1. HOME
  2. 中国 【石炭】

中国
【石炭】

第13次5ヵ年規画期中に中国の石炭消費がピークに エネルギー需要は年率2.71%増 北京理工大学が予測 (16/01/07)
2016/1/11
中国【石炭】

 1月6日、北京理工大学エネルギー環境政策研究センターは「エネルギー経済予測並びに展望研究報告(2016)」発表会を開き、《第13次5ヵ年規画期及び2030年エネルギー経済の展望》《エネルギー需要予測の誤差の回顧と啓示》《2016年国際原油価格分析並びに動向予測》《2016年石油産業の予測と展望》《海外石油ガス資源国投資リスク評価指数》《第13次5ヵ年規画期における北京市新エネルギー車省エネ・排出削減ポテンシャル分析》《第13次5ヵ年規画期に全国的炭素排出権取引が工業セクターの排出削減コストに及ぼす影響の展望》の7本のレポートを発表した。この一連のレポートは魏一鳴教授をリーダーとする研究グループが長期的かつ高度の研究をベースに作成したものであり、毎年1回発表されている。

 その中で《第13次5ヵ年規画期及び2030年エネルギー経済の展望》は石炭消費が第13次5ヵ年規画期にピークに達するとの予測を示している。具体的には第13次5ヵ年規画期のエネルギー消費の年間伸び率は、基準シナリオでは2.71%、高炭素シナリオでは3.35%になる。低炭素シナリオでは2025年に中国のエネルギー総消費量は約52.8億tce(標準炭換算トン)に達してピークを迎える。

 《第13次5ヵ年規画期及び2030年エネルギー経済の展望》は次のように分析している。経済が「新常態」(ニューノーマル)に進むと、エネルギー消費も「新常態」へと進み、エネルギー総消費量の伸び率の鈍化、構造転換の加速、エネルギー効率の上昇やエネルギー消費構造の低炭素化並びにクリーン化といった特徴が現れる。エネルギーの種目別に具体的に見ていくと、石炭消費は2019年頃にピークに達し、それ以降年々低下することになる。また、2017年にはエネルギー需要に占める石炭のシェアは約62%に下がり、中国のエネルギー構造転換の重要な一歩になる。石油需要の伸び率は鈍化して第13次5ヵ年規画期は年率約1.7%前後に下がり、2020年の石油需要は5.65億トンになる。天然ガス需要は急速に増加し、現在の6%から2020年には10%以上に上昇すると予想される。再生可能エネルギーも著しい増加を持続し、2020年には5.5〜5.8億tceに増加して、中国のエネルギー総需要の11〜13%を占めることになる。

 北京理工大学エネルギー環境政策研究センターのカク宇副教授は報告の中で政策提言を行っており、2030年のエネルギー消費について次のように中長期計画を策定すべきであるとしている。5ヵ年計画に従って全体的目標を分割する。エネルギー消費構造の調整を「ツーステップ」で実現し、先に石炭消費の比重を引き下げてから、非化石エネルギーの比重を高める。エネルギー消費強度の引き下げに力を入れ、技術支援と老朽化生産能力の淘汰を並行して進める。エネルギーと環境計画の策定に当たっては、地域と産業によって異なる関連政策の協調に注意する。財政のポテンシャルを掘り起こして、省エネと経済構造調整を進める上で財政支援を保障する。産業のグレードアップを加速し、産業構造の最適化を進め、産業と業種の違いに応じて差別化政策を適用する。

 なお、今回の発表会で注目すべきは、《2016年国際原油価格分析並びに動向予測》が2016年のブレントとWTI価格の差が顕著に縮小し、2016年も国際原油価格の低迷が続くとの見方を示していることである。同レポートは、2016年の国際原油価格も2015年の大幅変動傾向が受け継がれ、低水準で推移する国際石油市場の価格変動はさらに頻繁になって、市場リスクがますます拡大し、ブレントとWTIの平均原油価格は40〜50ドル/バレルになると予想している。

 (中国能源網 1月7日)