中国石油天然ガス股フェン公司(PetroChina)とカタールのQatargas Operating Co.は先日LNG売買で合意した。カタールのLNGは大連LNG事業向けに長期供給されることになる。 PetroChinaの3大LNG事業のうち、江蘇事業と大連事業の第1期はいずれも2011年7月に操業を開始する。江蘇LNG事業の第1期は年間350万トンの規模に上り、第2期は350万トンになる。大連事業は第1期、第2期それぞれ300万トンである。また、唐山LNG事業は第1期350万トン、第2期は650万トンになり、2012年3月に第1期が操業を開始する。 つまり、2012年3月には、PetroChinaの事業に要するLNGは1,000万トンに達する。大連LNG事業は先頃国家発展改革委員会(NDRC)の認可を得たが、施工段階に進むにはガス供給源の確保が前提になり、PetroChinaにとって安定的なガス源確保は焦眉の急であった。 2007年9月、PetroChinaは、シェル、ウッドサイドエナジーと相次いで契約し、今後20年にわたって両社のオーストラリアのガス田から合わせて年間400万トンのLNGを確保する目途が立った。しかし、それ以前に確保している400万トンを合わせても、2011年7月の段階で不足分は200万トン、2012年には600万トンに上ると見られる。 一方、中国国内の天然ガスと国際天然ガスの価格が連動する傾向はますます顕著になり、PetroChinaの輸入ガス価格受け入れ能力も高まった。PetroChinaとQatargasが本契約を結ぶ場合、たとえ長期契約であっても、価格が10$/BTUを下回ることは考えられない。なぜなら、アジアのLNG需要拡大に伴い、2007年9月まで10$/BTU であったLNG価格は、今では18$/BTUに高騰しているからである。 フランス国立科学研究センター(CNRS)のCatherine Locatelli研究員とグルノーブル大学のJean-Pierre Angelier教授によると、当初中国は、香港から朝鮮半島に至る沿海部に20ヶ所のLNGターミナルを建設し、2020年には8,000万トン(1,100億m3)のLNGを輸入するという野心的な計画を立てていたが、しかし、2010年の段階で確実に操業できるターミナルはわずか3ヶ所しかない。LNGの輸入を拡大する上で最大の障害は、高いコストである。広東と福建のLNGプロジェクトが実現した理由は天然ガス価格が極めて安かったからであり、広東は3.8$/BTU、福建は4.3$/BTUである。 しかし、日本、韓国等のアジア諸国に猛追されているため、PetroChinaが安い価格でLNG売買契約を結ぶことは最早不可能に近い。例えば、2006年に中国海洋石油(CNOOC)は、価格が高すぎる(8$/BTU)との理由でオーストラリアのゴーゴン液化ガス施設との契約をキャンセルしたが、日本の電力会社は直ちにその価格で契約を結んだ。 Catherine Locatelli研究員とJean-Pierre Angelier教授によると、LNG供給企業はこれまで中国に対し優遇条件を適用してきたが、しかし、最早このような割引価格は成り立たないだろう。 (21世紀経済報道 2月18日)
中国石油天然ガス股フェン公司(PetroChina)とカタールのQatargas Operating Co.は先日LNG売買で合意した。カタールのLNGは大連LNG事業向けに長期供給されることになる。
PetroChinaの3大LNG事業のうち、江蘇事業と大連事業の第1期はいずれも2011年7月に操業を開始する。江蘇LNG事業の第1期は年間350万トンの規模に上り、第2期は350万トンになる。大連事業は第1期、第2期それぞれ300万トンである。また、唐山LNG事業は第1期350万トン、第2期は650万トンになり、2012年3月に第1期が操業を開始する。
つまり、2012年3月には、PetroChinaの事業に要するLNGは1,000万トンに達する。大連LNG事業は先頃国家発展改革委員会(NDRC)の認可を得たが、施工段階に進むにはガス供給源の確保が前提になり、PetroChinaにとって安定的なガス源確保は焦眉の急であった。
2007年9月、PetroChinaは、シェル、ウッドサイドエナジーと相次いで契約し、今後20年にわたって両社のオーストラリアのガス田から合わせて年間400万トンのLNGを確保する目途が立った。しかし、それ以前に確保している400万トンを合わせても、2011年7月の段階で不足分は200万トン、2012年には600万トンに上ると見られる。
一方、中国国内の天然ガスと国際天然ガスの価格が連動する傾向はますます顕著になり、PetroChinaの輸入ガス価格受け入れ能力も高まった。PetroChinaとQatargasが本契約を結ぶ場合、たとえ長期契約であっても、価格が10$/BTUを下回ることは考えられない。なぜなら、アジアのLNG需要拡大に伴い、2007年9月まで10$/BTU であったLNG価格は、今では18$/BTUに高騰しているからである。
フランス国立科学研究センター(CNRS)のCatherine Locatelli研究員とグルノーブル大学のJean-Pierre Angelier教授によると、当初中国は、香港から朝鮮半島に至る沿海部に20ヶ所のLNGターミナルを建設し、2020年には8,000万トン(1,100億m3)のLNGを輸入するという野心的な計画を立てていたが、しかし、2010年の段階で確実に操業できるターミナルはわずか3ヶ所しかない。LNGの輸入を拡大する上で最大の障害は、高いコストである。広東と福建のLNGプロジェクトが実現した理由は天然ガス価格が極めて安かったからであり、広東は3.8$/BTU、福建は4.3$/BTUである。
しかし、日本、韓国等のアジア諸国に猛追されているため、PetroChinaが安い価格でLNG売買契約を結ぶことは最早不可能に近い。例えば、2006年に中国海洋石油(CNOOC)は、価格が高すぎる(8$/BTU)との理由でオーストラリアのゴーゴン液化ガス施設との契約をキャンセルしたが、日本の電力会社は直ちにその価格で契約を結んだ。
Catherine Locatelli研究員とJean-Pierre Angelier教授によると、LNG供給企業はこれまで中国に対し優遇条件を適用してきたが、しかし、最早このような割引価格は成り立たないだろう。
(21世紀経済報道 2月18日)