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中国
【石油・天然ガス】

中国は商業原油最低在庫制度を設けるも原油備蓄は依然国際基準を下回る (15/02/10)
2015/2/13
中国【石油・天然ガス】

 一国のエネルギー備蓄は主に国家戦略備蓄と商業備蓄に区分される。戦略備蓄は政府が統制する資源であり、戦争や大きな自然災害によって石油供給に不足が生じた時にのみ放出する。一方、商業備蓄は石油の生産流通に関わる企業が関連法規に基づき保有を義務付けられる最低在庫量を指す。商業備蓄は国のエネルギーセキュリティの確保と価格の大きな変動を抑えるために運用される。

 1973年の中東戦争に際してOPEC諸国が石油輸出を禁止し、米国を筆頭とする先進諸国は1974年に国際エネルギー機関を設け、加盟国に一定の石油備蓄を義務付けた。安全な備蓄基準は消費量の90日分とされる。

 国家発展改革委員会は先日《原油加工企業の商業原油在庫運営管理の強化に関する指導意見》を公布し、最低商業原油在庫制度を設けることになった。原油を原料として各種石油製品を生産する加工企業は全て1日当たり平均加工量の15日以上の原油在庫を義務付けられる。

 しかしながら、中国の石油戦略備蓄は依然として低水準にある。中国石油経済技術研究院が2014年に発表したレポートによると、2013年末時点の中国の戦略原油備蓄能力は1.41億バレルであった。中国の1日当たりの石油消費を139万トンとして計算すると、中国の戦略原油備蓄は8.9日分、商業原油備蓄は13.8日分に過ぎず、合計しても約22.7日分である。今回の指導意見によって企業は商業備蓄を増やすことを求められるが、それでもわずか30日分前後にしかなく、依然としてIEAの設定した90日分の安全基準をはるかに下回っている。

 専門家の見方によると、中国の備蓄インフラの建設が相対的に遅れている。多元的な資金調達の仕組みを確立して石油備蓄をサポートし、もって備蓄に起因する企業のコスト負担を軽減する必要がある。

 中国は国家戦略備蓄を主体に、商業備蓄が補完する混合型の石油備蓄の仕組みを確立することになる。このプロセスにおいて、政府は国家備蓄に対する統制権を把握するが、公開入札等の方式により、具体的な管理や保守の業務を企業に与えることで効率を高め、備蓄コストを引き下げなければならない。

 (中国経済新聞 2月10日)