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中国
【省エネ・環境】

全国的炭素排出権取引市場確立で中国の取引量が30億トン以上に拡大も (16/02/02)
2016/2/8
中国【省エネ・環境】

 発展改革委員会は先日《適正な全国炭素排出権取引市場始動の重点工作に関する通達》を公布し、2017年に全国炭素排出権取引を開始して、炭素排出権取引制度を実施するよう確保するとした。

 今回の通達は、全国炭素排出権取引市場の第1段階として、石油化学、化学工業、建材、鉄鋼、非鉄金属、製紙、電力、航空など重点排出産業をカバーするとしている。

 中投顧問の環境保護産業研究員である侯宇軒氏は、「全国的な炭素排出権取引市場は需給関係に基づいて炭素排出権価格を決定し、資源配置過程における市場の決定的な作用を十分発揮させるものであり、高効率の排出削減市場の確立や、パリ気候会議で中国が打ち出した排出削減目標の達成にとって有利に働く。また、金融機関が炭素取引に参加することで、巨大なカーボンファイナンスマーケットが形成される」と述べた。

 業界関係者によると、グローバルな見地や長期的発展の見地からは、炭素排出の削減はカーボンファイナンスマーケットにおける発言権獲得という戦略問題にもなる。

 統計によると、2014年の世界の炭素取引規模は447億ユーロに達し、EUの占める比率は92%に上るが、EUの炭素排出量は世界の10%前後に止まる。国家発展改革委員会気候司の試算によると、中国に全国炭素排出権取引市場が確立すると、取引量は30〜40億トンに拡大する可能性がある。

 侯宇軒氏によると、今後の市場の活力は主に炭素排出を基準とする金融の革新にかかっている。全国的炭素排出スポット市場の規模は12〜80億元になり、炭素取引デリバティブ市場の規模は1,000億元に達する見込みである。いったん全国的市場が確立されると、CCERs(Chinese Certified Emission Reduction)の担保設定、炭素先物契約、炭素基金、CCERs予約購入権など金融ルーツが繁栄を迎え、市場にもっと大きな活力をもたらす。

 炭素排出は中国の環境にますます大きい影響を与えるようになっており、政府は炭素排出権取引制度を見直している。今回の通達から、中国が炭素市場の発展を高度に重視していることが見て取れる。全国的な炭素排出権取引市場の成立に伴い、省エネ・環境保護設備の改修、環境保護サービス、炭素排出関連分野や、CCSサービス、カーボンシンクなどの関連産業に巨大なマーケットがもたらされ、今後の低炭素経済戦略も確実なものになる。

 発展改革委員会の関係幹部によると、発展改革委員会は2016年には国務院の炭素排出権取引管理条例を推進し、各種付帯細則や標準の制定に取り組む。また、引き続き重点産業と企業の温室効果ガスのインベントリや企業の温室効果ガス排出報告制度の確立を進め、取引対象企業の範囲や排出枠を合理的に確定する。

 「炭素排出権取引は真新しいものであり、中国ではまだスタートしたばかりだ。そのため、統一的で明確で実行が容易な政策環境を確立することが極めて重要になる。企業が前向きになるよう適切に誘導し、一部の大手国有企業が参加するようインセンティブを与える。炭素排出権取引システムに設計の当たっては国情に適合するとともに、一定の臨機応変さも必要であり、炭素排出権取引の協調的な割当は市場原理に適ったものでなければならない。また、透明で公平な市場を確立することが必要であり、政府は市場秩序を適切に維持しつつ、干渉を減らさなければならない」と侯宇軒氏は指摘する。

 (炭排放交易 2月2日)