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【石炭】

石炭資源税改革では地方政府に税率の選択権を付与 (14/02/25)
2014/2/26
中国【石炭】

 資源税の「従価定率」課税方式が今年石炭にも広がる。財政部門の情報によると、石炭資源税改革は国務院の承認を得るだけである。資源税改革案は財政部税務司が中心になって策定を進め、国家税務総局財産行為税司も協同している。全国の主要石炭生産区である山西省、陝西省、内蒙古自治区等は改革について意見を提出し、中国煤炭工業協会や一部石炭企業も改革をめぐる調査や討議に参加している。

 地方政府、業界団体、企業等の提出した意見を総合的に勘案して、石炭資源税が「従量定額」方式から「従価定率」方式に改められると、税率は2〜10%になる見込みである。

 現行の《資源税暫定条例》は「従量定額」方式によって課税しており、企業の納税額が資源価格の変動に応じて変化することはない。資源税の中で石炭の税目は2つに分けられ、コークスについてはトン当たり8〜20元、その他の石炭は0.3〜5元が課税される。

 「石炭資源税が従価定率課税方式に改められると、中央政府は一定幅の税率を確定するが、具体的にどの程度課税するかは地方政府が現地の状況に応じて一定の範囲内で確定する」と国家税務総局の官僚が明かした。資源税は地方税であり、各省・自治区の間で比較的大きい差異が出る。中央政府は地方政府に一定の決定権を与えることになる。

 2〜10%の従価定率で課税されることになれば、石炭企業が1トン500元で石炭を販売する場合、納税額はトン10〜50元になる。税負担は現行の1トン当たり最高5元の2倍から10倍に上昇する。

 但し、そうであっても石炭企業の負担は決して大きくはならない。資源税が施行された1994年当時は、トン当たり0.3〜5元の定量税額であったが、その頃の石炭価格はトン当たりわずか数十元であった。あれから20年、石炭価格は10倍以上に上昇し、最高時には20倍近くになった。石炭価格の中で石炭資源税の占める比率は1%足らずでしかない。しかしながら、その間、石炭を対象とする課金や基金など税以外の徴収が年々増加し、石炭企業の実際の総合税負担は極めて高いものになっている。

 国家発展改革委員会の官僚が引用したデータによると、石炭を対象とする各種税・課金は一般に企業の営業収入の25〜35%を占め、一部地区ではそれより高いケースもある。

 石炭企業が納めなければならない各種税・課金の中で、合法的な税金や政府基金、行政事業的課金だけでなく、一部地方政府は関連規定に違反して徴収する課金項目は相当大きい比率を占めている。

 財政部総合司の欧文漢司長は、こうした課金や基金を全面的に整理すると表明していた。資源税改革の推進とともに、鉱産資源を対象とする鉱産資源補償費や価格調節基金等を撤廃することになる。

 「石炭資源税改革の鍵は、税負担をどのように設計するかだ」と国家税務総局の官僚は言う。資源税改革に当たっては様々な側面を考慮して、改革の時機を把握しなければならない。インフレ時に改革を行うと、物価の上昇が懸念され、経済が良好でない時に行うと企業の困難が懸念される。国家税務総局の官僚は、現在石炭企業は苦境にあるが、地方政府の「食欲」はあまり大きくないので、税率を低めに設定することになる。「清費正税」(各種課金を整理、撤廃して税に一本化すること)を進めれば、石炭企業の税負担が全体的に低くなる可能性もあり、企業もそれを望んでいる。

 2013年11月、国務院は通達を出して、「石炭企業の税・課金負担を適正に軽減する」ことを公約し、「石炭を対象とする課金・基金を整理すると同時に、石炭資源税の従価課税に向けた改革を速やかに推進する」ことを打ち出した。

 国務院の「清費正税」という構想は、石炭資源税の税負担を高めると同時に、石炭企業の総合的な税・課金負担を大きくしないとういうものである。

 (国土資源部ウェブサイト 2月25日)