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【エネルギー全般・政治経済】

【論説】発電用石炭の売り惜しみは国難に乗じた悪徳商法かそれとも苦肉の策か (08/02/07)
2008/2/8
中国【エネルギー全般・政治経済】

 「発電用石炭の売り惜しみは国難に乗じた悪徳商法かそれとも苦肉の策か」 王石川

 大雪により交通がマヒし、石炭と電力の供給が大幅に不足して、石炭価格も上昇している。事情通は、発電用石炭では利益が上がらないため、石炭企業が発電用石炭を売り惜しみ、また、多くの石炭企業大手が石炭化学工業基地を建設していることが発電用石炭の減少を招いた原因であると指摘する。

 このような説は大きな波紋を広げ、インターネット上では多くのネチズンが怒りを露にしている。石炭供給を増やさない限り発電用石炭不足を解決できない状況では、売り惜しみや便乗値上げを許容できるはずもなく、国難に乗じて金儲けをたくらんでいるとして石炭企業を非難するネチズンの心理は十分理解できる。全国民一丸となって災害に打ち勝ち、被害を最小限に抑えようと努力している中にあって、石炭企業が利益の低いことに嫌気して、石炭を売ろうとしないとはどうしたことか…。発電用石炭はますます払底するではないか…。雪上に霜を加えるとは正にこのことだ…。

 これより先、石炭価格の高騰が大きな論争の種になり、石炭と電力の価格連動の呼び声が改めて高まりを見せていた。電力大手や中国電力企業聯合会は次々と国家発展改革委員会に対して連動の実施、つまり電力価格の引き上げを提唱した。しかし、彼等の要求には検討の余地がある。確かにこの数年、発電企業のコストは増大したが、しかし、発電企業大手の収益はいずれも増加しており、しかも小さからぬ伸びを示している。石炭企業が石炭の値上げを続けているため発電企業のコストが重くなっているからといって電力価格を引き上げることは、電力企業にとっては圧力を転嫁する最も手っ取り早い方法であるが、最終的にツケを支払うのは結局消費者になる。

 石炭企業が発電用石炭を売り惜しむ背景を検討する必要がある。巨額の利益がからむため、石炭企業、発電所、電力網の間の利益をめぐる駆け引きは止どまることを知らない。石炭と発電の紛糾の根本原因は需給関係ではなく、体制問題にあると業界関係者は指摘する。発電用石炭が市場化されている一方で、電力価格が硬直しているという制度的矛盾以外にも、統一的な調整の仕組みや管理部門が欠如していることも重要な原因に当たる。したがって、単純に石炭企業の利益を図るだけでは根本的な解決にならない。体制の痼疾を取り除かない限り、真の解決は不可能である。石炭企業に対して低価格で発電用石炭を売るよう強要するのも不公平である。各当事者の利益のバランスを取るとともに、国民の福祉に立脚して、大局的見地から従来の利益分配構造を改めることが必要である。

 発展改革委員会は先頃、石炭価格に過大な高騰や急すぎる高騰など大幅な変動が生じた場合は、価格部門が調整に乗り出すこともあり得ると表明した。これはポジティブなシグナルであり、中央政府が石炭価格の高騰を予見していることが覗える。筆者は、もし石炭企業が売り惜しみを続けるなら、関連部門が直ちに介入すべきであると考える。しかし、同時に中央政府は単純に石炭企業の値上げを止めさせるべきでない。これを契機に、エネルギー産業の改革を推進すべきである。

 (新華網 2月7日)