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【石炭】

石炭過剰生産能力解消に当たって重視すべき3つの問題 (16/01/15)
2016/1/20
中国【石炭】

 石炭の生産能力過剰問題は、経済発展が新常態に入って以降、需給構造のアンバランスと要素の配置の捩じれに起因するものであり、脱生産能力は今や供給サイドの構造的改革にとっても必然の要請になっている。しかしながら、過剰生産能力の解消は単純な市場問題ではないことを理解しなければならない。石炭産業は長年にわたり行政の過度の干渉、国有企業の主導的地位、調整の仕組みの失効など奇形的な市場環境に置かれ、市場によるフィードバック調節機能や資源最適化配置の本質的意義は一定程度失われている。その上、脱生産能力のプロセスは人員の再雇用、債務処理、社会の安定など一連の問題にも関わる。そのため、市場の強制力のメカニズムを十分発揮させることを前提に政府の調整作用が求められる。「新規増加を厳重に規制し、老朽化生産能力を淘汰し、既存量を最適化する」という構想に従って、脱生産能力を改革深化、企業再編や最適化・高度化と互いに相乗させることになる。

 生産能力形成の複雑性と脱生産能力が関わる要素の複雑性のため、脱生産能力は困難なプロセスになる。そのため、次の3つの問題を重視しなければならない。

 (1) 実効性の確保に取り組み、形式に終わることばないようにしなければならない。地方政府は税収、雇用、GDPといった問題から脱生産能力について「他の省が多く、自分の省は少なく」なることを願っており、そのため、脱生産能力は「雷の音のみが大きく雨は少ない」という結果に陥りやすい。いかにして体制と仕組みの面から設計を進め、地方保護主義を打破して長期赤字の「キョンシー型」炭鉱を断固整理するかが脱生産能力の重要な鍵になる。

 (2) 臨機応変のミクロ政策を採る必要がある。一刀両断によって優れた企業を「間違って殺す」ことを避けなければならない。過剰生産能力が形成された原因は複雑であり、類型の異なる生産能力に応じた解消方式を検討して、類別指導を適正に進め、科学的に解消を進めなければならない。老朽化生産能力を除去すると同時に先進的生産力を損なったのでは供給側構造改革の素志に悖ることになる。さらに、炭鉱の退出には大量の職員の再雇用問題も伴うことを考慮に入れなければならない。脱生産能力は一山過ぎて終わるものではない。後続のケアが極めて重要であり、処理を誤れば、直ちに企業内部と社会の不安定がもたらされる。

 (3) 政策誘導の下で市場化手段を通した過剰生産能力解消の道筋を重視しなければならない。石炭の生産能力過剰は深刻であり、単純に政府の財政・租税上の支援や金融支援に依存するのでは巨大な過剰生産能力を根本的に解消することは難しい。そのため、資源配置に対する市場の決定的な作用を発揮させ、関連政策やM&Aの金融ツールと合わせて、企業が出来る限り合併再編を進めるよう誘導、奨励して、破産と清算を少なくし、職員の再雇用対策を適切に進めることが必要である。また、脱生産能力のプロセスを契機に、石炭産業の集中度を高め、「過当競争」から「寡頭競争」への転換を徐々に実現すべきである。

 (中国煤炭網 1月15日)