中国の関係政府部門が《天然ガス発展第13次5ヵ年規画》の起草作業に取り組んでいる中、5年前の《天然ガス発展第12次5ヵ年規画》（以下、旧規画と略す）目標の達成状況について総括を行うことは有意義な作業になるに違いない。予測値と目標値の面で未達成の項目や差が大きい項目など、真摯に目を向けてその原因を探究することは、第13次5ヵ年規画をより良く起草する上でも裨益するところが大きい。

　1. 高すぎた天然ガス消費量予測

　旧規画は第12次5ヵ年規画期の天然ガス消費量について年平均200億m3超増加し、2015年の天然ガス消費量は2,300億m3に達すると予想していたが、この予測値は過大であり、達成不可能である。天然ガス消費の年平均増加量は200億m3に届かず、2015年の消費量は2,000億m3にさえも届かず、1,900億m3前後に止まると予想される。
　2015年に天然ガス消費量が2,310億m3に達するようにならば、年平均245億m3増やすことが必要になるが、5年間の実際の年平均増加量はわずか165億m3であり、予測値の200億m3の82.5％、245億m3の67.4％に過ぎない。2015年の実際の増加量も予測値の82.6％であり、年間消費量は予測値との間に400億m3の差がある。

　2. 対外依存度が上昇するとの予想がはずれ実際には低下
　
旧規画は天然ガス対外依存度について2015年には35％を超えると予測していたが、実際には依存度は2014年に32.2％に達したが、2015年には低下することがすでに明らかになっている。

　3. 国内天然ガス生産量目標は達成できず

　旧規画は2015年には国産天然ガス供給能力を1,760億m3とし、うち在来型天然ガスを約1,385億m3、SNG(石炭ガス化)を150〜180億m3、炭層ガス地上開発量を約160億m3とすることを打ち出していたが、SNGと炭層ガスの目標達成は望めず、そのため全体目標も達成できない。2014年のSNG生産量はわずか数億m3に過ぎず、炭層ガス地上開発量もわずか36億m3に止まった。2015年のSNG生産量が50億m3を超えることはなく、炭層ガス地上開発量も60億m3を超えることがないことは確かである。2015年の天然ガス供給能力は目標値を少なくとも200億m3下回ることになる。また、2014年の国産天然ガス生産量はわずか1,329億m3であり、これを2015年中に1,500億m3に増やすことさえ難しく、まして1,760億m3に増やすなどは論外である。

　4. 高すぎた輸入量の予測

　旧規画は2015年の中国の輸入天然ガスを約930億m3と予測していたが、実際には2014年の輸入量は585億m3であり、2015年の輸入量は550億m3にも届かないだろう。

　5. 新規貯蔵ガスの目標も達成できず

　旧規画は2015年の新規ガス貯蔵庫のガス貯蔵量を約220億m3として2015年の天然ガス消費量の約9％にすることを打ち出していたが、実際には2014年末までに完成した18ヵ所の地下貯蔵庫の有効容量は約50億m3であり、同年の天然ガス消費量のわずか2.7％に止まった。

　6. 天然ガス分散型エネルギー実証事業のうち完成したのはごく一部

　旧規画は第12次5ヵ年規画期に全国に1,000件の天然ガス分散型エネルギー実証事業を完成させるとしていたが、2014年末時点で完成した実証事業はわずか82件、建設中の事業は22件、改修中の事業は53件であり、1,000件の目標にははるかに遠い。2015年の1年間で完成させることは断じて不可能である。

　7. 関連規画の一部の天然ガス目標も未達成

　《エネルギー発展第12次5ヵ年規画》は2015年の中国の一次エネルギー消費構造の中で天然ガスの占める比率を7.5％に引き上げることを打ち出していたが、2014年の比率は6％かせいぜい6.3％である。1年間で7％に引き上げることも極めて困難であるのに、どうして7.3％に上げることが出来ようか。

　その他にも、《エネルギー発展第12次5ヵ年規画》は2015年のシェールガス生産量を65億m3とする目標を打ち出していたが、これも達成は極めて困難である。

　総じて言えば、様々な要因のため、《天然ガス発展第12次5ヵ年規画》の少なからぬ予測値及び目標値は達成することが出来ず、中には大きく下回ったものもある。その原因を真摯に分析し、教訓を総括することで、より良い《天然ガス発展第13次5ヵ年規画》を策定し、もって中国の天然ガス産業の健全で持続可能な発展を促進することが求められる。

　（中国燃気網 7月28日）