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【エネルギー全般・政治経済】

姿を示し始めた第13次5ヵ年エネルギー規画構想 代替エネルギーの発展に注力へ (14/10/13)
2014/10/16
中国【エネルギー全般・政治経済】

 第12次5ヵ年規画が最終年度に突入しようとする中で、第13次5ヵ年エネルギー規画の起草作業がすでに開始されている。国家能源局規画司の何勇健副司長は、第13次5ヵ年エネルギー規画について整理、解説した。

 中国のエネルギー発展には2つの大きな矛盾がある。エネルギーの需要地と供給地の分布が逆であり、エネルギーと水の分布が逆であることである。第13次5ヵ年エネルギー規画の全体的な構想はエネルギー部署の最適化を進めることにある。

 石炭開発はレベル別に対応

 第13次5ヵ年規画期も依然として「5基・2ベルト」のエネルギー生産配置が継続する。「5基・2ベルト」とは、東北、山西、オルドス、西南、新疆の5大エネルギー基地と、原子力発電及び海上の2つのエネルギー開発ベルトを意味する。その中で14ヵ所の大型石炭基地の石炭生産量が全国総生産量に占める比率は、第13次5ヵ年規画期には95%以上に上昇する。石炭供給過剰のため、石炭基地の計画はレベル別に対処する。蒙東、黄朧及び陝北基地の開発を優先し、神東、寧東、山西基地は開発を強化する一方、東部、すなわち冀中(河北中部)、魯西(山東西部)、河南、両淮基地の開発は制限する。また、新疆基地の開発は最適化を進める。新疆基地は第13次5ヵ年規画期以降になってから、より大きな役割を発揮することになる。

 石炭削減目標が初めて明確化

 第13次5ヵ年規画はエネルギー消費総量の規制を重要任務とし、特に石炭を総量規制の重点として、石炭消費の比重を現在の66%から60%以下に引き下げる。石炭消費総量の規制においては、経済の発達している省・直轄市に重点を置き、大気汚染防止を主眼とする。

 今後も数十年にわたり、中国の経済発展は依然として石炭に依存しなければならないが、石炭を燃料から原料へ移行するよう誘導することが理想的である。

 消費総量の見地からは、第13次5ヵ年規画期においても石炭は依然として発電の主要燃料であり、そのため、石炭利用の発展については、集中的で高効率の燃焼と分散燃焼の削減という目標に向け誘導する。

 石炭化学工業の是非については業界でも大きな争点であるが、トップレベル構想の見地からは、現段階において石炭化学工業は国家戦略面で重大な意義を有し、秩序ある発展が必要である。「第1に戦略備蓄を提供する。第2に石油と天然ガスの逼迫に際しては石炭液化油を代替エネルギーとして当面の需要を賄うことが出来る。第3に国際交渉において中国が強気に出ることを可能にする」と何勇健副司長は言う。

 石炭火力発電については、ゼロに近いエミッション技術でブレークスルーを遂げ、排出面で石炭火力発電が天然ガス発電の排出レベルに達するかもしくは近づくようにする。このことは、石炭火力発電に政策支援を適用する根拠になる。《石炭火力発電省エネ排出削減グレードアップ改修行動計画(2014〜2020年)》は正にこうした背景の下に打ち出された。

 今後も東部地区で新規石炭火力発電事業の建設は可能であるが、条件はもっと厳しくなり、より高い排出基準を満たす必要がある。また、石炭消費の全体的な規模を拡大しないよう求められる。東部の電力需要を賄うより良い方法を見出せば、西部地区からの送電に単純に依存するリスクもある程度解消することが出来る。当然ながら、国も電力価格政策を整備して、石炭火力発電事業の環境保護性が高まるよう支援する。

 代替エネルギーの大発展

 第13次5ヵ年規画期には、石炭の代替エネルギーとして、再生可能エネルギー、天然ガス及び原子力発電が大きな発展を遂げる。

 《国家エネルギー発展戦略行動計画(2014〜2020年)》に従い、2020年には風力発電の廉価な系統連系を実現し、ソーラー発電についても廉価な販売を実現する。何勇健副司長によると、この極めてハードルの高い目標の最終期限までわずか6年であり、廉価な風力発電と太陽光発電を実現するためには、企業の技術的なブレークスルーに依存しなければならない。「今後は再生可能エネルギー補助金の総額が制限されるに違いない。主動的に技術水準を高める能力がない企業は、非常に大きなコスト圧力に直面し、延いては競争力を失うことになる」と何勇健副司長は指摘する。

 再生可能エネルギーに比べると、原子力発電の発展は減速する可能性がある。より安全な第三世代技術が未だブレークスルーを遂げていないからである。2020年には原子力発電設備容量を5,800万kWにする計画であるが、「実際には伸びがもっと低くなる可能性もある」。何勇健副司長の見方によると、原子力発電は設備規模が小さいものの、高いエネルギー効率や電力グリッドに対する安全性といったメリットは疑う余地がない。

 天然ガスは第13次5ヵ年規画期において、再生可能エネルギーや原子力発電よりもはるかに大きい役割を果たすかもしれない。何勇健副司長が明らかにしたところでは、第13次5ヵ年規画期には9大天然ガス田と関連輸送ルートが計画されている。中でも陸上のタリムと大慶ガス田、海上では東シナ海と南シナ海は大きな成長ポテンシャルを備えている。また、炭層ガスとシェールガスの成長ポテンシャルも比較的大きい。炭層ガスは主に泌水とオルドス東部で開発を進め、シェールガスは四川省と重慶市が成長のポテンシャルを備えている。基本計画によると、第13次5ヵ年規画期には炭層ガスとシェールガスの生産量をいずれも300億m3にすることも可能であり、国内天然ガス需要を賄う上で大きな支えになる。

 ガス源については、国内生産の多元化を進めるだけでなく、輸入ルートも広げる。「第13次5ヵ年規画期には第3・第4・第5西気東輸パイプラインの建設を重点的に進め、沿海都市にはLNGターミナルを配置して、国内のパイプラインネットワークが交錯する配置を形成する」と何勇健副司長は表明した。

 第13次5ヵ年規画期における中国の天然ガスをめぐる問題は不足ではなく、過剰になる可能性が高いとも予想されている。2020年には国内の天然ガス供給能力4,000億m3が確保される。天然ガスは主に民生用を確保し、次いで、交通用、発電用、化学工業用及び工業用燃料の順になる。しかしながら、2020年の国内の民用天然ガス需要は多くとも2,000億m3というのが基本的な予測結果である。発電用にする場合、天然ガスコストが余りにも高く、それ以外の分野にはこれほど沢山の天然ガスを消費するに足る需要はない。

 
 (和訊網 10月13日)