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【エネルギー全般・政治経済】

国家能源局が「一帯一路」エネルギー戦略推進で金融・保険護送船団を提唱 (15/05/15)
2015/5/19
中国【エネルギー全般・政治経済】

 5月14日、国家能源局は「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロード)戦略の具体化とエネルギー国際協力の推進を議題に会議を開き、同会議において、発展改革委員会副主任兼国家能源局長の努爾・白克力(Nur Bekri)は、「一帯一路」沿線諸国の資源賦存はそれぞれ異なり、経済的相互補完性が強く、協力のポテンシャルと発展の余地は極めて大きいとし、「一帯一路」戦略の実施は中国と沿線諸国のエネルギー国際協力にとっても深遠な意義を有すると指摘した。

 中国社会科学院構造金融研究室の殷剣鋒主任は、《毎日経済新聞》の取材に対し、エネルギー金融市場の整備を高度に重視し、金融システムの整備を、中国エネルギー市場の合理化やエネルギー価格をめぐる発言権の奪取と結びつける必要があると表明した。

 エネルギー協力を主軸に

 昨年6月、習近平主席は中国アラブ協力フォーラム第6回閣僚会合の開幕式において、中国とアラブ諸国が「一帯一路」を共同で進めるとともに、「1+2+3」の協力構造を構築することを提唱した。その中で「1」とはエネルギー協力を主軸とすることである。

 実際、中国とシルクロード経済ベルト沿線諸国のエネルギー協力には長い歴史がある。中国にとってサウジアラビアは最大の石油供給国であり、また、中国はロシア等の諸国とも度々エネルギー大口契約に調印している。中国・中央アジア石油ガスパイプラインは中国と中央アジアの複数の国々を結んでいる。

 海上シルクロード沿線でも、中緬石油ガスパイプラインが2013年に開通し、中国パキスタン石油ガスパイプラインも中パ経済回廊の建設に伴って実現に近づきつつある。
 
 元工業情報化部長の李毅中氏によると、中東と中央アジア諸国には石油ガス資源輸出のニーズがあり、中国には広大な市場と輸入のニーズがあって、双方は石油ガス貿易に止まらず、技術や人材交流の面でも協力を進め、中国西部地区の石油ガス産業の発展につなげることも出来る。

 経済成長のポテンシャルが高い「一帯一路」沿線地区は、エネルギー需要のポテンシャルも巨大である。中国風力協会の発表した統計によると、2014年に中国の風力発電機メーカー5社が国外へ輸出した風力発電機は合計189台、容量では368.75MWに上ったが、その中で少なからぬ設備が「一帯一路」沿線地区に販売された。

 国家電網公司は先日、中国が周辺諸国と3つの重点的な国際系統連系を実現することを提唱した。第1にシルクロード経済ベルト送電回廊であり、新疆と中央アジア5ヵ国を結ぶ送電ルートを建設する。第2にロシアとモンゴルから中国への送電ルートであり、第3に南部の隣接国との系統連系ルートである。

 金融護送船団を提唱

 「金融機関、保険機関が『一帯一路』エネルギー協力に対して金融支援をより一層拡大するよう要請する」と努爾・白克力は同日の会議において呼びかけた。

 巨額に上るエネルギー事業にとって強力な金融支援は欠かせない。昨年11月末時点で国家開発銀行が「一帯一路」沿線諸国に対して行った融資支援事業は400件を超えており、中でもエネルギー分野は支援の重点になっている。
 
 加えて、中国が開設を提起しているシルクロード基金とアジアインフラ投資銀行も「一帯一路」戦略を金融面で保障するものになる。

 殷剣鋒主任は、エネルギー金融市場の整備を高度に重視し、金融システムの整備を、中国エネルギー市場の合理化やエネルギー価格をめぐる発言権の奪取と結びつける必要があるとの見方を示す。

 欧米など先進諸国に比べると中国のエネルギー金融市場は依然として起動段階に止まっており、格差は極めて大きい。しかしながら、陸上シルクロードの経済ベルトや中央アジア、ロシア等の地区ではエネルギー金融市場がほとんど発達しておらず、中国はエネルギー金融市場システム構築で大きな役割を発揮することが出来ると、殷主任は指摘する。

 殷主任によると、中国はアジアに影響を及ぼすエネルギー金融システムを確立する上で条件と空間を備えている。成熟したエネルギー金融市場システムを確立することによって、グローバルエネルギー価格をめぐる中国の発言権を大きくすることが出来る。種々の主体がエネルギー分野へ投資するよう梃子を強化すれば、延いてはエネルギー生産を増やして中国のエネルギーセキュリティを確保することにもつながる。

 (中新網 5月15日)