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中国
【石炭】

2020年には中国のSNG生産量が600億m3に (14/12/12)
2014/12/19
中国【石炭】

 2013年に中国の石油対外依存度は58%を超え、警戒ラインに近づいている。2015年には天然ガス対外依存度も35%に達する。そのため、エネルギー戦略レベルで石炭化学工業の重要性と必要性が高まることは間違いない。

 一方、石炭価格は右肩下がりであり、石炭資源の豊かな内蒙古、新疆、寧夏等の石炭企業は現地で石炭の加工と転化を進めて石炭の付加価値を高める方向へと転換を迫られている。石炭価格が低ければ、石炭化学工業は利益を望める。このことは石炭企業が石炭化学工業へ転換する最も重要な要因になる。

 石炭化学事業は投資額が大きく、大量の雇用を生むことが出来る。地方政府も石炭化学工業に前向きである。そのため、ここ十数年、中国に石炭化学事業建設の波が湧き起っている。エネルギー企業以外にも、例えば、エネルギーとは無縁のレノボホールディングスが2010年に山東省棗荘市政府と戦略協力協定に調印し、180億元を投資して100万トンのオレフィンと精密化学工業を主とする石炭化学工業基地を建設することになった。

 SNG(石炭由来代替天然ガス)は向こう数年、爆発的な成長を迎えることになる。天然ガス発展第12次5ヵ年規画によると、2015年には中国のSNG生産量は160〜180億m3に達し、2020年には600億m3に達すると予想される。

 但し、一部地区では盲目的に石炭化学事業を立ち上げ、その結果、大規模な重複な建設がもたされるという問題もあり、産業リスクは高まっている。また、プラント完成後も正常な生産が出来ず、設備が放置される状況も深刻化している。

 内蒙古や陝西等の石炭化学事業の大部分は農業用水を転用して石炭化学工業を発展させているが、これは決して上策ではない。1,000 m3のSNGを生産するには約10トンの水と1.6トンの石炭を消費しなければならないが、これは石油化学事業の水使用量の3〜5倍に当たる。

 CO2の排出も大きな問題である。1,000 m3のSNGを生産すると、CO2排出は4.5〜5トンになる。将来SNG生産量が1,000億m3に達すると、CO2排出は年間5億トン増えることになる。

 2014年11月、米中両国は《気候変動共同声明》を発表した。中国は2030年以前にCO2排出ピークに達するよう努める。また、2030年には一次エネルギーに占める非化石エネルギーの比率を20%前後に高める。2020年までに中国の石油消費は7,000万トン増えるが、もしその全てを石炭液化で賄う場合、CO2排出は約4億トン増えることになる。環境と世論の圧力が大きくなるに違いない。

 2013年の中国のCO2排出はEUと米国の合計を超えて100億トンに達した。1人当たりの排出量でもEUを超えて7.2トンに達している。

 石炭化学工業は石炭需給ギャップを激化させるだけでなく、全国のエネルギー消費総量を合理的に抑制する上でも影響が大きい。一部企業は十分な論証を行わず、すでに発生している問題にすら考慮を払うこともなく、盲目的に石炭化学事業を立ち上げている。また、一部の地方政府もGDPと投資実績しか考慮せずに、石炭化学事業を盲目的に支持、奨励している。これでは良い結果が出るはずがない。

 (中国経済新聞網 12月12日)