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【中露天然ガス】価格保護措置未設定で露ガスプロムの対中天然ガス輸出事業に赤字リスク (15/08/11)
2015/8/14
中国【石油・天然ガス】

 フィナンシャルタイムズの報道によると。ロシア天然ガス企業Gazpromは8月10日、同社が中国と交わした30年間の天然ガス供給契約は石油市場に対する楽観的な見方に基づくものであり、油価の長期低迷を念頭に置いた価格保護措置を何ら設定していなかったと表明した。

 Gazpromと中国石油天然ガス集団(CNPC)が2014年5月に調印した契約は向こう30年間にわたってロシアから中国へ4,000億ドル相当の天然ガスを輸送することが規定されている。Gazpromにとっては過去最大規模の契約になる。

 しかし、契約調印以来、油価はすでに50%下落しており、同事業の経済性にリスクがもたらされている。Gazpromの同事業の開発コストは約550億ドルに上る。

 Gazpromは8月10日、CNPCとの契約において天然ガス価格は石油バスケット価格にリンクすると規定されていることを認めた。

 また、同契約に価格保護措置が盛り込まれているかどうかについては、GazpromのPavel Oderov取締役が「この契約は余りにもリスクが高すぎる。このような状況は想定外だった」と述べた。モスクワRenaissance Capitalの石油・天然ガスアナリストDavletshin氏によると、油価が現行水準を維持すると、対中天然ガス輸出事業は採算が取れない。

 アナリストの試算によると、契約調印時に見込まれていた天然ガス価格は350ドル/千m3であったが、油価の50%下落によって天然ガス価格はすでに175ドル/千m3に下がっている計算になり、「明白な赤字」である。

 ロシア政府は同事業に対する支援を準備している。クレムリンの発表によると、プーチン大統領は政府に対し9月初頭から「全面行動計画を実施して、シベリアパイプライン事業も含む天然ガス輸送施設に対する政府の支援を確保する」ことを要求した。

 Gazpromによると、国家支援を要請する計画は未だないが、将来的には支援を仰ぐ可能性もある。

 Gazpromの発表によると、第1四半期の純益は3,820億ルーブル、約60億ドルになり、前年同期に比べ71%の増益になったが、ルーブルの対米ドル為替レートが大幅に下落したため、米ドルに換算すると第1四半期の利益は低下傾向を示した。

 (中国能源網 8月11日)