国有企業改革の基本計画案が公布され、新たな石油・天然ガス体制改革の幕も上がりつつある。中国証券報の取材によると、石油・天然ガス体制改革においてはパイプライン網の分離が大きな方向性になり、将来的に石油パイプライン網とガスパイプライン網を分離して、3大石油公司から独立した原油と天然ガスの輸送公司を設けることになる。この計画はすでに確定しており、段階的に実施するのかそれとも一気に実施するのかについて目下検討が進められている。パイプライン網の分離は石油化学産業の一体化された独占を打破する上で有効であり、産業の競争力を増強し、現行の構造を変えることにもつながる。 パイプライン網の独立先行も 今年に入ってから、石油・天然ガス体制改革がスピードアップしている。 国家発展改革委員会の連維良副主任は9月16日に開かれたプレス発表会において、経済体制改革に関する最新の進展状況を説明し、国有企業と重点産業の改革の推進に力を入れると表明するとともに、石油・天然ガスなど重点産業の改革をめぐって計画案が策定中であることを明らかにした。 先日公布された《国有企業改革の深化に関する指導意見》は、自然独占産業について、政府と企業の分離、政府と資本の分離、特許経営、政府の監督管理を主な課題にするとし、それぞれの産業の特性に応じて、ネットワークを分離し、競争的業務を開放し、公共資源配置の市場化を促進することを明確に打ち出している。 国務院は今年5月、発展改革委員会の《2015年経済体制改革深化重点工作に関する意見》を通達して、経済体制改革の年度重点任務39項目を打ち出し、その中で石油・天然ガス体制改革全体方案を研究、策定して、産業チェーン全体の各プロセスの参入基準を緩和するよう求めた。 中国石油天然ガス股フェン公司(PetroChina)の汪東進総裁は今年8月末の中期業績発表会において、石油ガスパイプライン網の分離に向けた改革は石油・天然ガス体制改革の大きな方向性に合致し、重点内容の一つになると表明した。改革は中国の石油ガスパイプライン網の現状に即して段階的に実施し、パイプラインの独立と市場化を完全に実現するこが目標になる。一方、中国石油化工集団(SINOPEC)の王玉普董事長(会長)も、パイプラインの分割問題について、国家発展改革委員会の関連規定と政策に従って準備に当たると表明した。 これより先、中国社会科学院工業経済研究所の研究グループは《新しい時期における国有経済改革全面深化問題の研究》と題するレポートをまとめ、通信インフラと長距離石油ガスパイプラインを企業から分離して、独立したネットワーク運営企業を組織するとの方式を前向きに検討すべきであると提言していた。これは、国民経済の視点から、ネットワークインフラ使用の開放を通して競争的な市場構造の構築と公平な競争制度の確立を推進し、独占的産業の国有経済を社会主義市場経済体制の構成要素として活性化すべきとの考えであり、業務の再編は産業の特性に応じて全体的に計画し、段階的に実施すべきであるとしている。 アモイ大学中国エネルギー経済研究センターの林伯強主任は、パイプライン網の分離は石油・天然ガス産業の一体化された独占を打破し、競争力を増強する上で有効であると指摘し、現行の構造に極めて大きな衝撃を与えることになるとしている。国家管道公司を設けることは、基本的には電力体制改革と同じような考え方になる。新たな石油・天然ガス体制改革では、再編プロセスが比較的容易なパイプライン網の独立を先行させる可能性が高い。一方、混合所有制については、全体上場はプロセスを踏む必要があり、将来の改革の方向性としては、上流と下流の民間企業への開放をさらに進めるべきである。 香頒資本の執行取締役である沈萌氏は、パイプライン網を分離して国家管網公司を設けることは、石油・天然ガス分野へ民間資本を導入して混合所有制改革を実現する重要な一歩になると指摘する。なぜなら、パイプライン網の遠距離輸送と販売に依存する石油・天然ガス産業にとって、「国有石油御三家」が上流業務を抱えつつパイプラインも支配する状況が続けば、たとえ石油・天然ガス上流業務への民間資本の参入が認められたとしても、新たな競争者はパイプライン網の制約を受けることになるからである。これに対し、パイプライン網が独立すると、中小石油ガス企業は規模以外の優位によって、規模の膨大な御三家と相対的に公平な競争を展開できるようになる。 華泰証券の指摘によると、中国の長距離石油・天然ガスパイプラインは長年「国有石油四天王」が掌握し、特にCNPCがその80%以上を占めているが、このことは他の企業が天然ガスのパイプライン輸送に参入する上で最大の障害になっている。長距離石油・天然ガスパイプラインの垂直一体化にはポジティブな一面もあり、四天王のパイプライン投資の拡大にとっては有利であったが、その反面、他の上流・下流企業の需給との協調を断つことになり、天然ガスの市場化に向けた改革にとっては不利である。パイプライン網の分離による投資の増加は、パイプライン設備製造業者に利益をもたらすとともに、中流のパイプライン網の独占打破によって下流の都市ガス運営業者の収益の余地も高まることになる。 方正証券によると、石油・天然ガス体制改革は、競争的プロセスのガス価格の開放、民間資本への上流探査開発業務の開放、パイプライン網への第三者参入の開放、原油輸入権の開放、そして中流のインフラ、特にパイプライン網の相対的独立と規範的な運営が重点になる。パイプライン網の独立はパイプライン網への第三者の参入を実現する基礎になり、当面の改革の重点は、各種資本の参入の奨励、パイプライン網の相対的独立の実現並びに第三者の参入の奨励である。目標はパイプライン網資産の独立と公開参入の義務付けであり、パイプライン網の独立は予想を超えて、国家管網公司の設立に発展するかも知れない。御三家は引き続き過半数の国有株を保持することになると予想されるが、パイプライン網の分離が打開を遂げ、国家管網公司が組織されれば、公益国有企業となり、国有独資の形式を取ったり、また、それ以外の方式によって非国有企業の経営参加を奨励したりする可能性もある。 招商証券によると、石油・天然ガス体制改革の重点は、参入のハードルを引き下げることによって、国内石油・天然ガスの市場競争を増やすことにある。マーケットは、国有石油企業がパイプライン資産を分割すれば、潜在的なパイプライン構造調整がCNPCのパイプライン資産の価値を解き放つことになると見ている。 (新華網 9月24日)
国有企業改革の基本計画案が公布され、新たな石油・天然ガス体制改革の幕も上がりつつある。中国証券報の取材によると、石油・天然ガス体制改革においてはパイプライン網の分離が大きな方向性になり、将来的に石油パイプライン網とガスパイプライン網を分離して、3大石油公司から独立した原油と天然ガスの輸送公司を設けることになる。この計画はすでに確定しており、段階的に実施するのかそれとも一気に実施するのかについて目下検討が進められている。パイプライン網の分離は石油化学産業の一体化された独占を打破する上で有効であり、産業の競争力を増強し、現行の構造を変えることにもつながる。
パイプライン網の独立先行も
今年に入ってから、石油・天然ガス体制改革がスピードアップしている。
国家発展改革委員会の連維良副主任は9月16日に開かれたプレス発表会において、経済体制改革に関する最新の進展状況を説明し、国有企業と重点産業の改革の推進に力を入れると表明するとともに、石油・天然ガスなど重点産業の改革をめぐって計画案が策定中であることを明らかにした。
先日公布された《国有企業改革の深化に関する指導意見》は、自然独占産業について、政府と企業の分離、政府と資本の分離、特許経営、政府の監督管理を主な課題にするとし、それぞれの産業の特性に応じて、ネットワークを分離し、競争的業務を開放し、公共資源配置の市場化を促進することを明確に打ち出している。
国務院は今年5月、発展改革委員会の《2015年経済体制改革深化重点工作に関する意見》を通達して、経済体制改革の年度重点任務39項目を打ち出し、その中で石油・天然ガス体制改革全体方案を研究、策定して、産業チェーン全体の各プロセスの参入基準を緩和するよう求めた。
中国石油天然ガス股フェン公司(PetroChina)の汪東進総裁は今年8月末の中期業績発表会において、石油ガスパイプライン網の分離に向けた改革は石油・天然ガス体制改革の大きな方向性に合致し、重点内容の一つになると表明した。改革は中国の石油ガスパイプライン網の現状に即して段階的に実施し、パイプラインの独立と市場化を完全に実現するこが目標になる。一方、中国石油化工集団(SINOPEC)の王玉普董事長(会長)も、パイプラインの分割問題について、国家発展改革委員会の関連規定と政策に従って準備に当たると表明した。
これより先、中国社会科学院工業経済研究所の研究グループは《新しい時期における国有経済改革全面深化問題の研究》と題するレポートをまとめ、通信インフラと長距離石油ガスパイプラインを企業から分離して、独立したネットワーク運営企業を組織するとの方式を前向きに検討すべきであると提言していた。これは、国民経済の視点から、ネットワークインフラ使用の開放を通して競争的な市場構造の構築と公平な競争制度の確立を推進し、独占的産業の国有経済を社会主義市場経済体制の構成要素として活性化すべきとの考えであり、業務の再編は産業の特性に応じて全体的に計画し、段階的に実施すべきであるとしている。
アモイ大学中国エネルギー経済研究センターの林伯強主任は、パイプライン網の分離は石油・天然ガス産業の一体化された独占を打破し、競争力を増強する上で有効であると指摘し、現行の構造に極めて大きな衝撃を与えることになるとしている。国家管道公司を設けることは、基本的には電力体制改革と同じような考え方になる。新たな石油・天然ガス体制改革では、再編プロセスが比較的容易なパイプライン網の独立を先行させる可能性が高い。一方、混合所有制については、全体上場はプロセスを踏む必要があり、将来の改革の方向性としては、上流と下流の民間企業への開放をさらに進めるべきである。
香頒資本の執行取締役である沈萌氏は、パイプライン網を分離して国家管網公司を設けることは、石油・天然ガス分野へ民間資本を導入して混合所有制改革を実現する重要な一歩になると指摘する。なぜなら、パイプライン網の遠距離輸送と販売に依存する石油・天然ガス産業にとって、「国有石油御三家」が上流業務を抱えつつパイプラインも支配する状況が続けば、たとえ石油・天然ガス上流業務への民間資本の参入が認められたとしても、新たな競争者はパイプライン網の制約を受けることになるからである。これに対し、パイプライン網が独立すると、中小石油ガス企業は規模以外の優位によって、規模の膨大な御三家と相対的に公平な競争を展開できるようになる。
華泰証券の指摘によると、中国の長距離石油・天然ガスパイプラインは長年「国有石油四天王」が掌握し、特にCNPCがその80%以上を占めているが、このことは他の企業が天然ガスのパイプライン輸送に参入する上で最大の障害になっている。長距離石油・天然ガスパイプラインの垂直一体化にはポジティブな一面もあり、四天王のパイプライン投資の拡大にとっては有利であったが、その反面、他の上流・下流企業の需給との協調を断つことになり、天然ガスの市場化に向けた改革にとっては不利である。パイプライン網の分離による投資の増加は、パイプライン設備製造業者に利益をもたらすとともに、中流のパイプライン網の独占打破によって下流の都市ガス運営業者の収益の余地も高まることになる。
方正証券によると、石油・天然ガス体制改革は、競争的プロセスのガス価格の開放、民間資本への上流探査開発業務の開放、パイプライン網への第三者参入の開放、原油輸入権の開放、そして中流のインフラ、特にパイプライン網の相対的独立と規範的な運営が重点になる。パイプライン網の独立はパイプライン網への第三者の参入を実現する基礎になり、当面の改革の重点は、各種資本の参入の奨励、パイプライン網の相対的独立の実現並びに第三者の参入の奨励である。目標はパイプライン網資産の独立と公開参入の義務付けであり、パイプライン網の独立は予想を超えて、国家管網公司の設立に発展するかも知れない。御三家は引き続き過半数の国有株を保持することになると予想されるが、パイプライン網の分離が打開を遂げ、国家管網公司が組織されれば、公益国有企業となり、国有独資の形式を取ったり、また、それ以外の方式によって非国有企業の経営参加を奨励したりする可能性もある。
招商証券によると、石油・天然ガス体制改革の重点は、参入のハードルを引き下げることによって、国内石油・天然ガスの市場競争を増やすことにある。マーケットは、国有石油企業がパイプライン資産を分割すれば、潜在的なパイプライン構造調整がCNPCのパイプライン資産の価値を解き放つことになると見ている。
(新華網 9月24日)