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【省エネ・環境】

石炭規制政策によって2020年には2,000億元超の総合収益 (15/07/28)
2015/8/5
中国【省エネ・環境】

 中国が石炭規制政策を実施した場合、収益はどのようになるのだろうか。清華大学能源環境経済研究所がまとめた《石炭消費総量規制目標の協同効果》と題するレポートによると、石炭消費規制政策は水資源、環境、市民の健康、エネルギー転換、雇用や石炭産業の面で総合収益性が顕著であり、総収益は2020年に2,514億元に達し、2030年には1兆1,462億元、2050年には2兆1,126億元に達する。なお、同レポートは国際環境保護機関の天然資源防衛評議会 (NRDC) と世界自然基金(WWF)の助成を受けた。

 レポートによると、近年石炭の転化において水使用量が急増しており、2030年には現在の水準を61.7%上回る1,048億m3に達すると予想される。しかし、石炭規制政策を採用すると、石炭産業の水消費量を869億m3以内に抑えることが可能になり、しかも2020年をピークとして現在の水消費量を27.8%節減することになる。さらに中国が石炭規制に加え、節水技術と節水措置のさらなる普及を進めた場合、2020年のピークの水消費量を720.8億m3に引き下げることも期待できる。

 WWF中国気候エネルギー事業総監の盧倫燕氏によると、石炭消費の規制は水資源と生態系の保護や大気環境の改善に有効であり、市民の健康を改善し、環境水準を高めることにもつながる。石炭規制政策によって北京・天津・河北のPM2.5濃度を14%引き下げると期待され、全国の大気環境の著しい改善にもつながる。清華大学のレポートは、石炭規制政策によって全国のPM2.5年平均濃度は27.36ミクロン/m3から25.11ミクロン/m3に下がると指摘している。市民の健康に関しても、大気の質的向上によって慢性閉塞性肺疾患、虚血性心疾患、脳卒中や肺癌の罹患率を効果的に引き下げることになる。NRDCのエネルギー・環境・気候変動担当上級顧問である楊富強氏も、石炭規制政策は環境と社会収益をもたらすのみならず、中長期的な投資の方向性を誘導し、クリーン・エネルギーの発展を基礎に新たな雇用機会も生むと表明し、中国のエネルギー転換の重要政策の一つになると指摘した。 

 (煤炭網 7月28日)