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【石油・天然ガス】

中国の天然ガス体制改革が迷走 CNPCパイプライン分離取り止めの可能性も浮上 (16/04/21)
2016/4/21
中国【石油・天然ガス】

 「天然ガスパイプラインの分離はなくなり、引き続き中国石油天然ガス集団(CNPC)内部で運営することになった。国家パイプライン網公司の設立計画も取りやめになった」と消息筋が4月20日、明らかにした。つまり、天然ガスパイプライン網の分離計画は棚上げになったということである。 

 ここ3年、石油ガスパイプライン網の分離が近く実施され、新たに国家パイプライン公司が設けられると一貫して報道されていたが、政策文書の通達はなかった。

 CNPCの関係者は石油ガスパイプライン網をCNPCから分離することは現実的ではないと指摘していた。第1に、CNPCは一部のパイプライン網を、香港に上場している崑崙能源に組み入れており、もしパイプライン網を分離すれば、海外投資家から異議が出る。第2に、新公司が新たな独占主体になる可能性もある。加えて、石油ガスパイプラインは大規模な整備が必要であるが、新公司がどのような資格で資金を調達するのか曖昧である。

 天然ガスパイプライン網の分離が取りやめになったかどうかについては未だ国家発展改革委員会等の政府部門から確認を取れていない。

 数年前、某研究機関は、上流・中流・下流一体化経営を行なっている石油ガス企業から石油ガスパイプライン網を分離し、複数の石油ガスパイプライン網公司を設けて、パイプライン網に対する政府監督管理制度を確立すべきと提言した。

 しかしながら、3年にわたる調査と論争の結果、国の関係省庁や機関は、国家パイプライン網の独立や1社又は複数のパイプライン網公司の設立を進めても、天然ガス価格との間に必然的な関係がないことが分かった。

 その上、パイプラインの建設は専用の土地等の資源を必要とし、「パイプライン沿線の土地資源は再生不可能であり、それを新公司に割り当てると。客観的には新公司の独占的地位が形成される。まして今の時代、土地収用コストは莫大なものになり、東部地区で既存のパイプラインに沿って新しいパイプラインを建設することはほとんど不可能だ」と長年パイプライン建設工事に携わる事業統括責任者は指摘する。

 さらに、新公司が巨額のパイプライン建設投資を引き受けることになれば、上場等の手段によって資金を調達することが必至であり、管理層が独占を強化することは避けられない。

 パイプライン網の分割論が広がったため、CNPCの新規天然ガスパイプライン建設は2013年以降低下した。2015年の年次報告によると、CNPCの中国国内における石油ガスパイプラインの総延長は76,795キロ、うち天然ガスパイプラインが48,602キロになる。CNPCの石油ガスパイプラインの総延長は2012年に比べて1万キロ増えただけに止まり、うち8,000キロ近くは天然ガスパイプラインであった。

 すなわち、CNPCの2013〜15年のパイプライン建設投資は2012年以前に比べて大幅に減少したことになる。「パイプラインが独立公司になれば、CNPCが投資に後ろ向きになるのは当然だ。投資は半分に減った」と消息筋は明かす。

 同消息筋によると、CNPC側は、「石油ガスパイプライン網を分離すべきではなく、天然ガスパイプラインの改革はそれ以外の方法によって解決可能である」と提言し、次のように具体的な方法を提示しているとのことである。

 まず、パイプライン網は上流と下流に対する公平な開放を実現し、下流のガス源獲得を確保して、パイプラインをインフラとして位置付ける。そして、法規によってルールを定め、パイプライン網の開放を確保する。パイプライン網の独立については、資産分離と単独公司の設立以外にも、事業の独立、財務の独立、独立法人といった方法によって実現することも出来る。さらに、政府所管部門の監督管理を強化することで、監督管理を受けないまま、一体化公司内部の各産業の間で利益が移転されることを防止する。

 (21世紀経済報道 4月21日)