民主選挙によるミャンマーの政権交代以降、ミャンマーと中国の戦略的協力関係が急速に発展しつつある。3月末、広東振戎が主導する30億ドルの製油事業がミャンマー投資委員会から正式に承認された。同事業は生産能力500万トンに達し、これにより、石油製品のほとんどを輸入に依存するミャンマーが初めて自給自足を実現する見通しである。
ミャンマーの首都ネピドーで3月29日、ミャンマー投資委員会は広東振戎が中心になってミャンマーTanintharyi州Dawei市に建設する年間原油精製量500万トンの製油事業に対し投資許可証を発給した。
同日、広東振戎能源有限公司、Myanmer Economic Holdings(ミャンマー国防軍総司令部所属企業)、Myanmar Petroleum Chemical Enterprise(ミャンマーエネルギー省の企業)、Yangong Engineering Groupがこの500万トン製油事業の共同出資契約に調印した。ロイター電によると、広東振戎が同事業の株式の70%を取得する。
広東振戎は2010年にこの事業に着手し、2014年11月に中国国家発展改革委員会から承認を得た。同事業は中緬両国の承認から3年後に完成、稼動させる予定である。総投資額30億ドル、ミャンマーにおける最大の外資事業の一つになる。 同事業は500万トンの製油所だけでなく、石油タンク、埠頭、石油製品貿易、国際輸送や、ミャンマー国内の浮体式石油製品タンク、サービスステーション、LPGチェーンステーションなど一連の事業も協力対象になる。
中国国内に林立する1,000万トンクラスの石油化学事業に比べると、500万トンは大きいうちに入らないが。ミャンマーにとっては歴史的な転換になる。
ミャンマーは所要の石油と石油製品のほぼ全てを輸入に依存している。2009年時点でミャンマーには、製油所3ヵ所、天然ガス液化施設3ヵ所、アスファルト工場1ヵ所しかない。
ミャンマー商務省の統計によると、2015年4月〜12月の3四半期において、商務省が許可した石油輸入量は187万トン、うちガソリンが59万トン、3.58億ドル、軽油が128万トン、6.9億ドルであった。
つまり、500万トンの製油事業はミャンマー全国の石油製品需要の殆どを賄うことになる。さらに、同事業によってミャンマーは整った石油化学体系を初めて確立することになる。
同事業は巨大な経済収益をもたらすため、ミャンマーの民衆からも歓迎されている。2014年には製油所周辺の7ヵ村の村民の一部が製油所に反対してデモを行なったと報道されたが、この情報は間もなく否認され、その後すぐ、約1,370名の村民が署名運動を行なってミャンマー大統領やエネルギー相など政府高官に陳情書を送り、同事業の建設に支持を表明した。広東振戎駐緬代表事務所の幹部によると、ミャンマー民衆が署名運動を行なって中国の投資事業を支持したのは初めてことであった。
石油産業の基盤は遅れているものの、ミャンマーは東南アジアで石油ガス埋蔵量が最も豊かな国の一つである。
ミャンマーの石油ガス埋蔵量については信頼できるデータは乏しいが、ミャンマー政府のデータによると、石油埋蔵量は約32億バレル、天然ガス埋蔵量は2兆5,400億m3で世界第10位辺りになる。ミャンマーの陸上及び近海油ガス田には100ヵ所余りの鉱区があるが、その大半は未だ開発権が付与されていない。
ミャンマーは2013年以降、51の近海石油ガス鉱区の入札を執行し、シェル、ノルウェーStatoil、シェブロン、トタルなど国際石油メジャーが参加した。ミャンマーの《セブンデイズニュース》の今年1月の報道によると、すでに38ヵ所の石油ガス鉱区の国際入札が完了しており、生産中の鉱区は18ヵ所、探査中の鉱区は20ヵ所になる。
2015−16財政年度の最初の11ヵ月におけるミャンマーの天然ガス輸出収入は40億ドルに上り、大部分はタイへ輸出された。中緬石油ガスパイプラインの建設により、中国もミャンマーの天然ガス開発からもっと多くの利益を得る見込みである。
30億ドルの総投資額だけでなく、投資を行なう中国企業も注目を集めている。広東振戎能源は珠海振戎の子会社である。
珠海振戎は1994年創立の国有重点企業であり、国有資産監督管理委員会の直轄である。また、国営原油輸入貿易資格を備える4企業のうちの一つでもある。
1994年、中国の伝説的な石油取引商人の楊慶龍は国防科工委員会から国家特殊専門任務を委嘱されて珠海振戎を創立し、総経理(社長)に就任した。創立当初、楊慶龍はイランやイラクなど中東の豊かな石油資源によって軍需品貿易の巨額の欠損を埋める計画を打ち出した。
1995年、珠海振戎は石油輸入権を取得し、その年には輸入原油第一陣が中国に到着した。その後10年余りで珠海振戎の貿易は倍々ゲームで増え、中国輸出入企業500強のトップグループを占めた。珠海振戎のイラン原油輸入は1995年の当初の数十万トンから今や1,000万トンクラスに増加し、イラン原油の最大の輸入業者の一つになっている。
現在、珠海振戎は毎年1,200万トン、24万BDのイラン原油を輸入している。
2012年1月、米国国務省は中国、シンガポール、アラブ首長国連邦の企業3社を、イランのエネルギー分野との業務往来を理由に制裁を実施したが、その3社に珠海振戎も含まれていた。
今回のミャンマー製油事業への投資は珠海振戎にとって石油化学産業への初めての参入になる。
(観察者網 4月6日)
民主選挙によるミャンマーの政権交代以降、ミャンマーと中国の戦略的協力関係が急速に発展しつつある。3月末、広東振戎が主導する30億ドルの製油事業がミャンマー投資委員会から正式に承認された。同事業は生産能力500万トンに達し、これにより、石油製品のほとんどを輸入に依存するミャンマーが初めて自給自足を実現する見通しである。
ミャンマーの首都ネピドーで3月29日、ミャンマー投資委員会は広東振戎が中心になってミャンマーTanintharyi州Dawei市に建設する年間原油精製量500万トンの製油事業に対し投資許可証を発給した。
同日、広東振戎能源有限公司、Myanmer Economic Holdings(ミャンマー国防軍総司令部所属企業)、Myanmar Petroleum Chemical Enterprise(ミャンマーエネルギー省の企業)、Yangong Engineering Groupがこの500万トン製油事業の共同出資契約に調印した。ロイター電によると、広東振戎が同事業の株式の70%を取得する。
広東振戎は2010年にこの事業に着手し、2014年11月に中国国家発展改革委員会から承認を得た。同事業は中緬両国の承認から3年後に完成、稼動させる予定である。総投資額30億ドル、ミャンマーにおける最大の外資事業の一つになる。
同事業は500万トンの製油所だけでなく、石油タンク、埠頭、石油製品貿易、国際輸送や、ミャンマー国内の浮体式石油製品タンク、サービスステーション、LPGチェーンステーションなど一連の事業も協力対象になる。
中国国内に林立する1,000万トンクラスの石油化学事業に比べると、500万トンは大きいうちに入らないが。ミャンマーにとっては歴史的な転換になる。
ミャンマーは所要の石油と石油製品のほぼ全てを輸入に依存している。2009年時点でミャンマーには、製油所3ヵ所、天然ガス液化施設3ヵ所、アスファルト工場1ヵ所しかない。
ミャンマー商務省の統計によると、2015年4月〜12月の3四半期において、商務省が許可した石油輸入量は187万トン、うちガソリンが59万トン、3.58億ドル、軽油が128万トン、6.9億ドルであった。
つまり、500万トンの製油事業はミャンマー全国の石油製品需要の殆どを賄うことになる。さらに、同事業によってミャンマーは整った石油化学体系を初めて確立することになる。
同事業は巨大な経済収益をもたらすため、ミャンマーの民衆からも歓迎されている。2014年には製油所周辺の7ヵ村の村民の一部が製油所に反対してデモを行なったと報道されたが、この情報は間もなく否認され、その後すぐ、約1,370名の村民が署名運動を行なってミャンマー大統領やエネルギー相など政府高官に陳情書を送り、同事業の建設に支持を表明した。広東振戎駐緬代表事務所の幹部によると、ミャンマー民衆が署名運動を行なって中国の投資事業を支持したのは初めてことであった。
石油産業の基盤は遅れているものの、ミャンマーは東南アジアで石油ガス埋蔵量が最も豊かな国の一つである。
ミャンマーの石油ガス埋蔵量については信頼できるデータは乏しいが、ミャンマー政府のデータによると、石油埋蔵量は約32億バレル、天然ガス埋蔵量は2兆5,400億m3で世界第10位辺りになる。ミャンマーの陸上及び近海油ガス田には100ヵ所余りの鉱区があるが、その大半は未だ開発権が付与されていない。
ミャンマーは2013年以降、51の近海石油ガス鉱区の入札を執行し、シェル、ノルウェーStatoil、シェブロン、トタルなど国際石油メジャーが参加した。ミャンマーの《セブンデイズニュース》の今年1月の報道によると、すでに38ヵ所の石油ガス鉱区の国際入札が完了しており、生産中の鉱区は18ヵ所、探査中の鉱区は20ヵ所になる。
2015−16財政年度の最初の11ヵ月におけるミャンマーの天然ガス輸出収入は40億ドルに上り、大部分はタイへ輸出された。中緬石油ガスパイプラインの建設により、中国もミャンマーの天然ガス開発からもっと多くの利益を得る見込みである。
30億ドルの総投資額だけでなく、投資を行なう中国企業も注目を集めている。広東振戎能源は珠海振戎の子会社である。
珠海振戎は1994年創立の国有重点企業であり、国有資産監督管理委員会の直轄である。また、国営原油輸入貿易資格を備える4企業のうちの一つでもある。
1994年、中国の伝説的な石油取引商人の楊慶龍は国防科工委員会から国家特殊専門任務を委嘱されて珠海振戎を創立し、総経理(社長)に就任した。創立当初、楊慶龍はイランやイラクなど中東の豊かな石油資源によって軍需品貿易の巨額の欠損を埋める計画を打ち出した。
1995年、珠海振戎は石油輸入権を取得し、その年には輸入原油第一陣が中国に到着した。その後10年余りで珠海振戎の貿易は倍々ゲームで増え、中国輸出入企業500強のトップグループを占めた。珠海振戎のイラン原油輸入は1995年の当初の数十万トンから今や1,000万トンクラスに増加し、イラン原油の最大の輸入業者の一つになっている。
現在、珠海振戎は毎年1,200万トン、24万BDのイラン原油を輸入している。
2012年1月、米国国務省は中国、シンガポール、アラブ首長国連邦の企業3社を、イランのエネルギー分野との業務往来を理由に制裁を実施したが、その3社に珠海振戎も含まれていた。
今回のミャンマー製油事業への投資は珠海振戎にとって石油化学産業への初めての参入になる。
(観察者網 4月6日)