中国国内の石炭消費の低下、生産能力過剰や人民元切り下げなど種々の要因が重なり、中国の石炭に輸出のチャンスが訪れる可能性がある。先日開催された2015年石炭・コークス・鉄鋼産業大会において中国煤炭輸送販売協会の梁敦仕副事務局長は次のように述べた。 中国の今後の石炭輸出動向については主に国際市況を睨む必要がある。とりわけ「一帯一路」(陸と海のシルクロード)戦略の実施と東南アジア諸国の経済発展によって中国の石炭輸出に一定のチャンスが訪れる。川下の需要の低迷に加え、関税の改定や商品炭品質管理弁法の制約のため、今年の中国の石炭輸入は大幅に下がっている。1〜7月の中国の石炭輸入量は前年同期より6,000万トン余り減少し、減少幅は30%を超えている。国内の石炭消費も往年の増加スピードとは打って変わり、昨年は初めてマイナスになり、減少幅は2.9%になった。今年上半期の石炭需要も前年同期に比べ6%以上下がっている。同時に国内石炭企業は主動的に価格の調整を進め、輸入炭と国内炭の価格差が徐々に縮小して、輸入炭の価格優位が弱まることになった。 今回の人民元切り下げにより中国は石炭輸入国から純輸出国になると海外市場は予想しているが、この点について、梁敦仕氏は次のように表明した。中国が石炭輸出国になることは短期的には難しいが、長期的には一定のチャンスがある。次の段階における中国の石炭輸出動向については主に国際市況を睨む必要がある。とりわけ「一帯一路」戦略の実施に伴い、東南アジア諸国の経済発展とエネルギー需要の増加によってチャンスがもたらされる。中国煤炭輸送販売協会の見方では、長期的に見て、大規模な輸入と輸出、輸入と輸出のバランスの取れた貿易構造を形成することが望ましい。例えばベトナムはかつて中国にとって重要な石炭輸入先であったが、今年に入ってから同国の石炭輸入量は輸出量を上回り、石炭輸出国から輸入国に転じた。また、インドネシアは現在最大の一般炭輸出国であるが、政府が火力発電の大規模開発を打ち出しており、5年以内に3,500万kWの電源を建設することになる。そうなれば、インドネシアの石炭消費も大幅に増加し、現在の8,000〜9,000万トンから2.5〜2.6億トンに増加することになる。さらに、タイやマレーシア等も東南アジアの重要な石炭輸入国であり、毎年の輸入量は2,000〜3,000万トンに達している。インドなど南アジアでも石炭消費量が急速に増加し、輸入量も大幅に増加している。伝統的な市場構造を見ると、アジアでは、日本は原子力発電所の停止に伴うエネルギー需要を賄うため、石炭輸入が一定の規模に上昇するかもしれない。韓国は近年石炭火力発電所が増え、輸入量もやや増加している。西欧諸国も自国の炭鉱の閉鎖により、石炭輸入需要が増加している。そのため、遠くない将来において、中国の石炭輸出が徐々に増加することになる。 (国際煤炭網 8月21日)
中国国内の石炭消費の低下、生産能力過剰や人民元切り下げなど種々の要因が重なり、中国の石炭に輸出のチャンスが訪れる可能性がある。先日開催された2015年石炭・コークス・鉄鋼産業大会において中国煤炭輸送販売協会の梁敦仕副事務局長は次のように述べた。
中国の今後の石炭輸出動向については主に国際市況を睨む必要がある。とりわけ「一帯一路」(陸と海のシルクロード)戦略の実施と東南アジア諸国の経済発展によって中国の石炭輸出に一定のチャンスが訪れる。川下の需要の低迷に加え、関税の改定や商品炭品質管理弁法の制約のため、今年の中国の石炭輸入は大幅に下がっている。1〜7月の中国の石炭輸入量は前年同期より6,000万トン余り減少し、減少幅は30%を超えている。国内の石炭消費も往年の増加スピードとは打って変わり、昨年は初めてマイナスになり、減少幅は2.9%になった。今年上半期の石炭需要も前年同期に比べ6%以上下がっている。同時に国内石炭企業は主動的に価格の調整を進め、輸入炭と国内炭の価格差が徐々に縮小して、輸入炭の価格優位が弱まることになった。
今回の人民元切り下げにより中国は石炭輸入国から純輸出国になると海外市場は予想しているが、この点について、梁敦仕氏は次のように表明した。中国が石炭輸出国になることは短期的には難しいが、長期的には一定のチャンスがある。次の段階における中国の石炭輸出動向については主に国際市況を睨む必要がある。とりわけ「一帯一路」戦略の実施に伴い、東南アジア諸国の経済発展とエネルギー需要の増加によってチャンスがもたらされる。中国煤炭輸送販売協会の見方では、長期的に見て、大規模な輸入と輸出、輸入と輸出のバランスの取れた貿易構造を形成することが望ましい。例えばベトナムはかつて中国にとって重要な石炭輸入先であったが、今年に入ってから同国の石炭輸入量は輸出量を上回り、石炭輸出国から輸入国に転じた。また、インドネシアは現在最大の一般炭輸出国であるが、政府が火力発電の大規模開発を打ち出しており、5年以内に3,500万kWの電源を建設することになる。そうなれば、インドネシアの石炭消費も大幅に増加し、現在の8,000〜9,000万トンから2.5〜2.6億トンに増加することになる。さらに、タイやマレーシア等も東南アジアの重要な石炭輸入国であり、毎年の輸入量は2,000〜3,000万トンに達している。インドなど南アジアでも石炭消費量が急速に増加し、輸入量も大幅に増加している。伝統的な市場構造を見ると、アジアでは、日本は原子力発電所の停止に伴うエネルギー需要を賄うため、石炭輸入が一定の規模に上昇するかもしれない。韓国は近年石炭火力発電所が増え、輸入量もやや増加している。西欧諸国も自国の炭鉱の閉鎖により、石炭輸入需要が増加している。そのため、遠くない将来において、中国の石炭輸出が徐々に増加することになる。
(国際煤炭網 8月21日)