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ベトナム政府が石炭火力発電所の新規建設停止を発表 (16/02/16)
2016/2/16
アジア【電力】

 Eco-Businessの報道によると、ベトナムのグエン・タン・ズン首相は、将来の発電計画において石炭火力発電への依存を減らし、再生可能エネルギーがより大きい役割を発揮するよう推進すると宣言した。

 グエン・タン・ズン首相は、「ベトナム政府は環境問題に大きな関心を寄せており、特に石炭火力発電所に対して厳重な規制を行う。石炭火力発電開発計画はいずれも審査を行い、新規石炭火力発電所の開発は停止し、石炭から天然ガスに取って代わらせる」と述べ、「再生可能エネルギーへの投資を加速する」とした。

 ベトナムは東南アジア地域最大になる44GWの石炭火力発電計画を打ち出し、うち17GWは目下建設中である。今回の政策措置によって、計画中の石炭火力発電事業は天然ガス発電に転換することになる。また、ベトナム政府は、風力発電やソーラーの投資条件を整備するため措置を講じることになる。

 グリーン・ピースの東南アジア石炭活動家であるArif Fiyanto氏は、今回の措置について、「石炭に深刻までに依存する東南アジア地域にとって重要な一歩になる。ベトナムの決定はパリ協定後の実際的な行動であり、東南アジア諸国の再生可能エネルギーへの転換をリードするだろう」と述べた。

 米国エネルギー情報局(EIA)の統計によると、ベトナムの発電の中で石炭は36%のシェアを占めたが、2030年には56%に上昇する。

 なお、ベトナム政府の政策転換は石炭輸出市場にもさらなる衝撃を与えるだろう。

 ベトナムは近年、石炭火力発電所開発を支えるため、石炭輸出国から輸入国に転じている。プラッツ社の情報によると、ベトナムの国営石炭企業Vinacominは石炭輸入量を2015年の50万トンから2016年には150〜200万トンに増やすよう計画している。さらに、2020年にはVinacominの石炭輸入量は1,000万トンに増え、Vinacominはベトナムの石炭輸入の半分を占める見通しである。

 中国の石炭輸入が激減し、インドは意欲的な再生可能エネルギー開発目標を打ち出すとともに国内の石炭生産を増やして石炭の輸入依存度を引き下げようとしている。そのため、世界の石炭海運市場は大きく変化することになる。ベトナムの意欲的な石炭火力発電建設計画はこれまで日増しに鈍化する石炭海運業界にとって一縷の望みとされていた。

 (国際能源参考 2月16日)