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【石炭】

石炭資源税改革の成果と影響 (15/09/11)
2015/9/16
中国【石炭】

 2014年10月、財政部と税務総局は《石炭資源税改革の実施に関する通達》を出し、2014年12月1日より、石炭資源税を従価税に改める一方で、関連課金を整理した。石炭資源税改革の通達からほぼ1年、石炭資源税改革の成果と影響について、新疆伊吾県のケースから見ていくことにする。

 伊吾県は石炭露天掘りが主であり、最も大きい石炭企業の埋蔵量は17.2億トンになる。2015年まで石炭採掘に課せられていた地方的課金には鉱産資源補償費、汚染排出費、石炭調節費、土地修復費があったが、2014年第4四半期時点ですでに徴収が停止されていた。以下は具体的な分析になる。

 (1) 地方税収への影響
 石炭資源税は一種の地方税であり、従価税に改められると、地方の税収が増加し、地方財政の逼迫状況は緩和される。そのため、新疆、甘粛、内蒙古など多くの省や自治区が石炭資源改革の推進に力を入れた。石炭開発過程では土地の水資源の破壊は避けられない。石炭資源税が従量税から従価税に改められると、石炭生産地区の資源的優位は経済的優位に転換し、政府の生態系回復や環境管理への投資にとっても有利になる。

 (2) 石炭企業と県域経済への影響

1) 資源産業の希少性の特徴に合致する。従量課税は実際の価格の変動状況や希少性を反映することは出来ず、また、企業の生産過程における浪費や環境に対する汚染と破壊、資源価格の変動を考慮に入れることは出来ない。一方、従価税は実際の石炭価格の変動状況や希少性を反映して、石炭消費と石炭資源税の相関を体現することが出来る。石炭に過度に依存する経済発展の転換や石炭利用効率の向上にとっても有効である。

2) 石炭資源税改革が進められた背景には、石炭価格の大きな変動や一部地方の希少石炭資源に対する浪費、さらに従量課税では石炭市場の発展に適合できなくなったことなどがある。石炭の従価課税は石炭価格の感度を高め、税負担の弾力性を増やし、石炭企業に対して資源の有効な開発と利用や短期的な生産目標と長期的な資源利用の結合を促す。また、資源が良好で売価が高ければ課税も多くなるという公平原則の実行を推進し、同一エリアにおいて質の異なる石炭の大きな価格差や税負担の不公平といった問題も解決する。

3) 石炭資源税の従価税化により、企業は省エネ・排出削減を強化し、持続可能な発展を追求する有効なメカニズムを形成することになった。従価税による価格比較によって石炭企業は石炭の希少価値を認識するようになり、一方、利益の最大化を求めて、石炭産業チェーンの上流・中流・下流の企業は石炭の節約に留意して、エネルギー消費を減らす。すなわち、企業内部に目に見えない形で一種のインセンティブの仕組みが形成され、企業はより科学的で持続可能な方向へと発展を進めることになった。
 
(煤炭網 9月11日)