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【石炭】

石炭化学工業の環境アセスメント却下が多発 政策引き締めのシグナルか (15/10/19)
2015/10/20
中国【石炭】

 今年に入ってからSNG(石炭由来代替天然ガス)も含む石炭化学工業事業の環境アセスメント却下が話題になり、現代的石炭化学工業に進出する企業の懸念と不安を呼び起こしており、国が石炭化学工業を引き締めるシグナルであるとの解釈すら出ている。

 多数の石炭化学事業の環境アセスメントが却下されている状況について、清華大学化工学院の金涌院長は「経済下振れ圧力の影響を受けて、大手エネルギー企業は収益水準が低下し、資金が逼迫して、巨額の現代的石炭化学事業を進めようにも体力が不足している」と指摘する。

 また、大唐能源化工公司安全環境保護総監の●軍氏は「中国化工報」の取材に対し、国は環境アセスメントのハードルを引き上げていると指摘し、石炭化学事業が環境アセスメントに簡単にパスしたとしても、事業完成後に環境保護問題が表面化すると、企業は支払う代価は非常に大きなものになると述べた。

 政府は最早現代的石炭化学工業の発展を支持していないのはないかという懸念について、金涌氏は「一部事業の環境アセスメントの却下は、国家レベルで現代的石炭化学工業の発展を支持しなくなったことを意味するものではなく、むしろこれを重視して責任を負うという現れだ」「事業の立地選定が科学的、合理的かどうか、環境キャパシティが十分にあるかどうか、事業の莫大な水消費需要を賄える水資源があるかどうか、完成後の廃棄物処理が国の関連法規や要件を満たすかどうかは、事業の成否を分ける重要な鍵になる」「運良く関門にパスして事業を完成させても、水資源や環境問題のために操業を開始することが出来なければ、企業の損失は莫大なものになる」と言う。

 「実際、環境保護部門が最近却下した2件の石炭化学工業の環境アセスメント報告には多くの部分で重要な問題がある」「関門を厳しくしなければ、事業の着工が既成事実になり、改善しようとしてもますます困難になる。これでは石炭化学工業に対して責任を負うことにはならない」。環境保護部環境経済政策研究センターの馮相昭博士は「中国化工報」の取材に対して述べた。

 金涌氏によると、中国の現代的石炭化学工業はスタートしたばかりであり、技術の可能性と先進性を検証する上で初歩的な段階に止まっている。技術と工程のインテグレーションと最適化は未だ不可能であり、運営と管理の経験も乏しい。設計さえも「石を叩きながら渡る」状況にある。こうした状況では、安全や環境リスクも含め、設計、技術の選定や管理などが当を得ないなど様々な問題が発生することは避けられない。現代的石炭化学工業の環境問題を解決しようとするなら、経験を総括し、教訓を汲み取り、技術的難題の克服に力を集中して、エンジニアリングの改良と最適化を続ける他ない。

 金涌氏は最後に、環境アセスメントの審査を厳しくすることはリスクの低減と抑制や石炭化学工業の健全な発展にとって有利であると表明した。

 (中国化工報 10月19日)

 ●…「赤」におおざと