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中国
【石炭】

今後5年間で中国石炭企業の半分以上が退出の可能性 (15/11/06)
2015/11/12
中国【石炭】

 中国政府はパリ気候変動会議に向けて炭素排出削減を約束し、2020年には石炭消費量を38億トン以下に抑えるとしている。そのため、国内の採炭・選炭企業の数は2015年の6,390社から2020年には3,000社以内に減ることになる。

 第12次5ヵ年規画の最終年である2015年も終盤に近づき、第13次5ヵ年規画は各業界の焦点になっているが、石炭消費総量の規制はすでに業界内のコンセンサスになっている。そのため、すでに全体的に赤字経営に陥っている石炭産業にはさらなる困難が加わり、半分以上の石炭企業が退出に追い込まれるかもしれない。

 11月4日、「第13次5ヵ年規画への建言−中国石炭規制計画研究国際シンポジウム」において、「中国石炭消費総量規制計画並びに政策研究」グループは《中国石炭消費総量規制計画研究報告》を発表した。同レポートは2020年の中国の石炭消費総量を標準炭で27.2億トンに抑え込むべきであると提言している。すなわち、38億トンの実物量も含めてエネルギー総消費を標準炭換算で47.4億tceに規制する。また、同レポートは採炭・選炭企業の数を2015年の6,390社から2020年には3,000社以内に圧縮すべきであるとし、そうなると、2020年の採炭業の失業者数は67.1万人になり、選炭業の失業者数は19.1万人になるとの見積もりを示している。

 こうした石炭規制目標を達成することになれば、エネルギー消費総量に占める石炭のシェアは57.4%に下がり、昨年に比べ8.6ポイント下がることになる。一方、天然ガスのシェアは10%に上昇し、非化石エネルギーのシェアは15.2%に上昇する。

 「中国石炭消費総量規制計画並びに政策研究」グループの中核メンバーであり、天然資源保護協会(NRDC)エネルギー・環境・気候変動上級顧問を務める楊富強氏によると、上述の目標は気候変動、大気環境、水資源、土地資源や市民の健康等の拘束条件に基づいて検討したものである。

 しかしながら、当面の石炭消費状況から見て、こうした目標を実現する上で難度は低くはない。国家統計局の統計によると、2014年の石炭消費量は約35.1億トン、2000年以降では初めてのマイナスになり、前年比約2.5%減少したが、石炭消費のシェアは依然66%に上り、一方、非化石エネルギーのシェアは11.1%に止まっている。

 楊富強氏の指摘によると、中国が2020年に大気環境の大幅な改善を実現し、PM2.5の年平均値を45μg/m3以下に抑え、水資源の使用量を747億トン以下に抑えようとするのなら、上述の石炭規制目標を達成する必要がある。

 「中国石炭消費総量規制計画並びに政策研究」グループは各セクターの具体的な石炭消費量の目標も示している。石炭消費が最も大きい電力セクターは標準炭13.87億トン以内に抑えて、石炭総消費に占める比率を51%にする。次いで製造業は11.73億トンに抑え、比率を40.2%にする。建築業は2.4億トン以下に抑え、8.8%とする。

 今年6月に中国政府がパリ気候変動会議に向けて提出した自主的に決定する約束草案《中国の気候変動対応の自主的貢献》は2030年を炭素排出のピークにとし、2020年の石炭消費総量を38億トン以下に、2030年には34億トン以下に規制することを公約している。

 2014年11月に国務院弁公庁が公布した《エネルギー発展戦略行動計画(2014〜2020年)》は、2020年の一次エネルギー消費総量を標準炭換算で48億tce前後に規制し、石炭消費総量を42億トン前後に規制して、石炭消費のシェアを62%以内に抑えることを提唱している。国家発展改革委員会能源研究所エネルギー経済発展戦略研究センターの姜●民副主任は、第13次5ヵ年規画期にはエネルギー消費総量の規制を重点対策として位置付け、特に石炭総量規制をその重点として、石炭のシェアを現在の66%から60%以下に下げるべきと提言している。
 
 (新浪財経 11月6日)

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