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【省エネ・環境】

ブラックカーボンエアロゾルが中国の大気汚染を激化 南京大学の研究から明らかに (16/05/11)
2016/5/11
中国【省エネ・環境】

 PM2.5を主要特徴とする大気複合汚染問題は中国の環境にとって重大なチャレンジであるが、南京大学の研究グループは大気中のブラックカーボンエアロゾルのドーム効果(Dome effect)が大都市の大気汚染を激化させる重要な要因になっていることを解明し、先般“Geophysical Research Letters”誌に研究成果を発表した。

 研究グループは重度スモッグ汚染を対象に、野外観測と計算機シミュレーションに基づいて、汚染の発生拡大過程におけるブラックカーボンエアロゾルの影響と双方向のフィードバックのメカニズムについて研究を進め、定量的に解明、ブラックカーボンエアロゾルがその強い可視光吸収作用により地表を冷却するとともに、高度1〜2キロの大気を加熱し、そのため、大気境界層の拡大が抑制され、都市の汚染排出が低い高度に制限されて、都市汚染を著しく激化させることを発見した。

 このメカニズムは中国の大都市だけでなく、ブラックカーボンの排出が大きい都市(ニューデリー、メキシコシティ、パリなど)の大気汚染についても重要な影響を及ぼすとのことである。

 研究グループは、中国の大気汚染対策においては「主要矛盾に取り組む」ことが必要であり、ブラックカーボンエアロゾルのような小さいながらも重大な作用をもたらす汚染物の排出を厳重に規制しなければならないと提言する。また、ブラックカーボンエアロゾルは地球の温暖化にも影響する重要な短寿命気候因子であり、国内外の大都市が排出削減対策を実施することで地球温暖化の緩和にも重要な貢献を果たすと指摘する。

 (中国気候変化信息網 5月11日)