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【石炭】

中国の現代的石炭化学事業 環境保護部が2件の事業を承認も依然慎重姿勢 経済性の問題にも直面 (16/04/12)
2016/4/12
中国【石炭】

 環境保護部は3月14日、山西潞安鉱業集団の高硫黄石炭クリーン利用液化・電力・熱力一体化実証事業(潞安石炭液化事業)と中国海洋石油総公司の山西省大同低変質瀝青炭クリーン利用実証事業(大同SNG事業)を3月4日に承認したことを公表した。

 最新の《政府許認可投資事業リスト》によると、潞安石炭液化事業と大同SNG事業は、後は国家発展改革委員会の許認可を獲得次第、着工できる。

 業界の一般的な見方によると、環境影響評価は現代的石炭化学事業にとって最大の難関であり、環境影響評価にパスしさえすれば、残りの許認可ははるかに容易に得られる。

 現代的石炭化学工業とは主に石炭液化、CTO、石炭由来グリコール、石炭由来芳香族炭化水素等を指し、世界的にも工業化の先例は極めて少なく、技術は完全に成熟しておらず、投資規模は巨額に上るなどの特徴がある。

 2015年以降、環境影響評価にパスすることは極めて難しいということは現代的石炭化学業界の常識になっている。

 2015年2月、蘇新能源和豊有限公司の40億Nm3/年SNG(代替天然ガス)事業の環境影響評価が却下され、業界を震撼させた。6月には完成間近であった前出の潞安石炭液化事業とイリ新天煤化工公司の20億m3/年SNG事業の環境影響評価が却下され、現代的石炭化学工業に暗雲が立ち込めた。

 業界関係者の大方の見方によると、今回、現代的石炭化学事業の環境影響評価がようやくパスしたことは、環境保護部が「水門」を開いたことを意味するが、しかしながら、「放水」を意味するものではない。第1に、環境保護基準は以前に比べ引き上げられている。第2に、環境保護部は「実証」を名目に慎重な態度を取っている。

 もっとも、業界関係者の多くは環境保護問題に関しては楽観的であり、管理レベルの向上と投資の増加を増やすことは必要であるが、技術上の問題はないと考えている。しかし、何よりも頭が痛いのは低油価に起因する経済性の問題であり、現代的石炭化学事業は稼動即赤字になる可能性が極めて高い。

 (中国能源網 4月12日)