1. HOME
  2. 中国 【石炭】

中国
【石炭】

中国が2020年には石炭消費を27.2億トンに抑え込む可能性も (15/11/06)
2015/11/12
中国【石炭】

 11月4日、「第13次5ヵ年規画への建言−中国石炭規制計画研究国際シンポジウム」が北京で開かれ、席上、「中国石炭消費総量規制計画並びに政策研究」グループは《中国石炭消費総量規制計画研究報告》と題するレポートを発表した。同レポートは、2020年の中国の石炭消費総量を標準炭で27.2億トンに抑えること、すなわち、38億トンの実物量も含めてエネルギー総消費を標準炭換算で47.4億tceに規制することを提言している。そうなれば、石炭消費のシェアは57.4%に下がることになる。これまで公表された石炭規制の中期目標に比べると、《中国石炭消費総量規制計画研究報告》の数値要求は高く、実施の難度も相応に高くなるだろう。

 昨年11月に国務院が公布した《エネルギー発展戦略行動計画(2014〜2020年)》は、2020年には石炭消費総量を42億トン前後に規制し、一次エネルギー消費に占める石炭消費のシェアを62%以下に抑えるとの目標を掲げている。これに比べると「中国石炭消費総量規制計画並びに政策研究」グループが打ち出した27.2億トン、57.4%という目標は野心満々である。研究グループの中核メンバーであり、天然資源保護協会(NRDC)エネルギー・環境・気候変動上級顧問を務める楊富強氏の説明によると、中国が2020年にPM2.5の年平均値45μg/m3以下を実現し、2025年にはWHOの移行期間第1段階の目標を達成しようとするなら、2020年には石炭消費を40億トン以下とし、2030年には35億トンにしなければならない。

 また、石炭開発は大量の水資源の消費を伴い。水資源の拘束は大気環境に比べても石炭消費総量規制に対してより厳しい要求を突きつける。中国が2020年の水消費量を747億m3以下にしようとするなら、石炭消費は38億トンを超えてはならないことになる。

 価格の低い石炭は長年にわたって中国経済の成長を支える最も重要なエネルギーであり続けてきた。経済の下降圧力が強まり、都市化の任務も重くのしかかる中で、石炭の削減と圧縮が経済成長に悪い影響を及ぼすことを懸念する人は多い。

 11月4日のシンポジウムでは、「石炭を規制することになれば、山西や陝西などの雇用と経済はどうなるのか」と言う人もいた。しかし、楊富強氏によると、石炭消費を4.2億トン減らすと3,400億元余りの節約になり、そうした資金の一部で生産基地の転換や雇用を支援することも出来る。実際、石炭生産は日増しに機械化やスマート化が進んでおり、石炭産業の雇用に対する役割は徐々に弱まりつつある。中国社会科学院都市発展環境研究所の潘家華所長は、機械化は石炭産業発展の方向性であるため、たとえ石炭を増産しても雇用創出効果はあまり顕著ではなく、石炭消費の規制が大規模な失業をもたらすことはないと表明した。

 石炭消費の規制は経済発展の原動力に対する規制を意味するわけではない。サービス業の急速な発展に伴い、経済成長のエネルギー消費に対する依存の度合いは次第に弱くなっている。潘家華所長によると、石炭消費規制の鍵は経済構造の転換とグレードアップにある。中国は徐々にポスト工業化時代に入っており、石炭消費規制目標は決して手が届かないほど高いものではない。

 (環球網 11月6日)