていた。

　2012年以降、石炭需給情勢に近年稀に見る緩和局面が生じ、重点契約の発電用石炭と市場石炭の価格差が大幅に縮小した。国家発展改革委員会はこのチャンスに乗じて、発電用石炭価格の一本化と生産・輸送・需要のマッチング面での改革に関わる種々の新政策を打ち出した。2012年末、国務院は《発電用石炭の市場化改革の深化に関する指導意見》を公布し、2013年から重点契約と発電用石炭価格の二重制を撤廃することを決定した。また、発展改革委員会は2013年度から省・自治区間に跨る石炭鉄道輸送力配置の意向枠組みを示達しないことにした。そして、石炭企業と電力企業が自主的に価格を協議、確定して中長期契約を結ぶことを推奨した。同時に発展改革委員会は各クラスの地方政府に石炭と電力企業の正常な経営活動に干渉しないよう要求するとともに、煤炭工業協会に委託して、契約の調印と履行状況について総括し、運輸部門の輸送配置との調整を進めることにした。

　発電用石炭の市場化改革は石炭価格改革の最も重要な一環であり、「市場化」の理念が終始貫徹され、16年にわたった発電用石炭の二重制は撤廃された。このことは発電用石炭の安定供給と電力の正常な生産を確保する上で重大な意義を有している。発電用石炭の一本化は石炭価格改革への大きな一歩であり、これにより発電用石炭価格は完全に自由化され、市場によって調節されるようになった。

　（中国証券報 11月12日）