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【エネルギー全般・政治経済】

中国が国を挙げて火力発電に対する再生可能エネルギーの挑戦をサポート (15/11/19)
2015/11/25
中国【エネルギー全般・政治経済】

 蘇州で開催された「国際エネルギー変革フォーラム」において、国家発展改革委員会能源研究所の高世憲副所長は、中国は目下火力発電に対する再生可能エネルギーの挑戦を全面的にサポートしていると表明した。今回のフォーラムは国務院の特別の指示によるものであり、2016年の杭州G20首脳会議に向けて、中国の排出削減に対する決意と自信を宣揚することを趣旨とする。

 今回のフォーラムでは、神華集団の張玉卓董事長(会長)が「石炭のクリーンな利用とその道筋」と題する講演を行ったが、出席した5大発電集団や石炭企業には登壇の機会は全く与えられなかった。このことは石炭が最早歓迎されていない現れである。

 フォーラムでは、努爾・白克力(Nur Bekri)国家能源局長が中国の2020年のエネルギーとグリーン・低炭素発展目標について、一次エネルギー消費総量に占める非化石エネルギーの比率を15%前後に高め、単位GDP当たりのCO2排出量を2005年比で40〜45%引き下げると指摘し、さらに2030年の目標について、一次エネルギー消費総量に占める非化石エネルギーの比率を20%前後に高め、単位GDP当たりのCO2排出量を2005年比で60〜65%引き下げ、2030年頃を炭素排出のピークにしつつもピークの早期到来に努めるとした。

 現在、中国の一次エネルギーの66%は石炭に依存し、発電の70%は火力発電によるものである。つまり、2020年に非化石エネルギーの比率を15%にし、2030年には20%にするということは、石炭を燃料とする火力発電が全面的に零落することを意味する。
 国家能源局の統計によると、2014年の発電量の中で火力発電は75.2%を占め、水力、風力、原子力、ソーラーなど非化石エネルギー発電の比重は約24.8%であった。2014年の全国発電量は5兆4,320億kWh、前年比5.09%増加したが、うち火力発電は0.17%の微増に止まった。発電量の増加分の殆どは水力発電によるものであり、水力発電の発電量は24.61%の増加になった。

 すなわち、期待を集めていた太陽光発電や風力発電等のクリーン・エネルギーは発電量全体に占めるシェアの点からは足踏みしていた。

新エネルギー発電の困難な系統連系をもたらす体制的弊害は電力価格に現れている。過去十年余りの間に石油製品、天然ガス、石炭の3大主要エネルギーの価格は市場化が進み、特に石炭については早い時期から白熱した競争が発生していた。しかし、中国のエネルギーの最も中核である電力価格は依然統制されている。

 高世憲副所長は、電力価格が依然高度に統制されているのに対し、発電用の石炭、天然ガス、重油等の価格はすでに完全自由化に近づいていると指摘し、国は石炭を主とする火力発電の形式に対する再生可能エネルギーの挑戦を全面的に支援しつつあると述べた。

 今回のフォーラム会期中に、フォーラムに出席した専門家の全会一致により「8項目のコンセンサスと6項目のイニシアチブ」からなる「蘇州宣言」が発表された。これは中国が2015年に開始した電力体制改革が目下全面的にスピードアップしていることを示すものになる。

 (中商情報網 11月19日)