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【電力】

火力発電の設備過剰が突出 (16/02/02)
2016/2/8
中国【電力】

 需要低下

 マクロ経済の減速や工業生産の伸び率低下、特に一部の重工業の顕著な生産低下の影響により、2015年の全国の電力需要の伸び率は著しく下がった。2015年の電力消費量は5兆5,500億kWh、前年比0.5%の増加に止まり、伸び率は前の年を3.3ポイント下回った。第11次5ヵ年規画期の電力消費量の年平均伸び率は11.1%であったが、第12次5ヵ年規画の最初の4年間の平均伸び率は7.3%になり、2015年の伸び率は1974年以来の最低になった。

 需要を上回る設備容量の伸び率

 2015年の全国の新規発電能力は前の年に比べ大幅に増加し、伸び率は10.4%になった。うち火力発電の新規生産能力は前年比7.8%増になり、電力需要の伸び率をはるかに上回る。

 火力発電設備の過剰

 電力需要の伸び率が段階的に下がり、設備容量の伸び率が電力需要の伸びを大きく上回る中で、設備利用率の低下傾向を変えることは当面難しい。2016年の火力発電設備の利用時間数は前年比7.5%下がって4,007時間になると予想される。2017年も発電時間数が下がるが、設備の伸び率は若干上昇する。火力発電設備の過剰は2014年に現れ始めたが、2015年には需要低下に伴って設備過剰傾向がさらに突出した。

 電力事業許認可権の地方移管で新規生産能力が高いレベルを維持

 2015年に火力発電の「大躍進」が発生した。2015年第1〜3四半期には155件の石炭火力発電所建設申請が受理または認可された。これは2012〜2014年に環境アセスメントにパスした石炭火力発電事業の8割近くに相当する。2016年の新規発電設備容量は1億kWに達し、うち水力発電は1,000万kW前後、火力発電が5,000万kW前後になると予想される。

 高い収益能力と乏しい生産能力淘汰の意欲

 電力需要は軟調であるが、火力発電のコスト構造の中で最も重要な燃料コストが石炭価格の下落に伴って大幅に下がり、2015年第2四半期には火力発電事業の景況は頂点に達した。2016年1月1日から売電価格が1kWhにつき0.03元引き下げられたため、2016年の火力発電の収益水準は2015年に比べると著しく下がるものの、依然として一定の水準は維持される見通しである。

 火力発電設備への投資は規模が大きく、リターンも大きい。電力企業の投資熱は高く、また、現地のGDP成長に対する貢献度も高い。そのため、各地方は「上大圧小」(大型火力発電所の新規建設と小型火力発電所の淘汰をリンクさせること)を除いては。各地方は火力発電生産能力の淘汰に対するインセンティブが乏しく、淘汰には後ろ向きである。

 (中国能源網 2月2日)