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【石炭】

石炭採掘業の「脱生産能力」の決意は固い (16/01/21)
2016/1/27
中国【石炭】

 上海申銀万国証券研究所は、石炭企業の苦境を緩和する措置について、石炭産業から意見を徴集し、レポートをまとめた。意見の主な内容は新規炭鉱建設事業の許認可停止。違法な生産を行っている炭鉱のライセンス更新手続き、3年以内の生産能力解消、石炭企業労働者の作業日数の削減、公告能力を超過する生産に対する厳重な取り締まり、石炭と電力の一体化、石炭企業の社会福祉負担の軽減、国有資産の証券化の奨励などである。

 今回徴集した意見は次のような措置を明確に打ち出しており、石炭産業の「脱生産能力」の力の入れようは当初の予想を超えている。

 ・2016年から2年間は新規炭鉱建設事業や生産能力を高める技術改修事業の許認可を停止する。

 ・炭鉱の生産能力の追加査定の許認可を停止する。

 ・着工済みの違法建設の炭鉱はライセンス更新に際して、130〜150%の比率に従って過剰生産能力を淘汰する。

 ・3年かけて国有炭鉱300ヵ所を市場から退出させ、3億トンの生産能力を淘汰する。

 ・小炭鉱4,000ヵ所を閉鎖し、老朽化生産能力4億トンを淘汰する。

 ・100万人の労働者を分散雇用する。

 ・生産能力の撤去に当たっては1トンにつき150元(中央政府100元・地方政府50元)の報奨金を交付する。

 「脱生産能力」の規模は上海申銀万国証券研究所の当初の予想である2年間4.5億トンを超えている。

 作業日数の削減が生産量に及ぼす影響は限られ、炭鉱の一部人件費引き下げにつながる。今回徴集した意見は、2016年から2年間は炭鉱の年間作業日数を330日から267日に下げ、炭鉱労働者の作業日数を約20%削減することを明確に打ち出している。

 石炭と電力の一体化によって、一般炭企業の収益の変動を小さくすることが出来る。2016年末には中央国有発電企業大手5社及び一定規模以上の国有発電企業が経営支配や資本参加する炭鉱の生産能力は当該発電企業の2015年の実際の発電用石炭消費量の20%以上を占めることになり、2017年にはその比率は30%、2018年には40%に達する。こうした石炭と電力の一体化によって石炭企業と電力企業の間の利益が確保され、石炭価格の大幅な変動を抑え、石炭と電力価格の連動の仕組みによる悪性競争を回避することが出来る。

 公告生産能力を超過する生産活動は厳しく規制され、制限される能力超過生産は3億トン以上に上る見込みである。今回徴集した意見は、公告能力超過の生産に対して一律に生産停止を命令することを明確に打ち出している。能力超過生産活動が連続で摘発された場合は、生産停止期間を6ヵ月以上とする。また、生産能力の追加査定を認められた後でも環境保護規定に適合しない場合は、新規生産能力による生産を行うことを禁止する。分析によると、公告能力超過生産の具体的な措置が整い、懲罰が厳しくなると、当該政策の厳正な執行によって、能力超過生産を行っている3億トンの生産能力が有効に規制できるようになる。

 (新華網 1月21日)