鉄鋼産業の「脱苦境」計画に続き、石炭産業の生産能力過剰に対する政策が春節休暇直前に公布された。2月5日、国務院は《石炭産業の過剰生産能力解消と脱苦境実現並びに発展に関する意見》を通達した。この意見書は向こう数年間において中国が石炭産業の脱苦境とグレードアップを推進する上での行動指針になる。 同意見書は2016年以降、3〜5年かけて、石炭生産能力を約5億トン退場させるとともに、再編によって約5億トン減量することを打ち出しており、生産能力の圧縮幅は比較的大きいものになる。 第12次5ヵ年規画期に全国で累計7,250ヵ所の炭鉱、5.6億トンの老朽化生産能力が淘汰されたが、石炭産業の生産能力過剰は依然際立っている。今回の意見書は石炭産業の苦境の病巣にメスを入れるものになる。 また、意見書は過剰生産能力の解消を構造調整や転換、グレードアップと結び付け、石炭産業の黒字転換、脱苦境、グレードアップ並びに健全な発展を実現するとしており、具体的には石炭と電力の一体化や石炭の水洗加工と転化の奨励、製品の付加価値向上などが含まれる。 2015年末時点の全国の炭鉱数は1.08万ヵ所、うち年産30万トン以下の小型炭鉱は7,000ヵ所余りに上るが、その生産量が占める比率は10%前後に過ぎず、炭鉱は数多くして集中度が低いのが現状であり、石炭産業の脱生産能力の難題でもある。 今回の意見書は中長期的見地から、新規生産能力の規制や老朽化生産能力の淘汰など様々な面で脱生産能力の「ロードマップ」を明確に打ち出している。 まず、新規生産能力の規制の面では、2016年から3年間、新規炭鉱建設事業、生産能力新規増加につながる技術改修事業並びに生産能力追加査定事業の許認可を原則として停止する。 老朽化生産能力の淘汰については、13種類の老朽化小炭鉱等の閉鎖と退出を法に基づいて速やかに進める。特に生産能力30万トン未満で重大事故及び安全生産責任事故が発生した炭鉱については1〜3年以内に淘汰する。 過剰生産能力の退出については、長期赤字で債務超過の炭鉱、長期にわたり生産・建設を停止している炭鉱、資源が枯渇し資源賦存条件に劣る炭鉱については、政策支援など総合的措置を供与することで、整然と退出するよう誘導する。 また、意見書は大手石炭企業による中小企業の合併再編を奨励し、一群の大手石炭企業集団を育成するとしている。3年間かけて、石炭企業1社当たりの年産量が全て300万トン以上に達するようにする。 国家発展改革委員会の連維良副主任によると、多数の小炭鉱は生産力のレベルが低く、資源の利用が十分にされていない。同時に市場主体が多すぎることで、秩序なき市場競争が激化している。そのため、大手石炭企業が中小炭鉱に対して合併再編を進めるよう奨励して、産業構造をミドル・ハイエンドの方向へと推し進めなければならない。 意見書は短期的な見地からは、「4項目の厳重な管理」の道筋をより一層明確にしている。すなわち、安全性に欠ける生産に対する厳重な管理、公告査定能力を超過する生産に対する厳重な規制、違法建設に対する厳重な管理、低品質石炭の使用に対する厳重な規制である。中国は昨年以来、石炭の合理的な開発、効率的な利用、市場の需給バランスを推進しているが、「4項目の厳重な管理」はこうした措置を推進する上でも重要な手立てになる。 産業調整、人員の変動、職員の雇用や社会の安定に対して過剰生産能力の解消がどのように影響するかは、社会各界から最も大きい関心を寄せられている。 その点については、まず政府と企業の位置づけを明確にしなければならない。意見書は、市場原理の作用を十分に発揮しつつ、政府の誘導作用もより良く発揮させ、法治化と市場化の手法を用いて過剰生産能力の解消を進めるとしている。企業は過剰生産能力解消の主体としての責任を負い、地方政府が実施計画案の策定と実施の責務を負い、中央政府が奨励・補助金を交付し、政策支援を供与する。 国家発展改革委員会の徐紹史副主によると、中央政府は一定の政策を手当てして過剰生産能力の解消を支援することになり、地方政府も職員の配置転換や企業債務、銀行融資の問題を適正に処理することになる。 資金と人員の配置転換については、今回の意見書は、工業企業構造調整専門奨励補助基金を開設して、地方の石炭過剰生産能力解消に伴う人員の配置転換に奨励補助金を交付することを打ち出している。 意見書は「職員の配置転換を過剰生産能力解消工作の重点中の重点にしなければならない」としており、配置転換計画に不備があり、資金保障が未定で、配置転換計画案が職員代表大会や職員の全体討議にパスしていない場合は、過剰生産能力解消を実施してはならないとしている。 意見書は職員の配置転換について次の4つの方法を明確にしている。 第1に、企業内部のポテンシャルを掘り起し、人員削減を行わない企業や削減規模が小さい企業については、失業保険基金から雇用安定補助金を交付する。 第2に、条件に当てはまる職員に対して「内部退養」(定年から5年以内の職員の早期退職と企業からの生活費支給)を適用する。 第3に、企業が職員との雇用関係を解除する必要がある場合、法に基づいて経済補償金を支払うとともに、社会保険の移転継続手続きを適正に行う。 第4に、技能訓練や職業紹介の形で失業人員の再就職や起業を促進する。 また、意見書は、現在経営難に陥っているがものの改革の徹底や内部管理の強化によって市場競争力の回復が見込まれる基幹石炭企業に対して、金融機関が金融サービスを強化し、合理的な融資を継続して、「一刀両断」にはしないことを提唱している。 (中国煤炭資源網 2月15日)
鉄鋼産業の「脱苦境」計画に続き、石炭産業の生産能力過剰に対する政策が春節休暇直前に公布された。2月5日、国務院は《石炭産業の過剰生産能力解消と脱苦境実現並びに発展に関する意見》を通達した。この意見書は向こう数年間において中国が石炭産業の脱苦境とグレードアップを推進する上での行動指針になる。
同意見書は2016年以降、3〜5年かけて、石炭生産能力を約5億トン退場させるとともに、再編によって約5億トン減量することを打ち出しており、生産能力の圧縮幅は比較的大きいものになる。
第12次5ヵ年規画期に全国で累計7,250ヵ所の炭鉱、5.6億トンの老朽化生産能力が淘汰されたが、石炭産業の生産能力過剰は依然際立っている。今回の意見書は石炭産業の苦境の病巣にメスを入れるものになる。
また、意見書は過剰生産能力の解消を構造調整や転換、グレードアップと結び付け、石炭産業の黒字転換、脱苦境、グレードアップ並びに健全な発展を実現するとしており、具体的には石炭と電力の一体化や石炭の水洗加工と転化の奨励、製品の付加価値向上などが含まれる。
2015年末時点の全国の炭鉱数は1.08万ヵ所、うち年産30万トン以下の小型炭鉱は7,000ヵ所余りに上るが、その生産量が占める比率は10%前後に過ぎず、炭鉱は数多くして集中度が低いのが現状であり、石炭産業の脱生産能力の難題でもある。
今回の意見書は中長期的見地から、新規生産能力の規制や老朽化生産能力の淘汰など様々な面で脱生産能力の「ロードマップ」を明確に打ち出している。
まず、新規生産能力の規制の面では、2016年から3年間、新規炭鉱建設事業、生産能力新規増加につながる技術改修事業並びに生産能力追加査定事業の許認可を原則として停止する。
老朽化生産能力の淘汰については、13種類の老朽化小炭鉱等の閉鎖と退出を法に基づいて速やかに進める。特に生産能力30万トン未満で重大事故及び安全生産責任事故が発生した炭鉱については1〜3年以内に淘汰する。
過剰生産能力の退出については、長期赤字で債務超過の炭鉱、長期にわたり生産・建設を停止している炭鉱、資源が枯渇し資源賦存条件に劣る炭鉱については、政策支援など総合的措置を供与することで、整然と退出するよう誘導する。
また、意見書は大手石炭企業による中小企業の合併再編を奨励し、一群の大手石炭企業集団を育成するとしている。3年間かけて、石炭企業1社当たりの年産量が全て300万トン以上に達するようにする。
国家発展改革委員会の連維良副主任によると、多数の小炭鉱は生産力のレベルが低く、資源の利用が十分にされていない。同時に市場主体が多すぎることで、秩序なき市場競争が激化している。そのため、大手石炭企業が中小炭鉱に対して合併再編を進めるよう奨励して、産業構造をミドル・ハイエンドの方向へと推し進めなければならない。
意見書は短期的な見地からは、「4項目の厳重な管理」の道筋をより一層明確にしている。すなわち、安全性に欠ける生産に対する厳重な管理、公告査定能力を超過する生産に対する厳重な規制、違法建設に対する厳重な管理、低品質石炭の使用に対する厳重な規制である。中国は昨年以来、石炭の合理的な開発、効率的な利用、市場の需給バランスを推進しているが、「4項目の厳重な管理」はこうした措置を推進する上でも重要な手立てになる。
産業調整、人員の変動、職員の雇用や社会の安定に対して過剰生産能力の解消がどのように影響するかは、社会各界から最も大きい関心を寄せられている。
その点については、まず政府と企業の位置づけを明確にしなければならない。意見書は、市場原理の作用を十分に発揮しつつ、政府の誘導作用もより良く発揮させ、法治化と市場化の手法を用いて過剰生産能力の解消を進めるとしている。企業は過剰生産能力解消の主体としての責任を負い、地方政府が実施計画案の策定と実施の責務を負い、中央政府が奨励・補助金を交付し、政策支援を供与する。
国家発展改革委員会の徐紹史副主によると、中央政府は一定の政策を手当てして過剰生産能力の解消を支援することになり、地方政府も職員の配置転換や企業債務、銀行融資の問題を適正に処理することになる。
資金と人員の配置転換については、今回の意見書は、工業企業構造調整専門奨励補助基金を開設して、地方の石炭過剰生産能力解消に伴う人員の配置転換に奨励補助金を交付することを打ち出している。
意見書は「職員の配置転換を過剰生産能力解消工作の重点中の重点にしなければならない」としており、配置転換計画に不備があり、資金保障が未定で、配置転換計画案が職員代表大会や職員の全体討議にパスしていない場合は、過剰生産能力解消を実施してはならないとしている。
意見書は職員の配置転換について次の4つの方法を明確にしている。
第1に、企業内部のポテンシャルを掘り起し、人員削減を行わない企業や削減規模が小さい企業については、失業保険基金から雇用安定補助金を交付する。
第2に、条件に当てはまる職員に対して「内部退養」(定年から5年以内の職員の早期退職と企業からの生活費支給)を適用する。
第3に、企業が職員との雇用関係を解除する必要がある場合、法に基づいて経済補償金を支払うとともに、社会保険の移転継続手続きを適正に行う。
第4に、技能訓練や職業紹介の形で失業人員の再就職や起業を促進する。
また、意見書は、現在経営難に陥っているがものの改革の徹底や内部管理の強化によって市場競争力の回復が見込まれる基幹石炭企業に対して、金融機関が金融サービスを強化し、合理的な融資を継続して、「一刀両断」にはしないことを提唱している。
(中国煤炭資源網 2月15日)