低品位石炭輸入制限の風聞が半年ぶりに流れている。 報道によると、2013年中旬に国家発展改革委員会は《石炭品質管理暫定弁法》の意見募集版を示達し、低品位炭、特に低品位炭の輸入に対して厳正な規制を行うよう計画しているとのことである。 消息筋によると、意見募集はすでに終了しており、国家発展改革委員会は最終的な修正作業を行った上で、弁法を近日中に正式公布する。 今回の意見募集版は、輸入褐炭の低位発熱量を6.50MJ/kg(約3,946kcal)とし、その他の石炭については低位発熱量を18MJ/kg(約4,300kcal)とすることを要件としている。また、これに応じて国内炭と輸入炭の灰分や硫黄分についても規定を設ける。 業界関係者によると、ここ数年、中国国内炭は生産コスト、取引コストいずれも上昇し、特に物流コストの高騰によって東南沿海地区での販売価格が高くなり、往々にして輸入炭価格を上回るため石炭輸入が増加し、2009年には中国は石炭純輸入に転じた。 税関総署の発表によると、中国は2011年に日本を抜いて世界第1位の石炭輸入国になり、2012年も石炭輸入は2.9億トン(褐炭含む)を記録して、引き続き世界第1位になった。2013年もこうした傾向は続き、年間石炭輸入量がほぼ確実に3億トンを超えることになる。 業界関係者によると、インドネシアからの輸入が中国の石炭輸入の4割を占めるが、インドネシア炭の多くは3,800〜4,200kcalであり、大部分は上述の基準を下回る。つまり、輸入総量の3割の石炭が上述の基準に達せず、輸入禁止対象になる。 もし低品位炭の輸入が制限されると、南方地区が大きな影響を受ける。これまでの数年間、石炭価格が高すぎたため、国は石炭輸入を奨励し、国内の火力発電所のボイラーの多くは4,000〜4,500kcal用に設計されたが、輸入制限令が出されると、中国国内の極めて多くの火力発電所は再び巨費を投じてボイラーを改修することを余儀なくされる。 低品位炭輸入に対する制限案は2013年上半期から浮上し、同年5月、国家能源局は《商品炭品質管理暫定弁法》意見募集版を示達し、国内炭及び輸入炭の発熱量、灰分、水分、硫黄分等の品質指標について明確に規定した。中でも遠距離輸送及び輸入を行う一般炭の品質制限は厳しく、硫黄分1%以下、灰分25%以下、発熱量19MJ/kg(約4,540kcal)が要件にされた。もっとも、この政策は電力業界、学界や一部石炭業界関係者の反対に遭い、正式に日の目を見ないまま立ち消えになった。 しかし、数ヵ月後の2013年11月中旬、国務院弁公庁は《石炭産業の平穏な運営促進に関する意見》を内部通達し、石炭生産能力の厳正な規制、石炭企業の経営負担の軽減、低品位炭の生産と使用の禁止の3つの側面から、石炭の供給過剰局面と石炭生産企業の経営難を緩和することになった。同意見書は「高品位炭の輸入を奨励し、低品位炭の輸入を禁止する」ことを明確に謳っている。 今回の《石炭品質管理暫定弁法》意見募集版を見ると、昨年5月の《商品炭品質管理暫定弁法》意見募集版に比べ条件はやや緩和されている。このことも、業界筋が近日中に《石炭品質管理暫定弁法》が公布されると予想する根拠である。 業界筋は、こうした政策は政府が苦境に陥った石炭業界を救済する措置であると見ているが、電力企業と石炭企業の交渉が重要な段階に入っている今、今回《石炭品質管理暫定弁法》が公布されるとの見通しが立ったことは、劣勢にある石炭企業にとって朗報になる。 業界関係者の試算によると、3割近くの石炭輸入が制限されれば、国内の石炭価格を支える新たな柱になるに違いない。「石炭価格は必ず上昇し、神華のような大企業が利益を得ることになろう」と業界関係者は指摘する。一方、石炭産業専門家である李朝林氏は、この2年、輸入炭が国内石炭市場に顕著な衝撃を与えたことを背景に、今回の政策は主に国内の石炭価格を安定させることが目的であるとの見方を示しつつも、大きい効果を上げられるかどうかは期待できないとして、「輸入炭を制限することは市場化の手法によって市場を安定させるものでは決してない。我々が最も反省すべきことは、北方から南方へ輸送された国内炭よりも輸入炭の価格の方がどれだけ安いかということだ」と指摘した。 但し、市場にも様々な声がある。業界内の専門家は、低品位炭の輸入制限によって、高品位炭の輸入が取って代わり、輸入炭の構造が最適化に向かうとの見方を示している。 (大河網 1月9日)
低品位石炭輸入制限の風聞が半年ぶりに流れている。
報道によると、2013年中旬に国家発展改革委員会は《石炭品質管理暫定弁法》の意見募集版を示達し、低品位炭、特に低品位炭の輸入に対して厳正な規制を行うよう計画しているとのことである。 消息筋によると、意見募集はすでに終了しており、国家発展改革委員会は最終的な修正作業を行った上で、弁法を近日中に正式公布する。
今回の意見募集版は、輸入褐炭の低位発熱量を6.50MJ/kg(約3,946kcal)とし、その他の石炭については低位発熱量を18MJ/kg(約4,300kcal)とすることを要件としている。また、これに応じて国内炭と輸入炭の灰分や硫黄分についても規定を設ける。
業界関係者によると、ここ数年、中国国内炭は生産コスト、取引コストいずれも上昇し、特に物流コストの高騰によって東南沿海地区での販売価格が高くなり、往々にして輸入炭価格を上回るため石炭輸入が増加し、2009年には中国は石炭純輸入に転じた。
税関総署の発表によると、中国は2011年に日本を抜いて世界第1位の石炭輸入国になり、2012年も石炭輸入は2.9億トン(褐炭含む)を記録して、引き続き世界第1位になった。2013年もこうした傾向は続き、年間石炭輸入量がほぼ確実に3億トンを超えることになる。
業界関係者によると、インドネシアからの輸入が中国の石炭輸入の4割を占めるが、インドネシア炭の多くは3,800〜4,200kcalであり、大部分は上述の基準を下回る。つまり、輸入総量の3割の石炭が上述の基準に達せず、輸入禁止対象になる。
もし低品位炭の輸入が制限されると、南方地区が大きな影響を受ける。これまでの数年間、石炭価格が高すぎたため、国は石炭輸入を奨励し、国内の火力発電所のボイラーの多くは4,000〜4,500kcal用に設計されたが、輸入制限令が出されると、中国国内の極めて多くの火力発電所は再び巨費を投じてボイラーを改修することを余儀なくされる。
低品位炭輸入に対する制限案は2013年上半期から浮上し、同年5月、国家能源局は《商品炭品質管理暫定弁法》意見募集版を示達し、国内炭及び輸入炭の発熱量、灰分、水分、硫黄分等の品質指標について明確に規定した。中でも遠距離輸送及び輸入を行う一般炭の品質制限は厳しく、硫黄分1%以下、灰分25%以下、発熱量19MJ/kg(約4,540kcal)が要件にされた。もっとも、この政策は電力業界、学界や一部石炭業界関係者の反対に遭い、正式に日の目を見ないまま立ち消えになった。
しかし、数ヵ月後の2013年11月中旬、国務院弁公庁は《石炭産業の平穏な運営促進に関する意見》を内部通達し、石炭生産能力の厳正な規制、石炭企業の経営負担の軽減、低品位炭の生産と使用の禁止の3つの側面から、石炭の供給過剰局面と石炭生産企業の経営難を緩和することになった。同意見書は「高品位炭の輸入を奨励し、低品位炭の輸入を禁止する」ことを明確に謳っている。
今回の《石炭品質管理暫定弁法》意見募集版を見ると、昨年5月の《商品炭品質管理暫定弁法》意見募集版に比べ条件はやや緩和されている。このことも、業界筋が近日中に《石炭品質管理暫定弁法》が公布されると予想する根拠である。
業界筋は、こうした政策は政府が苦境に陥った石炭業界を救済する措置であると見ているが、電力企業と石炭企業の交渉が重要な段階に入っている今、今回《石炭品質管理暫定弁法》が公布されるとの見通しが立ったことは、劣勢にある石炭企業にとって朗報になる。
業界関係者の試算によると、3割近くの石炭輸入が制限されれば、国内の石炭価格を支える新たな柱になるに違いない。「石炭価格は必ず上昇し、神華のような大企業が利益を得ることになろう」と業界関係者は指摘する。一方、石炭産業専門家である李朝林氏は、この2年、輸入炭が国内石炭市場に顕著な衝撃を与えたことを背景に、今回の政策は主に国内の石炭価格を安定させることが目的であるとの見方を示しつつも、大きい効果を上げられるかどうかは期待できないとして、「輸入炭を制限することは市場化の手法によって市場を安定させるものでは決してない。我々が最も反省すべきことは、北方から南方へ輸送された国内炭よりも輸入炭の価格の方がどれだけ安いかということだ」と指摘した。
但し、市場にも様々な声がある。業界内の専門家は、低品位炭の輸入制限によって、高品位炭の輸入が取って代わり、輸入炭の構造が最適化に向かうとの見方を示している。
(大河網 1月9日)