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EUが中仏共同の英国原子力発電所事業を承認も依然大きな障害 (16/03/15)
2016/3/15
中国【原子力】

 欧州委員会は英国原子力発電所の中仏共同建設事業について、事業に参加する中仏の企業が占める市場シェアは限られ、英国の電力市場の競争を妨げることはないとして、同事業を承認した。中国外交部の報道官はEUの決定に対して歓迎を表明した。

 中広核の賀禹董事長(会長)によると、双方の協議は進んでおり、ヒンクリーポイントC原子力発電所事業の投資条件が間もなく最終的に決定される。

 業界関係者によると、EUの承認は同事業がさらにスピードアップすることを意味している。

 但し、同事業は小さからぬ障害にも直面している。フランス電力(EDF)は事業投資の延期を決定し、その後、Thomas Piquemal 首席財務官(CFO)が辞任した。

 ヒンクリーポイントC事業に詳しい原子力発電消息筋によると、同事業はEUの承認を得たものの、障害と不確実性が依然付きまとう。中仏双方の最終的な投資の決定は4つの条件によって左右される。すなわち、投資協定の最終版、融資計画に対するEDFの最終決定、EDFと中広核の取締役会の承認及び中国と欧州のM&A関連政府部局及びその他政府部門の承認である。

 「EDF取締役会内部にはなお異論がある。ヒンクリーポイントC事業は投資額が巨額であり、同社の財務状況をリスクにさらすという見方だ」と前出の消息筋は言う。

 電力価格の下落によって、EDFの債務がますます増加し、業績圧力も増大しているとのことである。EDFの2015年の純利益は11.9億ユーロ、前年比67.84%の減益になった。また、EDFはフランス国内の老朽原子力発電所の更新の財務圧力にも直面しており、その所要資金は550億ユーロに上る。

 「フランス側の資金問題以外に知的財産権の問題もある。建設費が巨額に上る事業はこうした問題を避けて通ることが出来ない。当面の状況から見て、早期着工は不可能だ」と原子力発電の中央企業の関係者は指摘する。

 もっとも、前出の消息筋は、フランスのオランド大統領と英国のキャメロン首相が事業に対する支持を表明し、EUも承認したからには、今後事業の進展がスピードアップし、フランス政府が将来資金を注入する可能性もあると述べた。

 (毎日経済新聞 3月15日)