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【石炭】

石炭液化油への石油製品消費税減免適用は望み薄 (16/03/18)
2016/3/18
中国【石炭】

 全人代・全国政治協商会議において寧夏代表団は神華寧煤の石炭間接液化事業に対する石油製品消費税の減免案を提出し、同事業は石油製品消費税だけでもコストの29.64%を占め、消費税が事業の順調な完成にも影響するとして、適正に減免することを提案した。

 しかしながら、こうした陳情は3年前から行われているが、国は未だ関連政策を打ち出していない。ICISの分析によると、石炭液化など石炭化学事業の経済性は低油価によって失われ、加えて中国の製油産業も生産能力過剰という厳しい現実に直面している。政府が石炭液化油生産販売企業に対して税の減免などの政策を打ち出す可能性は極めて低い。一方、石炭液化実証事業の水資源需要量や炭素排出量が大きく、汚染処理が難しいなどの問題も2014年から浮上し始めた。浙江省の浙能石油新能源有限公司の幹部は「石炭液化事業は石炭のクリーンな利用を核心とするが、実際にはそうではない。過去数年にわたり石炭液化事業の高収益を当てにして投資と開発ブームが起こったが、今では環境保護問題をめぐって国の態度も従来の強力な支援から慎重な発展へと転換している。そのことは石炭液化油生産企業に消費税の減免が適用されるかどうかについても影響する公算だ」と述べた。

 もっとも、ICISの分析によると、石炭液化事業の発展は今後慎重に進められることになるが、そのことは同事業を発展させないという意味ではない。一部の大型実証事業については、国が優遇税制や補助金を適用する可能性もある。国が通達したエネルギー発展戦略行動計画においても代替エネルギーの発展を2014〜2020年の主要任務とすることが明記されており、石炭液化やSNG(石炭ガス化)技術の開発と産業化の実証事業を推進し、2020年にまでに適正規模の石炭系燃料の代替能力を形成することが打ち出されている。また、石炭液化事業は中国の新型石炭化学工業や新型エネルギー産業の発展、国家エネルギー戦略構造の調整、CO2排出強度の引き下げなどの面でも重要な意義を備えている。

 ICISによると、2015年末時点で中国の石炭系石油製品事業は33件に上り、その代表的なものとして、神華煤製化工有限公司の100万トン級石炭直接液化事業や内蒙古伊泰煤製油有限公司の石炭間接液化事業などが挙げられる。33件の事業のうちメタノールガソリン事業は10件に上り、その代表的な企業として、晋城煤業集団天溪煤製油分公司と雲南先鋒化工有限公司がある。しかし、石炭液化事業は全体的に経営状況が芳しくなく、代表的事業の多くは赤字のため中断されている。
 
 (国家煤化工網 3月18日)