1. HOME
  2. 中国 【石炭】

中国
【石炭】

新たな石炭輸入規制措置が国内炭需要を喚起 石炭価格に反発も (14/09/18)
2014/9/26
中国【石炭】

 先般《商品炭品質管理弁法》が正式に公布された。同弁法の規定により、来年から低品質炭の輸入が制限される。国内の石炭市場に対する輸入炭の衝撃が軽減され、石炭需要の一部が再び国内市場に向かうだろう。

 最近、減産や老朽化生産能力の淘汰など石炭産業支援政策が次々と打ち出されているが、国家発展改革委員会など6省庁は今回《商品炭品質管理弁法》を公布した。同弁法は商品炭の硫黄分や灰分等の指標について明確な要件を打ち出しており、石炭標準の引き上げによって低品質炭が徐々に淘汰されることになる。市場が最も注目しているのは、同弁法が600キロ以上の長距離を輸送する商品炭に対してさらに厳しい要件を適用していることである。また、褐炭の場合、一般の商品炭よりも灰分の要件が厳しく、30%を超えてはならないとされ、600キロ以上の長距離輸送を行う商品炭については、灰分が20%を超えてはならないとされる。海外から輸入する石炭は全て600キロを超える長距離輸送であり、この規定が中国の石炭輸入市場に直接影響することになる。

 低品質炭の輸入が制限を受けると、石炭輸入の伸びは引き続き下がるだろう。これまで長期間にわたって国内炭と海外炭に価格差があり、そのためここ数年石炭輸入が大幅に増加し、中国の石炭輸入量は2011年のわずか1.83億トンから2013年には3.2億トンに達した。しかし、今年になってからそうした増加傾向にも変化が生じた。今年以降、中国の輸入炭の伸び率が著しく下がり、税関総署の発表した統計によると、今年8月の石炭輸入量は1,886万トンに下がり、前月比18.11%減、前年同月比では27.3%減になった。すでに6ヵ月連続のマイナスであり、しかも減少幅は拡大している。一方、国内の一般炭価格は大幅に下がり、環渤海一般炭価格は年初の610元/トンから最近は482元/トンと、21%もの下落になった。国内の一般炭価格の大幅な下落により、輸入炭と国内炭の価格差が日増しに縮まり、発電企業や貿易業者は石炭輸入に対して前向きではなくなった。《商品炭品質管理弁法》によって高硫黄炭の輸入が制限されると、今後中国の石炭輸入の伸びはさらに鈍るだろう。

 行政による種々の調節措置もすでに効果を示しており、9月初めの神華集団の価格引き上げが徐々に港湾市場に拡散していることもあって、一部港湾の石炭価格はやや上昇し、石炭輸送量も増加している。秦皇島の在庫は最近やや増加したものの、依然600万トン前後の合理的な範囲に止まっている。

 こうした様々な要因によって一般炭価格の反発が促される。神華と中煤を中心に生産量の圧縮が進んでいることも、短期的な需給構造の改善に寄与している。国慶節後には大同−秦皇島線の秋季検査を迎え、港湾の石炭供給にも影響が及ぶ。また、シーズン到来で石炭需要が上昇する。今年の夏は降雨量が例年より多く火力発電が抑制されていたが、9月、10月以降、渇水期に入って水力発電の発電量が著しく低下し、火力発電需要が回復して、発電用石炭需要が喚起される。加えて、政府の石炭減産計画の実施にや低品質石炭の輸入禁止によって、一部の需要は再び国内市場に向かう。こうした様々な要因により、第4四半期には一般炭価格に反発が生じる見込みである。

 (生意社 9月18日)