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【電力】

UHVによる広域送電はスモッグ対策の有効な手段 (14/03/12)
2014/3/19
中国【電力】

 昨年以来、全国各地で広範囲のスモッグが連続して発生し、社会各界から注目を集めている。全人代代表であり湖北省電力公司総経理の尹正民氏は、特高圧(UHV)による広域送電網を建設することは、中国東部及び中部地区の石炭燃焼による排出削減やスモッグ対策にとって有効であり、また、東部・中部地区のエネルギーセキュリティの長期的な確保も可能にすると述べた。

 尹正民氏によると、国は東部・中部地区の環境を改善するため、地区内の石炭消費総量を徐々に削減することや石炭火力発電所の新規建設を厳重に規制することを打ち出している。しかし、その一方で火力発電を発展させることは依然として必要であり、日増しに増加する電力需要を賄うだけでなく、エネルギー効率が低く排出の大きい石炭利用からの転換を図る必要がある。他方、東部・中部地区には石炭火力発電所を建設する空間はすでにない。

 そのため、国家能源局は、14ヵ所の大型石炭基地と9ヵ所の石炭電力基地、そして12本の「西電東送」ルートを重点的に建設することを打ち出している。石炭電力基地が現地で発電を行い、UHVの広域送電網によって「石炭輸送を送電に替え」て、電力を「遠方から持ってくる」のである。

 「UHV広域送電はスモッグ対策の有効な手段になる」と尹正民氏は言う。石炭電力基地に大規模に建設する高効率・低排出の石炭火力発電所からUHVによる広域送電を通して、東部・中部地区へと送電し、末端のエネルギー使用を石炭から電力に替える。これがUHVによるエネルギー構造調整の重要な趣旨である。湖北省を例に挙げると、末端エネルギー消費に占める石炭の比率は63.5%に達し、電力消費はわずか13.1%である。石炭の大量消費は環境に深刻な汚染をもたらしている。また、湖北省のPM2.5の50〜60%は石炭燃焼による排出が原因であり、20%前後は自動車の排ガスによるものである。2020年には2,000万kWになる不足電力を火力発電所の建設によって賄う場合、大気環境管理の難度はさらに上昇することになるが、「UHV送電網による送電は環境保護性が高い。推定によると、UHVによって1億kWhの電力を送電する場合、負荷のセンターのPM2.5排出は約7トン、PM10は約17トン削減され、二酸化硫黄と窒素酸化物の排出は約450トン削減される」と尹正民氏は言う。

 2009年に完成した世界初の晋東南〜南陽〜荊門の1,000kVのUHV交流試験実証プロジェクトは、湖北省に北方から300万kWの火力発電電力をもたらし、年間700万トン余りに上る発電用石炭の節約を可能にしている。この5年間の累計送電量は415億kWhに上り、湖北電力網の電力不足の緩和に役立っている。

 (中国経済産業情報網 3月12日)