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中国
【石炭】

中国の一般炭輸入業者に大きな構造変動 (15/11/03)
2015/11/9
中国【石炭】

 1〜9月の統計を見ると、中国の一般炭(褐炭も含む)輸入業者の構造に非常に大きな変化が発生していることが分かる。大手電力集団が一般炭輸入業者の上位にランクインし、集中度が大幅に上昇している一方で、伝統的な華南の貿易業者がランキングからはずれている。中国の一般炭貿易業者上位20社の第1〜第3四半期における一般炭(褐炭も含む)輸入量は合計6,459.5万トン、同時期の一般炭(褐炭も含む)総輸入量の64.9%を占めた。

 第1〜第3四半期の税関統計を見ると、下流の需要家である国有企業、例えば華能集団、広東省燃料公司、浙江富興電力燃料や大唐集団が一般炭輸入業者の上位を占め、輸入量全体に占める比率もますます高くなっている。一方、華南地区の老舗の輸入業者は上位20社のランキングから姿を消した。このことは中国の下流の需要家が一般炭の直接輸入にますます積極的になっていることを示すものであり、一方、伝統的貿易業者の活躍する余地がますます小さくなっていることを示している。

 特に注目すべきは、一般炭輸入業者上位10社に蘇艾科(上海)貿易有限公司という業者がランクインし、2014年の第113位から今回第6位に大きく躍進したことである。同社はロシアの炭鉱企業SUEK社が単独出資で設けた会社であり(蘇艾科はSUEKの音訳)、供給や価格の面で一定の優位を占めている。蘇艾科は華能集団と年間長期契約を結んでおり、主に華北と華東地区の発電所に一般炭を供給している。

 一方、中国の石炭産業が苦境からの脱却を進めている中で、神華の一般炭輸入量は急激に低下している。神華の昨年のランキングは第4位であったが、今回は第89位に下がった。神華は関係政府部門の発議に応じ、国内石炭市場への供給を減らすため、2014年第4四半期以降、石炭輸入を大幅に縮小しついには停止したとのことである。

 国内炭価格の大幅な下落が続いたため、輸入炭価格はほとんど逆さや状態にあり、輸入業者の赤字は深刻である。これに銀行融資の引き締めが追い打ちをかけ、多数の輸入業者は業務を一時停止するか市場からの退出を余儀なくされている。ICISが整理した税関統計によると、2014年に一般炭(褐炭も含む)輸入業務を手掛けていた輸入業者は340社あったが、2015年1〜9月には180社に激減している。

 (中国証券網 11月3日)