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【原子力】

中国独自の第三世代原子力発電技術「華龍一号」の海外進出が加速 (15/08/07)
2015/8/7
中国【原子力】

 中越国境に近い広西自治区防城港原子力発電所は中国西部の少数民族地区初の原子力発電基地になる。100万kW級原子炉を建設する計画であり、第1期は2010年3月に着工され、1号機は2015年中に商業運転を開始する計画である。現在準備作業が進められている3号機と4号機は、中国独自の第三世代原子力発電技術「華龍一号」の実証運転の使命を担う。

 昨年8月、中国広核集団と中国核工業集団が共同開発した「華龍一号」技術プランが国の評定審査にパスし、中国広核集団の防城港原子力発電所3、4号機及び中国核工業集団の福建省福清原子力発電所5、6号機を「華龍一号」の国内実証事業として建造することが承認された。

 中国広核集団「華龍一号」総設計師の咸春宇氏によると、「華龍一号」は中国が独自の知的財産権を備える第三世代原子力発電システムであり、世界最高の安全規格に適合し、福島原発並みの事故への対応能力を備え、大型商用機の衝突に対する防御力も備える。しかも建造費は他の第三世代原子力発電所に比べて安い。

 咸春宇氏によると、防城港原子力発電所3、4号機の工期は約6年、総投資額は約350億元になり、同事業は「今後独自技術によって装備製造等の産業の大規模な『走出去』(対外進出)を促進する上で重要な基礎固め」になる。

 昨年12月4日、国家発展改革委員会は安全確保を前提に国際的にも最高の安全基準を採用して、沿海地区の新規原子力発電事業建設を再開すると発表した。中国原子力発電中長期発展規画によると、中国の原子力発電設備容量は2015年に4,000万kWに達し、2020年には計画設備容量は5,800万kW、建設中の設備容量は3,000万kW以上に達する。

 「中国の原子力発電の『走出去』に当たり、『華龍一号』は開発過程において国内と国外の関連法規の要件を同時に満たすようにした」と咸春宇氏は言う。同氏によると、「華龍一号」は海外からも注目されており、中広核は先般フランス電力との間で英国の原子力発電市場をめぐる協力で合意した。現在「華龍一号」が英国の監督管理要件を満たすかどうかについて技術審査が進められている。

 今年初め、中国政府はアルゼンチン政府と加圧水型炉型原子力発電所の共同建設について合意文書に調印した。「華龍一号」の対外進出で契約がまとまる見通しである。

 また、中広核の発表によると、今年7月17日、タイ国エネルギー庁のKurujit Nakorthap官房長は視察団を率いて中広核の紅沿河原子力発電基地を訪問し、燃料供給や使用済み核燃料の処理等について意見交換した。タイはすでに「華龍一号」技術に対する独立審査を進めており、「華龍一号」は年内にもタイの原子力発電開発技術候補「ショートリスト」に指定される見込みである。また、タイは技術要員を中国へ大規模に派遣して、「華龍一号」の関連技術を把握することも計画している。

 中広核は近年、ASEAN諸国のニーズに対応するため、タイとベトナムに事務所を設け、原子力発電などエネルギー分野をめぐるASEAN諸国との協力を推進している。中広核が所属の原子力発電所に招待した各国の視察団は延べ4,000人に上る。また、中広核はASEAN諸国の延べ350人に対して原子力発電技術研修を行った。さらに、ベトナム、タイ、インドネシア等の政府から権限を付与された原子力発電開発企業との間で協力了解覚書に調印している。

 (網易財経 8月8日)