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【石炭】

生産能力過剰で中国の石炭企業の30%が廃業も (15/02/04)
2015/2/12
中国【石炭】

 エネルギー国際専門家委員会の委員であり中国石炭経済研究院院長である岳福斌教授は中国経済網のコラムにおいて、石炭産業の苦境の根本原因は生産能力過剰であると指摘した。岳教授によると、石炭消費の比率を引き下げることは両刃の剣であり、既存の石炭生産能力に困難をもたらす一方で、石炭産業の技術進歩と高度化を促進することも出来る。

 生産能力過剰は産業が苦境に陥った主要原因

 中国の石炭企業の70%以上は赤字状態であり、70%の企業が減給を余儀なくされ、30%が賃金未払いに陥っている。10%以上の賃金引下げを行っている石炭企業は20%に上る。石炭産業の厳しい現状について、岳教授は「米国のサブプライム危機以降、中国経済も2桁台の高度成長に終わりを告げた。石炭は川下産業の生産要素であり、川下産業の不景気や需要が低減すると、石炭生産能力の調整を実施しない限り、過剰が発生する」と言う。また、「石炭産業の直面している問題は市場の需給ギャップの突出が直接の原因だが、需給の背後にある主な問題は生産能力過剰であり、これこそが問題の根源だ」と岳教授は言う。さらに、岳教授は、石炭産業の好景気が続いた10年間において中央政府と地方政府が石炭産業に対する税や課金を増やしたことや石炭企業の脆弱なリスク抵抗能力を指摘した。

 石炭企業の30%は再編・廃業

 2013年1月に公布された《エネルギー発展第12次5ヵ年規画》は、2015年には非化石エネルギー消費の比率を11.4%に高め、石炭消費の比率を65%前後に引き下げることを提唱している。2014年12月の全国エネルギー工作会議によると、2014年の一次エネルギー消費に占める石炭の比率は64.2%に下がり、非化石エネルギーの比率は11.1%に上昇したと見られる。さらに2015年には石炭消費の比率は63.3%にまで下がると予想される。この点について、岳教授は、石炭消費の比率の低下は客観的必然であり、両刃の剣に例えられると指摘する。既存の石炭生産能力に困難をもたらす一方で、石炭産業の技術進歩を促進し、老朽化生産能力の淘汰を加速させるからである。

 岳教授は次のように指摘した。石炭消費の比率が下がると、およそ30%の石炭企業は永遠に収益を上げることが出来ないようになる。一方、30%の優越企業は一歩ずつ高い段階へとグレードアップする。今こそ関係政府部門が奨励的な政策を打ち出す絶好の機会であり、神華、中煤、陝煤、伊泰といった先進的生産力を有する大手石炭企業の合併再編を政策面で強力に支援しなければならない。優越企業はこのチャンスを把握して、急速な発展を遂げなければならない。同時に政策整備を強化して、時代遅れの企業が整然と退場するよう促す必要がある。現在、石炭産業は苦境に陥り、銀行も一部石炭企業に対する信用等級を相次いで引き下げている。石炭産業の収益の見通しは暗く、どの銀行も新規融資の利率を5〜20%引き上げるよう求めている。このため石炭産業の資金繰りはますます困難になり、銀行が融資を打ち切ったり、債券発行の引き受けを拒否したりする事態も発生している。しかし、石炭産業は中国の基礎エネルギー産業であり、苦境が続くことがあってはならない。金融部門は戦略的、長期的見地に立つべきだ。

 (国際能源網 2月4日)