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【エネルギー全般・政治経済】

石炭から天然ガスへの転換は必然の流れ (15/11/09)
2015/11/15
中国【エネルギー全般・政治経済】

 11月3日、中国石油集団経済技術研究院と日本エネルギー経済研究所の共催による第9回石油市場研究成果交流会が北京で開催された。会議に出席した専門家は、中国の天然ガス需要は伸び率が下がっているものの、第13次5ヵ年規画期には発電用と分散用石炭の分野で天然ガスが石炭に取って代わるのは必然の流れであり、天然ガス発展のポテンシャルは極めて大きいとの認識で一致した。

 第13次5ヵ年規画期において石炭に代替する新規天然ガス需要は1,126億m3に達し、2020〜2025年には代替のポテンシャルは1,600億m3近くになると予想される。石炭から天然ガスへの転換はコージェネレーションが主になり、ボイラーとキルンが従になる。

 日本エネルギー経済研究所の山下由佳莉氏によると、気候変動に対応してCO2と温室効果ガスの排出を削減するため、2040年まで世界的に代替エネルギーとしての天然ガスが大幅に増加し、石炭の伸び率は著しい低下傾向を示すことになる。2040年には天然ガスは一次エネルギーに占めるシェアで石炭を抜き、第2のエネルギーになる。

 中国石油集団経済技術研究院天然ガス市場研究所の王海博副所長は、中国の天然ガスは伸び率が下がっているものの、中国における天然ガスの発展はまだスタート段階であり、将来的にもなお大きな発展の余地があると表明した。天然ガス発展のポテンシャルが最も大きい分野は発電用と分散用石炭からの転換である。2014年の中国の総発電量の中で天然ガス発電はわずか2.1%に過ぎず、世界平均の20%をはるかに下回っている。発電分野で石炭から天然ガスに転換するメリットは突出している。天然ガス発電はエネルギー転換効率を引き上げるだけでなく、環境保護のメリットも際立っており、ピーク調整能力にも優れる。石炭から天然ガスへの転換は、中国のエネルギー構造を低炭素・クリーン・高効率へと転換させ、そのグレードアップを促進する上で重要な道筋になる。

 中国政府は大気汚染防止並びに気候変動対応の行動計画を強力に推進しているところであり、石炭から天然ガスへの転換にとってはめったにない歴史的チャンスになる。現在、中央政府と地方政府は次々と政策を打ち出して、石炭火力発電設備や石炭焚ボイラー・キルン等の「煤改気」(石炭焚きから天然ガス用への改修)を奨励しており、このことは天然ガスの発展にとって大きな推進力になっている。

 しかしながら、天然ガス発電は経済性に劣り、ガス発電設備のコストも高い。また、発電能力過剰の問題もあり、石炭から天然ガス発電への転換は制約を受けることになる。こうした点について、王海博氏は、天然ガス価格制度の完備、電力市場改革の加速、より厳正な環境保護政策の策定と実行、ガスタービン技術の研究開発の加速、設備の調達・保守コストの引き下げが「煤改気」の順調な推進を保障する必要条件になるとしている。

 (我的煤炭網 11月9日)